「約5000万円」のマイホーム購入を検討中。「年収600万円」ですが“年収の8倍”って借りすぎ? 一般的にはどのくらい?

配信日: 2025.09.27
この記事は約 4 分で読めます。
「約5000万円」のマイホーム購入を検討中。「年収600万円」ですが“年収の8倍”って借りすぎ? 一般的にはどのくらい?
マイホームの購入は、多くの人にとって人生で最も大きな買い物の一つです。特に住宅ローンは何十年も返済が続くため、いくらまで借りるべきか慎重に考える必要があります。
 
例えば、年収600万円で5000万円の住宅を検討する場合、ローンは年収の8倍にあたります。この「年収の8倍」という水準は、果たして妥当なのでしょうか。本記事では、一般的な目安や金融機関の基準をもとに、無理のない住宅ローンの考え方を解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

年収600万円で5000万円の家は買える? 年収の8倍は危険?

住宅購入の際に、「年収の何倍までなら借りてよいか」という指標を耳にすることがあります。一般的な目安としては「年収の5~7倍程度まで」とされており、この範囲内であれば返済も比較的無理なく、家計を維持しやすいと考えられています。
 
例えば、年収600万円の場合で考えると、借り入れの目安は3000~4200万円程度が現実的なラインです。これを大幅に超える5000万円の借り入れは年収の約8倍となり、一般的な目安を大きく超えてしまいます。そのため、返済負担が家計を圧迫しやすく、教育費や老後資金の準備が難しくなるリスクが高い水準といえるでしょう。
 
もちろん、金融機関によっては高額な借り入れでも審査が通る場合もあります。しかし、「借りられる額」と「無理なく返せる額」は異なるため、自身のライフプランや返済能力をしっかりと見極めることが大切です。
 

住宅ローンは「返済負担率」で考えるのが基本

住宅ローンの審査基準や資金計画で最も重視される指標の一つが、「返済負担率(返済比率)」です。これは、年収に占める年間ローン返済額の割合を示すもので、以下の計算式で求められます。
 
返済負担率 = 年間返済額 ÷ 年収 × 100%
 
金融機関の審査基準として、年収400万円以上の場合の返済負担率は一般的に「35%以内」が上限とされています。例えば年収600万円の方なら、年間返済額が210万円以内、月に換算すると約17万円以内であれば審査には通る可能性が高いとされています。
 
ただし、返済負担率の基準や審査方法は金融機関によって異なります。さらに、審査で用いる金利や計算方法、他の借り入れの扱いも機関ごとに違うため、複数の金融機関の基準を比較し、自分の状況に最適なローンを選ぶことが重要です。
 
また、この上限いっぱいまで借りても、家計にゆとりがあるとはかぎりません。教育費や生活費、車の維持費、将来の老後資金などを考慮すると、返済負担率は25%前後に抑えるのが現実的で安心とされています。年収600万円の場合は年間150万円、月々の返済額は12~13万円程度の返済に収めるのが理想的です。
 
なお、返済負担率は住宅ローン以外の借り入れ返済も含めて計算されるため、マイカーローンやカードローンの返済がある方は総合的に判断されます。また、返済負担率の計算には年収の税込み収入を用いる点も押さえておきましょう。
 

年収600万円ならローンはいくらまでが目安?

では、年収600万円の世帯が実際にどのくらい借りるのが安心なのでしょうか。返済負担率25%、35年ローン、金利1.5%を想定してシミュレーションしてみましょう。
 
年間返済額150万円、月返済12万5000円程度に収めると、借り入れ可能額はおよそ3500万円前後となります。頭金を用意できる場合は、その分だけ購入価格を上げることも可能ですが、フルローンで5000万円を組むのは負担が大きくなるため慎重さが必要です。
 
仮に5000万円を35年ローン、金利1.5%で借りた場合、毎月の返済は約15万円になります。これは返済負担率で30%を超え、教育費や突発的な支出が重なる時期には家計を圧迫するリスクが高いといえるでしょう。
 

無理なくマイホームを購入するための工夫

5000万円の家を買うのは厳しいと感じる場合でも、工夫次第で現実的な選択肢を広げることができます。
 
まずは、頭金をできるだけ用意することです。例えば、頭金を1000万円用意できれば借り入れは4000万円となり、毎月の返済負担を軽くできます。
 
また、返済期間を長めに設定することも有効で、最大40年ローンを選べれば月々の負担は下がります。ただし、総返済額は増えるため、老後の資金計画とのバランスを考慮する必要があります。
 
さらに、購入価格の見直しも大切です。立地や間取りなど優先順位をつけて調整すれば、無理のない範囲で満足のいく住宅選びが可能となります。
 

借入額は“返せる金額”から逆算しよう

年収600万円の世帯が5000万円の住宅ローンを組むことは、金融機関の審査上は可能な場合もあります。しかし、「年収の8倍」という水準は一般的な目安を大きく超えており、将来的なの家計リスクが高まることは否定できません。
 
安全に返済していくためには、年収の5〜7倍程度、返済負担率が25%前後に収めることが望ましいでしょう。
 
住宅ローンは「借りられる額」ではなく「無理なく返せる額」で決めることが何より大切です。頭金を増やすことや返済期間を工夫すること、物件価格を見直すことなど、複数の対策を組み合わせて、長期的にゆとりのある返済計画を立てましょう。安心できる返済計画があってこそ、マイホームは本当の意味で資産に変える第一歩となります。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

  • line
  • hatebu
【PR】 SP_LAND_02
FF_お金にまつわる悩み・疑問