50代で住宅ローン残高「1000万円」が!“団信があるほうが安心”と思ってるけど、金利「1.5%」で繰上げ返済したら、家計負担はどう変わる?
本記事では、残高1000万円・金利1.5%・残り15年というケースを例に、繰り上げ返済の効果や注意点を具体的に解説します。
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
「団信があるから安心」とはどういう意味?
団体信用生命保険(以下、団信)は、住宅ローンを借りている人が死亡または高度障害状態になったときに、保険金によって残りのローンが完済される制度です。金融機関によっては住宅ローン契約には加入が必須であり、借入時に自動的に組み込まれているケースも少なくありません。
つまり、契約者に万一のことがあった場合でも、残された家族がローン返済に困ることはなく、安心して自宅に住み続けられるのが団信の大きな役割です。
「返済不要」とは限らない誤解
団信があれば、万一のときに残された家族が、突然ローン返済を背負わされるリスクは防げます。しかし、契約者本人にとっては、完済までの利息を含めた返済負担がのしかかるわけです。
50代で残高が1000万円あれば、完済までに100万円以上の利息を支払うことになり、これは団信では解消されません。したがって「団信があるから安心=繰り上げ返済は必要ない」とは言い切れないのです。
残高1000万円・金利1.5%・残り15年の返済シミュレーション
住宅ローン残高が1000万円、金利1.5%、残り15年のケースを元利均等返済で計算すると、毎月の返済額は約6万2000円となります。15年間の総返済額は約1117万円で、そのうち利息部分は約117万円です。つまり、団信で万一のリスクに備えていても、生活している間はこの利息分も含めて返済し続ける必要があります。
繰り上げ返済による効果
仮に100万円を期間短縮型で繰り上げ返済すると、返済期間は約1年7ヶ月短縮され、利息総額は約23万円減少します。返済額軽減型では、月々の返済額は約5万5000円となり、利息総額は約11万円減少します。余裕資金を繰り上げに回せば、数十万円の利息削減が可能です。
家計へのインパクト
50代は、教育費や老後資金の準備と重なるため、月6万円強の住宅ローン返済を続けることは心理的にも大きな負担になります。繰り上げ返済を活用すれば、利息を減らすだけでなく、返済終了を前倒ししたり月々の支払い負担を軽減したりでき、老後の家計設計に余裕が生まれるでしょう。
繰り上げ返済の注意点
繰り上げ返済すると、預貯金などの手元資金が大きく減るため、急な医療費や教育費などに備える流動性が低下します。さらに、50代は子どもの進学や親の介護といった、突発的な支出が発生しやすい時期です。生活防衛資金を残さずに繰り上げ返済すれば、いざというときに資金不足に陥るリスクがあるので注意してください。
50代会社員がとるべき最適解は?
団信はもしもの備えとして大切ですが、返済そのものの負担を軽減するわけではありません。したがって、団信があるから繰り上げ返済は不要と考えるのではなく、老後資金や日常生活費を確保しながら、余裕資金の範囲で一部繰り上げ返済するのが現実的でしょう。
例えば、手元に500万円の預貯金がある場合、そのうち100万〜200万円を繰り上げ返済に回し、残りを生活費や予備資金として温存する戦略が考えられます。「団信」「繰り上げ返済」「流動性確保」の3点をバランスよく考えることが、50代の住宅ローン戦略のカギです。
団信だけに頼らず家計全体で最適な返済計画を立てよう
50代で住宅ローンが1000万円残っているケースでは、団信があっても日常の返済は続き、完済までに100万円を超える利息を支払うことになります。繰り上げ返済をすれば数十万円単位で利息を減らせますが、手元資金の減少や住宅ローン控除の縮小といったデメリットもあります。
重要なのは、団信だけに依存せず、家計の実情に合わせて返済・貯蓄・備えをバランスよく行うことです。
出典
一般社団法人全国信用保証協会連合会 団体信用生命保険
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー