住宅ローンを変動金利で「3000万円」借りたばかりなのに、4月から基準金利が「0.25%」引き上げに! 影響額はどのくらい? 手元に100万円の余剰資金がありますが“繰上げ返済”したほうがいいですか?

配信日: 2025.05.17
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住宅ローンを変動金利で「3000万円」借りたばかりなのに、4月から基準金利が「0.25%」引き上げに! 影響額はどのくらい? 手元に100万円の余剰資金がありますが“繰上げ返済”したほうがいいですか?
日本銀行が2025年1月に政策金利を0.25%から0.50%へ引き上げたことを受け、各銀行が短期プライムレートを見直しました。変動金利型住宅ローンの基準金利は、原則として短期プライムレートと連動しています。
 
そのため、多くの金融機関で変動金利型住宅ローンの基準金利が引き上げられています。この金利上昇の影響を少しでも軽減しようと、繰上返済を検討している人も多いかもしれません。しかし、場合によっては繰上返済すべきでないケースもあることを知っていますか。
 
本記事では、変動金利型住宅ローンの金利が上昇したときに繰上返済をしないほうが良いケースについて解説します。
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2025年4月でどれくらい金利が上がる?

変動金利型住宅ローンを借りるときに適用される金利は、基準金利からさまざまな優遇による引き下げを加味して適用金利が決まるため、個人によって異なります。新規で借り入れる場合の主要銀行の基準金利の上昇幅は図表1の通りです。
 
図表1

図表1

 
各銀行のホームページより筆者作成
 
※2025年4月時点の内容です
 
多くの金融機関で、新規借入時の基準金利は0.250%引き上げられています。借入中の住宅ローンのある人が、0.250%金利が引き上げられた場合の影響額を、以下のケースで試算してみましょう。
 

前提

・借入時期:2025年1月(返済開始は2月から)
 
・借入額:3000万円
 
・適用金利:借入当初0.625%、金利引き上げ後0.875%
 
・返済期間:30年
 
・返済方法:元利均等返済
 
・金利見直し時期:6月、12月の年2回

試算

・当初返済額:月9万1411円、総返済額3290万7937円
 
・金利変更後返済額:月9万4733円、総返済額3408万7198円

毎月の返済額は約3300円、総返済額は約118万円増加します。今回の試算では金利の見直し時期を6月、12月の年2回(実際の返済額の上昇は7月、1月から)と設定しました。いつから返済額に影響が出るのかは返済プランにもよりますので、正確に知るためには借入中の金融機関に問い合わせましょう。
 

繰上返済とは?

金利が上昇した分、繰上返済して少しでも総返済額の増加を抑えたいと思う人もいるかもしれません。繰上返済とは、月々のローン返済とは別に借入先の金融機関に追加返済することです。繰上返済した資金はローンの元金部分に充当され、その元金に対する利息部分の支払いが減少できるため、総返済額を減らす効果が期待できます。
 
繰上返済の方法には、繰上後の残りの期間を変えずに返済額を減額する「返済額軽減型」、繰上後の返済額を変えずに残りの返済期間を短くする「期間短縮型」の2つがあります。
 

繰上返済をしないほうが良いケースとは?

金利上昇の影響額を抑えられる繰上返済ですが、金利上昇時に必ずしも繰上返済をしたほうが良いとは言いきれません。繰上返済すべきでないケースとして、次のようなものが考えられます。
 

手元資金に余裕がない

繰上返済することで、一度にまとまったお金が出ていきます。貯蓄に余裕がない中で繰上返済することで手元資金に余裕がなくなると、急な出費があったときに対応できなくなる可能性があります。
 

毎月の返済額が上がる場合がある

元利均等返済の変動金利型住宅ローンの多くは、一度決めた返済額は5年間維持する、いわゆる「5年ルール」があります。このため、適用金利が見直されても、毎月の返済額がすぐに上がるとは限りません。
 
一方、返済額軽減型で繰上返済をすると、そのタイミングで5年ルールは適用されず返済額が再計算されます。その結果、繰上返済前よりも月々の返済額が増えて家計収支が苦しくなる可能性があります。
 

繰上返済すべきかは慎重に判断しよう

多くの金融機関で、変動金利型住宅ローンの基準金利が0.250%引き上げられています。実際の適用金利や返済プランにもよりますが、3000万円のローンにおける0.250%の引き上げの影響額は、毎月の返済額は約3300円、総返済額は約118万円のアップです。
 
このような金利上昇の局面では、繰上返済が選択肢に上がります。確かに総返済額を減らす効果が期待できますが、手元資金や毎月の家計管理の状況によっては、繰上返済しないほうが良いケースもあります。本当に繰上返済すべきかをよく考えるようにしましょう。
 

出典

日本銀行 2025年1月金融政策決定会合での決定内容
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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