住宅ローンを完済したら、「抵当権抹消」が必要? 行わなかった場合のリスクと費用を解説

配信日: 2025.11.30
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住宅ローンを完済したら、「抵当権抹消」が必要? 行わなかった場合のリスクと費用を解説
住宅ローンを完済して、ようやく自分の家になったと感じる方も多いでしょう。しかし、実は完済しても完全に自由な持ち家になったわけではありません。
 
手続きの内容によっては住宅ローンを組む際に設定された「抵当権」が、登記簿上に残ったままになっている場合があり、これをそのまま放置しておくと将来的に思わぬトラブルや余計な費用が発生することがあります。
 
そこで本記事では、抵当権抹消の必要性や費用、行わなかった場合のリスクについて解説します。
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抵当権抹消は資産を守るための大切な手続き

抵当権とは、金融機関が住宅ローンの返済を確実にするため、不動産を担保として設定する権利です。ローンを完済すれば役目を終えますが、登記簿上では自動的に抹消されることはありません。抹消登記を自身で行わなければ、登記簿上は金融機関が担保として利用できる状態が残っているままとなります。
 
この状態を放置すると、将来不動産を売却したいときに買い主側のローン審査で抵当権が設定できないため不利となり、取引が遅れたり中止になったりする恐れがあります。
 
また、自宅を担保に新たな融金を受ける場合にも、古い抵当権が残っていることで融資の条件が悪化する可能性があります。つまり、抵当権抹消登記を怠ることは資産の流動性を低下させ、結果的に金銭的な機会損失につながる重要なリスクなのです。
 

手続きの流れと費用を把握しておこう

抵当権抹消は、住宅ローンを完済した後に金融機関から発行される「解除証書」や「弁済証明書」などをもとに、法務局で行います。登記申請は自分で行うことも可能ですが、書類の不備や管轄法務局の確認漏れなどがあると差し戻しとなり、手続きが遅れることもあります。
 
費用面では、法務局に支払う登録免許税が1物件につき1000円、土地と建物を合わせると2000円です。そのほか、必要書類の取得費用などの実費を含めても数千円で済むのが一般的です。
 
一方で、司法書士に依頼すると、報酬として1~3万円ほど余計にかかります。自分で行うか専門家に任せるかは、手間と時間、安心感のバランスを考えて判断するとよいでしょう。
 

抹消しないまま放置するとどうなる?

抵当権を抹消しないまま長期間放置しておくと、さまざまなリスクが生じます。
 
まず、不動産の売却時に抵当権が残っていると買い主のローン審査が通らず、契約が延期または破談になることがあります。また、相続時に抵当権が残っている場合は、相続人が登記変更を進められずトラブルに発展するケースもあります。
 
さらに、時間がたつほど関係書類を紛失するリスクも高まります。金融機関が統合や合併により連絡先が変わっていた場合には、書類の再発行手続きに手間と費用がかかることもあります。結果的に、手続きを後回しにしたことによって、通常よりも多くの費用や時間を費やすことになりかねません。
 

手続きをスムーズに進めるポイント

抵当権抹消をスムーズに進めるためには、住宅ローンの完済後できるだけ早く動くことが重要です。必要書類が手元にそろっている状態であれば、申請もスムーズに行えます。
 
登記済証(または登記識別情報通知)、解除証書(登記原因証明情報)、本人確認書類などを準備し、法務局の受付時間や申請方法を事前に確認しておくとよいでしょう。
 
もし、平日の日中に時間が取れない場合や書類の扱いに不安がある場合は、司法書士に依頼するのも有効です。費用はかかりますが、専門家に任せることで手続きが確実になり、時間の節約にもつながります。
 

抵当権抹消手続きは先送りしないようにしよう

住宅ローンを完済しても、抵当権が登記簿上に残っているかぎりは、あなたの不動産は完全な「自分の資産」とはいえません。抵当権抹消手続きを怠ると、不動産の売却や相続、資金調達といった重要な局面で、時間的・金銭的な損失を被る恐れがあります。
 
抵当権抹消にかかる費用は比較的少額で済みますが、放置した場合のリスクや損失はそれ以上に大きくなる場合が多いです。ローン完済という節目を迎えた今こそ、完済と同時に抵当権を抹消し、名実ともに「自分の家」として資産を守りましょう。
 

出典

法務局 住宅ローン等を完済した方へ(抵当権の登記の抹消手続のご案内)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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