退職金で住宅ローンを「一括返済」するのは賢い方法?老後資金を減らすリスクと注意点について解説

配信日: 2025.08.29
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退職金で住宅ローンを「一括返済」するのは賢い方法?老後資金を減らすリスクと注意点について解説
「退職金を住宅ローンの一括返済に充てるべきか、それとも老後資金として残すべきか」と悩む方もいるでしょう。退職金で住宅ローンを一括返済しても問題ない場合はありますが、その前に老後資金を十分に確保できるかどうかを慎重に見極めることが重要です。
 
本記事では、退職金を住宅ローン返済に使うメリット・デメリットを整理し、老後資金とのバランスを取る方法について解説します。
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退職金で住宅ローンを一括返済するメリット

厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査結果の概況」によると、退職給付制度(退職一時金・年金など)がある企業の割合は、全体の74.9%に上ることが分かりました。そのうち、定年退職をした大学・大学院卒(管理・事務・技術職)の退職金平均額は1896万円でした。
 
住宅ローンの残債がある場合、退職金を活用して一括返済を検討する方も多いでしょう。本章では、退職金による住宅ローン一括返済のメリットを解説します。
 

返済期間が短くなる

退職金で住宅ローンを一括返済すれば、返済期間そのものがなくなります。返済が完了することで、毎月の返済に対する不安が解消され、老後の生活設計にも余裕が生まれます。
 
定年後は収入が年金中心になる方が多いため、ローンの負担がなくなる安心感は大きなメリットです。
 

利息を減らせる

住宅ローンは、返済期間が長いほど、最終的に支払う利息が増加します。
 
退職金による一括返済で、その後に発生するはずだった利息を大幅に削減できれば、総支払額を抑えられます。特に、返済期間が長く残っている場合や金利の高いローンを組んでいる場合は、利息軽減の効果が大きく、経済的なメリットを感じられるでしょう。
 

心理的な負担を減らせる

定年後も住宅ローンが残っていると、「返済を続けなければならない」という精神的なプレッシャーを抱えてしまう方も少なくありません。
 
しかし、退職金で完済すれば、借金に対する不安から解放され、老後の暮らしを前向きに楽しめる安心感が得られます。特に、医療費や介護費用など将来の出費が気になる世代にとって、精神的なゆとりを持てることは大きなメリットでしょう。
 

老後資金を減らすリスクと注意点

退職金による一括返済にはメリットがある一方で、老後の生活に必要な資金が不足するリスクもあります。ここからは、一括返済によって生じる注意点やデメリットを詳しく見ていきましょう。
 

医療費や介護費への備えが不足する恐れあり

退職金を全額住宅ローンの返済に充ててしまうと、老後の医療費や介護費など突発的な支出に対応できなくなる恐れがあります。
 
少子高齢化や医療・介護費の増加が進む現代において、生活資金に余裕がないと、退職後の生活に対して大きな不安が生じます。退職金をまとめて使う場合は、老後資金を十分に確保したうえで判断することが大切です。
 

住宅ローン控除や団体信用生命保険の適用がなくなる

住宅ローンを完済すると、これまで適用されていた住宅ローン控除は終了します。退職金等での一括返済によって失う控除額と、利息削減による節税メリットをよく比較したうえで判断することが重要です。
 
また、団体信用生命保険の保障も住宅ローンを完済すると終了します。将来、残された家族への負担を最小限にするためにも、万が一のときに備えて他の保険を見直すことも検討しましょう。
 

一括返済すべきかを判断するポイント

退職金を住宅ローンの返済に充てる場合は、老後の生活費や医療・介護の備えを見据え、生活設計を立てたうえで判断することが大切です。
 
退職金の全てを返済に充てることに不安を感じる場合は、退職金の一部を繰り上げ返済に回し、残りを老後資金として確保する方法もあります。不明点がある場合は、住宅ローンの専門家やファイナンシャルプランナーの意見を参考にして、自分に合った返済方法を見つけましょう。
 

退職金の使い道はローン返済と老後資金の両立を意識しよう

退職金で住宅ローンを一括返済すれば、利息や毎月の負担を減らせる一方で、老後資金が不足するリスクもあります。退職金を活用してローンを返済する際は、「返済」と「生活資金」のバランスを取ることが大切です。
 
無理に全額を一括返済するのではなく、一部を繰り上げ返済に充てることもできます。不安がある場合は、住宅ローンの専門家やファイナンシャルプランナーに相談することで、適切な判断ができるでしょう。退職金は老後の人生の大切な資金です。焦らず冷静に使い道を検討してください。
 

出典

厚生労働省 令和5年就労条件総合調査の概況
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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