就職したけど「奨学金、もう返せない…」という、手取り16万円の友人。3ヶ月放置すると「ブラックリスト入り」で、クレカも作れなくなると聞きました。救済制度などはないのでしょうか?
奨学金は、経済的理由で進学が難しい学生にとって、支えとなる制度です。とはいえ、貸与型の奨学金の場合、卒業後には毎月の返済義務が発生します。そのため、手取りが少ない人であれば、月1万円台の返済でも生活を圧迫してしまうケースもあるでしょう。
しかし、返済できないからといって放置してしまうと、自身の信用情報を傷つけることになるため、注意が必要です。
本記事では、手取り16万円では奨学金の返済がどれほど負担なのかを検証し、放置してしまったときのリスクと、返済が困難な場合に利用できる救済制度について詳しく解説します。
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手取り16万円では月1万5000円の返済はキツイ?
まず、手取り月収が16万円のケースで、実際にどれほど生活が厳しいのかをシミュレーションしてみます。ここでは、賃貸での一人暮らしとして以下の前提で考えてみます。
家賃:7万円
食費:3万円
光熱費・通信費:2万円
被服費・日用品代:2万円
医療費:1万円
交際費:5000円
合計:15万5000円
この時点で、手取りのほぼ全額が生活費に消え、貯金や予備費に回せる余裕はほとんどありません。この状況で、さらに毎月1万5000円の奨学金を返済しようとすると、赤字になるため、かなり厳しい状況であるといえるでしょう。
3ヶ月放置でブラックリスト入り? 困ることは?
「ブラックリスト」という言葉は俗称で、実際には信用情報機関に「異動情報」として登録されることを意味します。奨学金の返済を3ヶ月以上滞納すると、全国銀行個人信用情報センター(KSC)などの信用情報機関に延滞記録が残り、たとえ完済しても通常5年間は消えません。
情報が記録されている間は、クレジットカードの新規作成や更新、スマートフォンの分割払い、住宅ローンや自動車ローンの審査にも影響が出る可能性があります。
この仕組みは、奨学金に限らずクレジットカードや各種ローンの滞納でも同様です。いずれも「信用」を失う行為として記録され、将来の生活に支障をきたすおそれがあるため、返済が難しいと感じたら放置せず、しかるべき機関に早めに相談することが望ましいです。
「もう払えない」返済が無理なときの助け舟とは?
返済が厳しいと感じる状況は、誰にでも起こりうるものです。実際、奨学金の滞納者割合は低下傾向にあるとはいえ、一定数存在しています。そんなときのために、日本学生支援機構では2つの救済制度を設けています。
1つ目は「減額返還制度」です。満額の返済が難しい場合に、毎月の返済額を減らすことができます。減額できる期間は、最長で通算15年(180ヶ月)です。
2つ目は「返還期限猶予」です。病気や失業、経済的困難などの事情がある場合に、一定期間返済そのものを猶予してもらえます。猶予期間中は、利子が発生しないため、返済額が増える心配はありません。適用上限は最長で通算10年(120ヶ月)です。
どちらの制度も、返還額そのものが減額・免除されるわけではありません。さらに、これらの制度を利用するためには1年ごとの申請が必要です。
支払いが困難な状況になった場合は、払わずに放置するのではなく、まずは制度の活用を検討してみてください。
まとめ
手取り16万円で毎月1万5000円の奨学金返済が厳しい場合、無断での滞納は信用情報に悪影響を及ぼし、将来的なクレジット契約に支障をきたす可能性があります。そのため、返済が困難な場合は、減額返還制度や返還期限猶予を利用し、適切に対応するようにしましょう。
また、クレジットカードやほかのローンの滞納も信用情報に傷がつくことになるので、利用する場合は、計画的な返済を心がけることが大切です。
出典
独立行政法人日本学生支援機構 奨学金事業に関するデータ集
独立行政法人日本学生支援機構 月々の返還額を少なくする(減額返還制度)
独立行政法人日本学生支援機構 返還を待ってもらう(返還期限猶予)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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