奨学金を「月1万円」ずつ返還して残り「100万円」に。友人に「少しずつより繰上返還したほうが絶対良い!」と言われました。どれくらいお得なんでしょうか?
本記事では、奨学金の残債100万円を一括返還した場合の節約効果をシミュレーションします。繰上返還の注意点や申請方法も解説するので、ぜひ参考にしてください。
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奨学金を繰上返還するとどのくらいお得になる?
独立行政法人日本学生支援機構の奨学金には、無利子の「第一種奨学金」と有利子の「第二種奨学金」があります。
第一種奨学金には利子がつかないので、繰上返還しても返還額は変わりません。一方、第二種奨学金は貸与利率3%を上限として利子が課せられます。近年は利率が上昇傾向にあり、令和6年度の実績は図表1のとおりです。
独立行政法人日本学生支援機構 平成19年4月以降に奨学生に採用された方の利率を基に筆者作成
繰上返還によって節約できる利息額は、当初の計画通りに返還を続けた場合の利息の総額と等しくなります。
例えば、奨学金の残り100万円を月々約8300円(約1万円)ずつ返還する場合、貸与利率1.5%だと返還総額は約109万円です。つまり、100万円を繰上返還した場合、利息分の約9万円がお得になる計算です。
ただし、上記はあくまで概算の金額であり、実際の利子額は貸与総額や貸与利率、返済期間や繰上返還のタイミングによって異なります。
奨学金を繰上返還する場合の注意点
奨学金の繰上返還を検討している場合は、以下の2点に注意してください。
無理のない範囲で返還する
奨学金を繰上返還するためには、まとまった資金が必要です。貯金額に余裕がない場合や、出費のかかるライフイベントを控えている場合、繰上返還すると家計に負担がかかる可能性もあります。
繰上返還によって節約できる利息額と、手元の資金を確認し、無理のない範囲で繰上返還を検討しましょう。節約効果は下がりますが、全額ではなく残債の一部を繰上返還するのも手段の1つです。
一般的なローンの返済を優先する
奨学金の貸与利率の上限3%は、一般的なローンと比べると低金利です。例えば、住宅ローンや教育ローンなどの金利は、10~15%程度とされています。消費者金融やクレジットカードのリボ払いなどは、さらに高い金利が設定される場合もあるでしょう。
手元にまとまった資金がある場合も、より金利の高いローンを優先的に繰り上げたほうが、利子額を抑えやすくなります。
奨学金を繰上返還する方法
独立行政法人日本学生支援機構の繰上返還は、以下の2つの方法で申請できます。
・郵送
・オンライン
オンラインで申請する場合は、奨学生専用システムの「スカラネット・パーソナル」への登録が必要です。
独立行政法人日本学生支援機構の奨学金ページから「スカラネット・パーソナルへようこそ」というバナーをクリックすると、アカウントの新規登録ができます。スカラネット・パーソナルにおける繰上返還の手順は、以下のとおりです。
1. スカラネット・パーソナルにログインする
2. 「各種手続」からワンタイムパスワードを取得し、ログインする
3. 必要事項を記入または選択し、申込内容を確認する
4. 申し込みを完了させる
なお、オンラインで申請する場合は、あらかじめ口座振替(リレー口座)の登録も済ませておいてください。スカラネット・パーソナルからの申し込みができない場合は、「繰上返還申込書」を作成し、独立行政法人日本学生支援機構に郵送します。
まとめ
有利子の奨学金を借りている場合は、繰上返還により利子額を抑えられます。独立行政法人日本学生支援機構の場合、繰上返還はオンラインまたは郵送で手続きが可能です。
ただし、奨学金を繰上返還するには、まとまった資金を確保しなければなりません。手元の資金やライフイベント、そのほかのローン返済なども考慮しつつ、無理のない範囲で返還しましょう。
出典
独立行政法人日本学生支援機構 第二種奨学金の利率の算定方法の選択
独立行政法人日本学生支援機構 平成19年4月以降に奨学生に採用された方の利率
独立行政法人日本学生支援機構 繰上返還申込み
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
