30代で「3500万円」の家を買い、月10万円返済で考えています。絶対に「65歳完済」がいいけど無謀ですか?

配信日: 2025.08.07
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30代で「3500万円」の家を買い、月10万円返済で考えています。絶対に「65歳完済」がいいけど無謀ですか?
30代で総額3500万円の住宅ローンを組み、月10万円の返済で「65歳完済」を目指す――このプランは一見理想的ですが、実際に現実的かどうかは慎重に判断する必要があります。年収や金利、返済期間、ライフイベントなどを総合的に見たうえで、無理なく返せるかどうかを分析することが大切です。
 
この記事では、30代の住宅ローン返済設計の要点を分かりやすく解説します。
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30代で3500万円の住宅ローンを組んで「月10万円返済」は可能?

今回の事例のように、30代で住宅ローンを3500万円組み、月10万円の返済でやりくりしたいと考える人もいるかもしれません。では、それは本当に可能なのでしょうか。
 
例えば、30歳で3500万円を借りて月10万円ほどの返済を続けると、返済期間は約35年となり、完済年齢は65歳です。この場合、金利1.4%前後(全期間固定など)のローンを利用することが前提となります。
 
ただし、金融機関の審査では実際より高めの金利(審査金利)を基準とすることが一般的です。金利3%などでシミュレーションされた際には、返済比率が高くなり、年収によってはローン審査に通らないこともあります。
 
特に年収400万~500万円の層では、月10万円の返済は収入のおよそ25~30%を占めるため、家計に余裕があるかどうかが重要な判断材料になります。
 
とはいえ、月10万円という返済額は、返済期間や金利などをしっかり調整できれば、十分に成立し得る数字といえます。
 

65歳完済を目指すメリットと慎重に考えたいポイント

住宅ローンを65歳までに完済したいと考える理由のひとつは、やはり老後の生活費の負担を減らすためでしょう。定年退職後に収入が減る中で、住宅ローンが残っていると、年金からの返済が必要になり、生活に余裕がなくなる可能性があります。
 
また、住宅ローンは長期にわたって返済が続くため、病気やけがなど将来のリスクにも備える必要があります。その意味でも、働いて安定収入が得られる間に完済しておくことは、精神的な安心にもつながります。
 
一方で、現実には70歳を過ぎてもローンを抱える人も少なくありません。独立行政法人住宅金融支援機構の「2024年度 フラット35利用者調査」によると、住宅ローンの平均完済年齢は76.3歳というデータもあります。つまり、65歳完済は決して「当たり前」ではなく、「目指すべきゴール」として計画的に取り組む必要がある目標なのです。
 

どうやって65歳までに完済する? 具体的な工夫

65歳完済を実現するには、いくつかの工夫と計画が欠かせません。
 
まず重要なのは、自己資金、つまり頭金の活用です。頭金を多く用意することで、借入額を抑え、月々の返済負担を軽減できます。
 
次に注目したいのは、金利の選択です。全期間固定金利は返済計画が立てやすい一方、変動金利は金利上昇のリスクを含みます。返済総額を比較しながら、自分に合った金利タイプを選びましょう。
 
さらに、繰り上げ返済も有効な手段です。ボーナスや臨時収入などを活用して返済額を増やせば、利息の支払総額を減らすだけでなく、完済時期を前倒しすることも可能です。ただし、教育資金や老後資金と競合しないよう、無理のない範囲で行うことが大切です。
 
また、家計管理の観点からは、月々の返済額が手取り収入の3割を超えないよう注意することも重要です。家計に余裕があると、急な出費やライフイベントにも柔軟に対応できます。
 

まとめ:無謀ではないが、計画と備えが鍵

「30代で3500万円の住宅を購入し、月10万円の返済で65歳完済を目指す」というプランは、一見ハードルが高そうに感じられます。しかし、頭金の準備や金利の見直し、繰り上げ返済など、いくつかの工夫を積み重ねていくことで、十分に現実的な目標になり得るでしょう。
 
むしろ、65歳での完済をひとつのゴールとして設定することは、将来の経済的な安定を確保するうえで非常に有効です。大切なのは、「今の収入で返せるか」だけでなく、「将来の支出にどれだけ備えられるか」という視点を持つことです。
 
無計画に高額のローンを組むことは危険ですが、堅実な返済計画と柔軟な家計管理ができれば、65歳完済は決して無謀ではないと考えられます。現実を見据えた資金設計を行い、自分らしい住宅購入を実現しましょう。
 

出典

独立行政法人住宅金融支援機構 2024年度 フラット35利用者調査 調査結果データ 集計表
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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