45歳から住宅ローンを組むのは遅い? 年収600万円なのですが、無理なく返していくためにマイホームの予算はいくらくらいで考えるべきでしょうか?
この記事では、45歳から住宅ローンを組む際の注意点、年収600万円を前提にした無理のない返済計画、老後資金とのバランスを踏まえたマイホーム予算の考え方を解説します。
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目次
45歳からローンを組む際の制約と注意点
住宅ローンには「完済時年齢」の制限があります。多くの銀行では「完済時80歳未満」が条件で、フラット35も申込時70歳未満・完済時80歳未満と定めています。つまり、45歳でローンを組む場合は最長で35年ローンを選択できますが、80歳までの完済を考えると現実的には30年以内に抑えるほうが安心です。
また、年齢が上がると団体信用生命保険(団信)の保険料も割高になり、健康状態によっては加入が難しくなることもあります。さらに50代以降は収入のピークを過ぎ、教育費や親の介護などで出費が重なる可能性があるため、返済額を低めに設定することで、返済不能に陥るリスクを管理しましょう。
年収600万円を前提とした返済比率と借入可能額
金融機関の審査では「返済負担率30~35%」が上限とされていますが、実生活を考えると手取り年収の20~25%に収めるのが理想です。手取りを年収600万円の80%の480万円と仮定すると、年間返済額は96万~120万円(月額8~10万円)程度が目安です。
りそな銀行の住宅ローンシミュレーションを利用して、金利1.5%・返済期間30年・ボーナス払いなしで試算すると、借入可能額は2310万~2890万円です。これ以上の借入をすると、教育費や老後資金に影響する恐れがあるため、マイホームの予算は頭金を含めて3000~3600万円に抑えるのが現実的でしょう。
老後資金とのバランスを考えた安全な予算設定
45歳から住宅ローンを組む場合は、返済が定年後まで続かないようにすることが重要です。老後資金の確保と住宅費用のバランスを取り損ねると、退職後の生活に大きな影響を及ぼします。ここでは、安全なマイホーム予算を考えるためのポイントを整理しましょう。
退職時までに完済できる計画が理想
一般的に定年は、60~65歳です。45歳でローンを組む場合、返済期間を35年にすると完済は80歳となり、退職後も15年以上返済が続きます。これでは年金生活を圧迫してしまうため、現実的には20~25年程度の完済できる期間に設定するのがおすすめです。
・25年ローン:70歳完済(繰上返済を活用すれば65歳前後で完済可能)
・20年ローン:65歳完済(退職時にローンが終わる理想パターン)
老後に必要な生活費を試算する
総務省統計局の「家計調査報告 2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、高齢夫婦無職世帯の平均消費支出は1ヶ月あたり約25万円です。
これを基準にした場合、20年で6000万円の生活費が必要になります。ここから年金収入(夫婦で平均月22万円程度)を差し引くと、老後の不足額は多めに見積もって1000万~2000万円程度です。したがって、住宅ローン返済と並行して、老後資金を貯められる余裕を残す必要があります。
住宅購入後にかかる維持費も考慮する
住宅ローンの返済以外にも、以下の費用が発生します。
・固定資産税、都市計画税
・火災保険、地震保険
・修繕積立金、管理費(マンションの場合)
ローン返済額だけを貯蓄の基準にすると、維持費が思わぬ負担となり、将来の資金繰りを圧迫してしまう可能性があります。
無理なく返していくためのポイント
まずは家計全体を見直し、教育費・生活費・老後資金をシミュレーションしたうえで、住宅に充てられる金額を逆算することが大切です。例えば、次のような流れを意識すると計画が立てやすくなります。
1.年収・手取りに対する安全な返済比率を設定する
2.頭金をできるだけ準備し、借入額を減らす
3.購入後の維持費や修繕費を予算に組み込む
4.老後資金として確保すべき貯蓄を並行して準備する
これらのポイントを押さえ、「借りられる金額」ではなく「返していける金額」を基準に予算を設定しましょう。
無理なく返せる計画と老後の備えを両立させよう
45歳から住宅ローンを組むことは決して遅すぎるわけではありません。ただし、返済期間の制約や老後資金への影響は意識しておく必要があります。
年収600万円で45歳から住宅ローンを組む場合、マイホーム予算は頭金を含めて3000万~3600万円が現実的な目安です。退職までに完済できるよう繰上返済を活用しつつ、老後資金の確保も並行することが、安心してマイホームを持つための条件といえるでしょう。
出典
独立行政法人 住宅金融支援機構 【フラット35】ご利用条件
株式会社りそな銀行 住宅ローン シミュレーション(新規)毎月の返済額から調べる
総務省統計局 家計調査報告 2024年(令和6年)平均結果の概要
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー