これまでの貯金をはたいて、50歳で住宅ローンを完済しようと思います。老後のためにも、ローンはなるべく早く終わらせた方がいいですよね?

配信日: 2025.10.31
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これまでの貯金をはたいて、50歳で住宅ローンを完済しようと思います。老後のためにも、ローンはなるべく早く終わらせた方がいいですよね?
住宅ローンを抱えていると、「早く完済したい」「定年後が心配だから繰上げ返済したい」と思う方は多いでしょう。ですが、住宅ローンを繰上げ返済して完済する際に、注意すべきことがいくつかありますのでご紹介します。
宮﨑真紀子

ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士

大阪府出身。同志社大学経済学部卒業後、5年間繊維メーカーに勤務。
その後、派遣社員として数社の金融機関を経てFPとして独立。
大きな心配事はもちろん、ちょっとした不安でも「お金」に関することは相談しづらい・・・。
そんな時気軽に相談できる存在でありたい~というポリシーのもと、
個別相談・セミナー講師・執筆活動を展開中。
新聞・テレビ等のメディアにもフィールドを広げている。
ライフプランに応じた家計のスリム化・健全化を通じて、夢を形にするお手伝いを目指しています。

住宅ローンの繰上げ返済をするメリット

「毎月の住宅ローン返済が重荷になっているので、老後資金を貯めることもできず将来が不安」ならば、なるべく早く住宅ローンを完済することができれば精神的にも楽になるのでは……そのように考える方もいるでしょう。
 
住宅ローンの返済期間は教育費の負担が大きい時期と重なりますので、“老後資金の準備まで手が回らない”というのが現実です。住宅ローンの返済が終われば、老後資金の準備にも取り組めます。1つずつ片づけていく作戦です。
 
住宅ローンの繰上げ返済や、早期完済をすることのメリットと注意点を整理します。
 
1番のメリットは、住宅ローン返済金額の支払総額を減らすことです。住宅ローンは借金なので、早く返済することで利息の負担を減らせます。これは早い時期に実行することで、利息負担の軽減効果を大きくできます。
 
繰上げ返済をする方法は、

(1) 毎月の返済額はそのままで返済期間を短縮する「期間短縮型」
(2) 返済期間はそのままで毎月の返済金額を少なくする「返済額軽減型」

の2種類です。
 
自分のライフプランに合わせて選ぶことが賢明です。例えば、当初の設定で定年後も返済が続くとなると、まかなえる収入が必要になります。この場合は返済期間短縮型が安心です。返済額軽減型にすると、余裕資金で趣味や自己投資など経済的な自由度が増します。
 

繰上げ返済の注意点

繰上げ返済の効果は、支払総額を減らすだけでなく、住宅ローンの返済計画を自分のライフプランに沿ったものに変更することにあります。得られるメリットは大きいですが、注意点もあります。
 
まず、今回の相談者は「これまでの貯金をはたいて」と言っています。貯金を使い果たすことは、手元資金ゼロ。もしもの時のために生活費の半年分を別勘定にしていたとしても、何とも心もとないです。想定外の出費や教育資金は大丈夫なのでしょうか。
 
「足りなくなったらローンを利用する」確かに教育ローンをはじめ、車やカードローンなど手軽に利用できるシステムはあります。ですが、住宅ローンに比べて利率がかなり高いことに注意が必要です。慎重に判断してください。
 
2番目の注意点は“団体信用生命保険”の存在です。
 
この保険は契約者にもしものことが起きたら、住宅ローンの返済を免除されるものです。昨今は共働きが増えてペアローンを組む事例が増えていますが、分かりやすくするために、今回は1人で住宅ローンの契約をしていると仮定します。
 
50歳の時に手元にある貯金を使って住宅ローンを完済し、もしその直後に亡くなったら、残された家族の生活はどうなるでしょう? 住居費の心配はなくなったとしても、子どもさんの教育費は大丈夫でしょうか。ご家族の生活費や、さらには配偶者の老後資金に至るまでシミュレーションしてみることも必要です。
 
また、団体信用生命保険にがん特約なども付加している場合もあります。がんと診断されたら住宅ローンの支払いを免除されるものです。まずは自分の加入している団体信用生命保険の内容を確認することが大切です。
 
その上で、団体信用生命保険がなくなったら不足する保障分については、新たな保険契約なども検討しなければなりません。家族構成などを考慮して判断することが大切です。
 
住宅ローンを繰上げや早期に完済すれば、メリットもある一方で注意点もあることを見てきました。手元にある資金を、住宅ローンの返済ではなくNISAなどで運用することも一案です。
 
“繰上げ返済や早期完済”が最良の手段か否かは個々の事情によって違います。どのタイミングで、いくら返済に充てるのが良いか。大切な資金を生かす他の選択肢も含め、比較検討してみてはいかがでしょうか。
 
執筆者 : 宮﨑真紀子
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士

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