大学生になる親戚の子から「奨学金の保証人」を頼まれました。「連帯保証人」と何が違うのでしょうか?注意点はありますか?

配信日: 2025.06.29
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大学生になる親戚の子から「奨学金の保証人」を頼まれました。「連帯保証人」と何が違うのでしょうか?注意点はありますか?
大学進学を控えた親戚や知人の子どもから、「奨学金の保証人になってほしい」と頼まれることがあります。一見、ちょっとした頼みごとのようにも聞こえますが、実は引き受けるには大きな責任が伴う制度です。
 
さらに「連帯保証人」と「保証人」は役割や責任が異なります。本記事では、奨学金の保証制度の仕組みや、保証人と連帯保証人の違い、注意すべきポイントについて分かりやすく解説します。
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奨学金の保証制度には2種類あるって知っていましたか?

独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)の奨学金には、「人的保証」と「機関保証」の2つの保証制度があります。「人的保証」は、奨学生が返済できなくなったときのために、親族などが保証人と連帯保証人として責任を負う制度です。
 
これに対し「機関保証」は、保証料を支払って保証機関にリスクを担ってもらう仕組みです。どちらを選ぶかは奨学生側の判断によりますが、保証料がかからない「人的保証」を選ぶ家庭も少なくありません。
 
その際に親や親戚に保証人を依頼するケースが多く、何の知識もないまま引き受けてしまうと、思わぬトラブルにつながることもあるのです。
 

「保証人」と「連帯保証人」、実はこんなに違います

「保証人」と「連帯保証人」は似た言葉ですが、法律的にはまったく異なる責任を負う立場です。
 
まず、連帯保証人は奨学生本人と同じレベルの返済義務を負う存在です。仮に奨学生が返済できなくなった場合、奨学金全額を支払う義務が生じます。
 
一方、保証人は奨学生本人や連帯保証人が返済できない場合に、返済義務が生じます。通常は連帯保証人に請求した後、保証人へ請求が行われます。また、請求される金額も、連帯保証人が1人、保証人が1人の場合は、「分別の利益」という権利により、保証人は奨学金の半額のみの返済義務を負います。
 
つまり、連帯保証人は「最も重い責任」、保証人は「その次に責任を負う立場」と覚えておくとよいでしょう。保証人だからといって軽く考えるのは危険で、最悪の場合は大きな負担を背負う可能性もあります。
 

引き受ける前に知っておきたい注意点とリスク

保証人や連帯保証人になる場合、以下の点に注意が必要です。まず、自分が奨学生本人に代わって返済することになる可能性があるということです。返済期間は10~20年と長期に及ぶことが多く、その間に本人が病気や事故で返済できなくなることも考えられます。
 
次に、保証人になるためには条件があります。連帯保証人は原則として父母、保証人は奨学生本人と連帯保証人とは別生計の4親等以内の親族(例:おじ・おば)が対象です。
 
さらに、一度保証人を引き受けた後は、原則として途中で辞退できない点も注意が必要です。家庭の事情が変わっても、奨学生が返済を終えるまで責任は継続します。
 
加えて、もし親戚づきあいで断りにくいと感じている場合でも、無理に引き受ける必要はありません。代替案として「機関保証」の利用を提案することで、断りつつも相手を傷つけない対応ができます。
 

まとめ:保証人を頼まれたら、制度をよく理解してから判断を

奨学金の保証人や連帯保証人になることは、親戚や知人の子どもの進学を支える大きな役割です。しかし一方で、思っている以上の責任やリスクも伴います。
 
頼まれたからといってすぐにOKするのではなく、まずは制度の仕組みや自分の立場で負う責任をしっかりと理解しましょう。そのうえで、「本当に自分が支えられるかどうか」を冷静に判断することが大切です。相手のためにも、無理のない選択をすることが、誠実な対応につながります。
 

出典

独立行政法人日本学生支援機構 保証制度について
独立行政法人日本学生支援機構 第一種奨学金の人的保証制度
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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