住宅ローン「4000万円」を“変動金利”で借りる友人。先日金利が「0.1%」上がったそうですが「返済額はそのまま」とのこと。なにか“特約”にでも入っているのでしょうか?

配信日: 2025.07.27 更新日: 2025.07.28
この記事は約 3 分で読めます。
住宅ローン「4000万円」を“変動金利”で借りる友人。先日金利が「0.1%」上がったそうですが「返済額はそのまま」とのこと。なにか“特約”にでも入っているのでしょうか?
金利上昇のニュースがたびたび世間を騒がせていますが、基本的にこれから変動金利型の住宅ローンを借りる人は、金利が上がれば住宅ローンの返済額は増えることになります。
 
しかし、既に住宅ローンを契約している人については、変動金利であっても、金利が上がったからといってすぐに返済額が上がるとは限りません。
 
本記事では、4000万円を住宅ローンとして借りた場合に、0.1%の金利上昇が与える影響をシミュレーションしつつ、返済額が据え置かれる仕組みや注意点について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

4000万円のローンで金利が0.1%上がると、どれくらい影響がある?

まずは、金利上昇によってどれほど返済額が変わる可能性があるのか、おおまかにシミュレーションしてみましょう。前提条件は以下のとおりとします。

●借入額:4000万円
●返済期間:35年
●元利均等返済
●金利:2.1%→2.2%

この前提において、月々の返済額は次のとおりです。

●金利2.1%の場合:13万4567円
●金利2.2%の場合:13万6647円

このように、金利が0.1ポイント上がると、月々の返済額は約2000円増加する計算になります。年間で約2万4000円、35年間で見ると100万円近くの差が出る可能性もあるのです。
 
とはいえ、本記事の友人のように、変動金利で金利が上昇したにもかかわらず、返済額が変わっていないケースは少なくありません。その理由として「5年ルール」が考えられます。
 

「5年ルール」とは?

変動金利型の住宅ローンでは、定期的に金利が見直されるのが一般的です。しかし、金利が上がったからといって、すぐに毎月の返済額が増えるわけではありません。急な金利上昇による家計の圧迫を防ぐために、多くの金融機関で設けられているのが「5年ルール」と「125%ルール」です。
 
5年ルールとは、元利均等返済を選んでいる場合、金利が変わっても、返済額は5年間、基本的に変わらないというルールです。つまり、金利が上がっても、次に返済額が見直されるのは5年後の話だということです。
 
また、5年たって返済額が見直される場合でも、前回の返済額の1.25倍までしか増額できないという制限があり、これを125%ルールといいます。
 
例えば、現在の月々の返済額が10万円なら、次回の見直しで増えたとしても最大で12万5000円までしか上がらないということです。
 

「5年ルール」「125%ルール」の注意点

「5年間は返済額が据え置き」「上昇幅は125%まで」というのは、一見安心な制度に思えますが、これはあくまで一時的な緩和策です。
 
そもそも、全ての変動金利の住宅ローンに5年ルールや125%ルールがあるわけではありません。以下のようなケースでは、この恩恵を受けられない可能性があります。

●元金均等返済を選んでいる場合(5年ルールは「元利均等返済」に限られる)
●ルールが適用されない商品を選んでいる場合(金融機関によって取り扱いは異なる)

そのため、住宅ローンを組む際には「どの返済方式か」「金利変動時のルールはあるか」といった点をしっかり確認しておくことが大切です。
 
また、金利上昇が続いた場合、5年ごとに返済額が増え続ける可能性があります。さらに、「5年ルール」「125%ルール」があっても、総返済額は減らず、返済期間が自動的に延びるわけではない点にも注意が必要です。
 

まとめ

住宅ローンの変動金利型には、一般的に返済額の急激な増加を抑えるための「5年ルール」と「125%ルール」といった仕組みがあり、これらが適用されれば、たとえ金利が上がっても当面は返済額が変わらないという現象が起こり得ます。
 
しかし、それは永続的に続くものではなく、金利上昇が継続すれば、将来的に返済額が大きく増える可能性もあるのです。また、全てのローン商品にこのルールが適用されるわけではありません。
 
自身の契約内容をしっかりと理解し、長期的な返済計画を立てておくことが、金利変動リスクに備えるうえで重要だといえるでしょう。
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

  • line
  • hatebu
【PR】 SP_LAND_02
FF_お金にまつわる悩み・疑問