「石破首相退陣」で“住宅ローン金利”はどう動く?「物価・金利上昇リスク」のなかでの“借り換え戦略”を、FPの視点で解説

配信日: 2025.09.14
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「石破首相退陣」で“住宅ローン金利”はどう動く?「物価・金利上昇リスク」のなかでの“借り換え戦略”を、FPの視点で解説
石破首相が退陣を表明したことにより、次期政権の政策運営や日本銀行(以下、日銀)の金融政策の方向性が不透明さを増してきました。
 
住宅ローンを抱える家庭にとって、金利や物価の動向は毎月の返済額に直結します。わずか0.5%の金利上昇でも、3000万円のローン総返済額は数百万円増加する可能性があります。
 
これからの不透明な環境下では、「固定か変動か」「借り換えのタイミングはいつか」といった判断がますます重要になるでしょう。本記事では、金利・物価の現状を確認しつつ、住宅ローンの借り換え戦略をFPの視点で解説します。
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政権交代で揺れる物価と金利

石破政権の退陣後、次期政権がどのような経済政策を打ち出すかは不透明です。特に注目されるのは、日銀の金融政策との関係です。
 
長期的な金融緩和を続けるのか、それとも物価上昇を抑えるため金利引き上げに踏み切るのかによって、市場金利の動きは大きく変わります。実際、短期金利・長期金利は足元で緩やかに上昇傾向が見られており、住宅ローンにも影響があると考えられます。
 

物価上昇による実質購買力の低下

一方、物価の高止まりは家計を圧迫しています。総務省統計局の消費者物価指数(CPI)によると、食料品やサービス価格の上昇が続き、エネルギー価格の変動を除いても日銀目標の2%を超える上昇基調が見られています。これは、実質的に「同じ給料で買えるモノやサービスが減る」ことを意味し、住宅ローン返済の余力を削りかねません。
 

金利上昇が家計に与える影響

住宅ローンにおいては、金利上昇は家計負担に直結します。例えば、3000万円を35年返済・元利均等で借りたケース(図表1)で試算してみましょう。
 
図表1

図表1

筆者作成
 
図表1で示されるように、わずか0.5%の上昇で月々の返済額は7000円以上、総返済額では300万円超の差となります。物価上昇と重なれば、家計の負担感はさらに強まるでしょう。
 
こうした環境下では、「金利がどこまで上がるか」を予測するよりも、「金利が上がったときに家計が耐えられるか」を前提に計画を立てることが大切です。金利変動のリスクを理解した上で、固定・変動の選択や借り換えの準備を検討することが、長期的な家計防衛につながります。
 

固定金利と変動金利はどちらを選ぶべきか?

固定金利は、返済期間を通じて金利が変わらないため、長期的に安心感があります。金利が上昇する局面では有利に働きますが、現状の水準では変動より高めに設定される傾向があります。
 
一方、変動金利は初期の金利が低いため、毎月の返済額を抑えられる点が魅力です。しかし、半年ごとに金利が見直される仕組みのため、金利上昇局面では返済額が増える可能性があります。
 

選択のポイント

若い世代で収入が今後増える見込みがある場合は、当初は変動金利を選び、将来の金利上昇に備えて借り換えを検討する方法が考えられます。一方、定年退職が近い世帯や固定収入中心の家庭では、返済額が一定の固定金利が安心です。住宅ローンは「いくら借りられるか」ではなく、「安心して返し続けられるか」を基準に選びましょう。
 

借り換えは有効? 住宅ローン戦略を見直すタイミング

一般的に、現在の金利と借り換え後の金利差が1%以上あり、かつ残高1000万円以上・残期間10年以上ある場合は、借り換えメリットが大きいとされます。
 
反対に、残高が少なく返済期間が短い場合や、借り換え時の手数料や保証料でコストが上回る場合は、借り換えには向きません。
 

借り換え以外の戦略

借り換えは効果的な手段ですが、必ずしも全員に向いているわけではありません。諸費用や条件によっては、借り換えをしてもメリットが薄いケースもあります。そうした場合には、借り換えをせずに一部繰り上げ返済する方法があります。繰り上げ返済には、次の2種類があります。
 

・期間短縮型:返済期間を短くでき、利息の軽減効果が大きい
・返済額軽減型:毎月の返済額を下げられ、家計のゆとりを確保できる

 
また、金融機関によっては、借り換えをせずに変動金利から固定金利に切り替えられる場合があります。変動金利で上昇リスクを感じる場合は、部分的に固定化する「ミックスローン」に切り替えるのもおすすめです。
 

不透明な時代だからこそ柔軟に戦略を立てよう

政権交代や日銀の政策変更は、専門家であっても正確な予測は困難です。だからこそ、家庭の住宅ローン戦略も「一度決めたら終わり」ではなく、柔軟に見直していく必要があります。
 
借り換えや繰り上げ返済、金利タイプの変更といった複数の選択肢を持つことで、金利上昇の局面でも慌てずに対応できるでしょう。
 

出典

日本銀行 長・短期プライムレート(主要行)の推移 2001年以降
総務省統計局 2020年基準 消費者物価指数 全国 2025年(令和7年)7月分(2025年8月22日公表)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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