地方在住、都内の大学をいくつか受験する予定だけど、受験料・交通費・宿泊費の合計が約50万円! 費用が足りない場合、どこから借り入れすればいい?

配信日: 2025.06.30
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地方在住、都内の大学をいくつか受験する予定だけど、受験料・交通費・宿泊費の合計が約50万円! 費用が足りない場合、どこから借り入れすればいい?
入学前の納付金額が大きいものとして、入学手続き時に納付する入学金や授業料などがありますが、受験時の受験料、受験会場までの交通費、宿泊費なども合計すると大きな金額になります。
 
奨学金は入学後に利用できるので、入学前の資金不足には奨学金以外の制度を利用する必要があります。
新美昌也

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

受験料など出願にかかった費用

全国大学生活協同組合連合会の「2024年度保護者に聞く新入生調査」によると、大学受験から合格までの間にかかった費用(受験料など出願のためにかかった費用+受験の宿泊・交通費などの費用)は、私立大学下宿生の場合、平均23万3800円となっています。
 
このうち、受験料など出願にかかった費用は13万6400円で、私立大学の受験料が1校あたり3万5000円程度として考えると、平均で3~4校程度受験していることになります。
 
なお、受験料の総額は、受験する大学は国公立大・私立大のどちらなのか、入試方法は単願の総合型選抜・学校推薦型選抜、併願の一般選抜なのかによっても異なってきます。
 
私立大の受験料は、大学入学共通テスト利用選抜を利用すれば節約できます。この選抜方法は、各大学・学部が指定する大学入学共通テストの科目成績を利用した試験です。大学入学共通テストの受験料は、3教科以上受験で1万8000円、2教科以下受験で1万2000円。大学入学共通テスト利用入試の出願料は、1万5000円程度です。
 
私立大の個別試験を3校受ける場合、受験料は10万5000円必要ですが、大学入学共通テスト利用選抜を利用すれば6万3000円(1万8000円+1万5000円×3)ですみます。また、受験料割引制度の利用も検討しましょう。同じ大学で複数の学部・学科を受験する場合、受験料が割引になる制度があります。
 

受験の宿泊・交通費などの費用

「2024年度保護者に聞く新入生調査」によると、受験の宿泊・交通費などの費用は9万7400円でした。地方会場を利用することで、これらの費用を節約できます。
 
例えば、東京に行かずとも同じ内容の試験が自宅近くで受けられるので、交通費・宿泊費を節約できますし、体力的・精神的な負担の軽減にもなります。
 
ただし、地方入試の場合には限られた受験方式しか設定されていない点は注意が必要です。例えば、ある大学では「全学部統一日程」と「個別日程」がありますが、地方入試は「全学部統一日程」だけしか受験できません。
 
これらの工夫をしても、費用が足りない場合、どこから借り入れすればいいか以下に代表的な制度を見てみましょう。
 

国の教育ローン(日本政策金融公庫)

国の教育ローンは、銀行など民間の金融機関の教育ローンに比べ低利です。母子・父子家庭等には金利・保証料の優遇措置があり、奨学金との併用も可能です。主なポイントは、以下のとおりです。
 
■条件
世帯年収に上限あり(扶養する子どもの人数で変動)。
例:子2人で年収990万円以内
 
■融資額
原則350万円以内(留学費用、自宅外通学等は450万円まで)。ただし、今後1年間に必要となる費用が融資の対象です。
 
■金利(令和7年6月時点)
年2.85%(固定金利・保証料別) 
 
■保証
借り主(保護者)と原則として別居・別生計の方。ただし、保証料を支払えば連帯保証人は不要です。
 
■返済期間
最長20年。計画的な返済が可能です。
 
■使途
学費・受験費用・住居費・学用品・国民年金保険料等、幅広く使えます。
 
■申し込み
申し込みから融資まで最短20日程度かかりますので、早めに申し込みましょう。資金が必要な2~3ヶ月前に申し込みが可能です。
 
■金利の優遇措置
家庭の状況に応じた、金利優遇が受けられます。
 
具体的には、交通遺児家庭・母子家庭・父子家庭や世帯年収200万円(所得132万円)以内の方、これを超えても世帯年収500万円(所得356万円)以内で子ども3人以上の世帯は、通常の利率より0.4%マイナスした利率が適用されます。
 
■保証料の優遇
交通遺児家庭・母子家庭・父子家庭、または扶養する子どもの人数が3人以上で世帯年収500万円(所得356万円)以内の方は、通常の2分の1の額です。
 
受験費用が足りない場合は、国の教育ローンを選択肢に入れておきましょう。
 

出典

全国大学生活協同組合連合会 大学進学ガイドブック
全国大学生活協同組合連合会 2024年度保護者に聞く新入生調査
日本政策金融公庫 教育一般貸付(国の教育ローン)
 
執筆者 : 新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。

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