住宅ローンが60歳で「1000万円」残るけど、退職金は「2000万円」出る予定! 利息も考えると“一括返済”すべきですよね? 注意が必要なデメリットもあわせて解説
例えば、60歳の定年時点で住宅ローンがまだ多く残っている場合、「退職金で一括返済すべきか?」という悩みにぶつかる人も多いでしょう。住宅ローンの一括返済するのは利息を大きくカットできるメリットがあり、毎月のローン支払いからも解放され安心感が得られます。
とはいえデメリットもあるため、ライフプランや手元資金、年金額などを踏まえて総合的に判断する必要があります。本記事では、60歳定年時で残った1000万円の住宅ローンを、退職金の2000万円で一括返済すべきかどうか考えていきます。
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
一括返済のメリットとは?
まず、住宅ローンを退職金で一括返済することで得られるメリットを見ていきましょう。
利息の負担を軽減できる
住宅ローンの利息は、完済するまで支払い続ける必要があります。例えば、金利1.0%で1000万円を残している場合、完済までに数十万円程度の利息がかかります。一括返済することで、これらの利息を削減でき、トータルの返済額を減らすことが可能です。
家計の固定支出を減らせる
60歳時点でローンが1000万円残っており、残り10年で完済だとすると、利息を考慮しない場合でも毎年100万円、月あたり10万円近くを返済しなければなりません。特に老後の収入の柱が年金のみの場合、毎月の住宅ローンは大きな負担となるでしょう。
住宅ローンを早めに完済することで、毎月の支出から住宅ローンの返済分がなくなります。
年金生活を見据えるうえで、固定費の削減は非常に大きな安心材料になります。生活に余裕が生まれ、急な医療費や娯楽費にも柔軟に対応できるでしょう。
一括返済にはデメリットもある
住宅ローンの一括返済にはメリットもありますが、注意すべき点もあります。代表的なものを見ていきましょう。
団体信用生命保険(団信)が消える
住宅ローンには多くの場合「団信」(団体信用生命保険)という保険が付帯されており、万一、契約者が亡くなったり高度障害状態になったりした場合には、残りのローンが完済されます。
つまり、住宅ローンがあるうちは「もしもの保険」がついているとも言えますが、一括返済してしまうとこの保険機能も終了します。
手元資金が一気に減るリスク
2000万円の退職金のうち1000万円をローン返済に充てた場合、手元には半分の1000万円しか残りません。
この残額で、老後の生活費・突発的な出費(病気、介護、住宅の修繕等)に対応できるのかも重要なポイントです。年金以外に安定収入がない場合は特に慎重な判断が求められるでしょう。
年金収入と生活費のバランスも要検討
住宅ローンの一括返済を検討する際には、年金額や夫婦での生活費などのバランスをしっかり把握する必要があります。
例えば、65歳以降の年金収入が夫婦合算で月20万円前後とすると、住宅ローンの返済が残っている状態では生活が厳しくなるかもしれません。
「一部繰上げ返済」という選択肢もある
「一括で払うのは不安。でも利息は抑えたい」という人に有効なのが、「一部繰上げ返済」です。
例えば、残っている住宅ローン1000万円のうち500万円だけを繰上げ返済し、残りのローンを月々無理のない範囲で返していくという方法です。こうすることで、手元にある程度の資金を残しつつ、総返済額を抑えることも可能です。
まとめ
退職金を使った住宅ローンの一括返済が最善かどうかは、家庭の状況や将来設計によって異なります。退職金でローンを完済できても、その後の生活資金が不足して後悔することもあるかもしれません。
老後の年金収入と生活費のバランス、医療や修繕など緊急時の備え、団信終了後の保障の有無、そして働く予定や副収入の見込みなどを総合的に整理し、自分にとって無理のない返済方法を選ぶことが大切です。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー