子どもが私立大学に進学予定です。世帯年収500万円、貯金は150万円あります。奨学金を借りる場合、どのくらい借りるのが目安でしょうか?
本記事では、私立大学へ進学する際にかかる学費と自宅通学・自宅外通学によってかかる費用を確認し、奨学金制度の概要と奨学金を借りるときの目安について解説します。
ファイナンシャル・プランナー
中小企業診断士
早稲田大学理工学部卒業。副業OKの会社に勤務する現役の理科系サラリーマン部長。趣味が貯金であり、株・FX・仮想通貨を運用し、毎年利益を上げている。サラリーマンの立場でお金に関することをアドバイスすることをライフワークにしている。
私立大学の学費について
お子さまが私立大学へ進学予定ということですので、まず、私立大学の学費について学部別の平均を図表1で見てみましょう。なお、これらは平均であり、大学によって大きく異なる場合があります。
また在学費用は、初年度の授業料および施設設備費に修学年数を乗じて算出した概算額です。あくまで目安としてとらえ、具体的な試算を行う際は進学希望先の大学の費用を確認してください。
図表1:学部別平均学費(大学4年間)
| 学部 | 入学料 | 在学費用 (授業料・施設設備費) |
合計 |
|---|---|---|---|
| 文科系 | 22万3867円 | 388万3892円 | 410万7759円 |
| 理科系(理・工) | 22万3534円 | 503万224円 | 525万3758円 |
| 医・歯系(医)※ | 136万98円 | 2231万6022円 | 2367万6120円 |
| 医・歯系(歯)※ | 59万4849円 | 2272万1148円 | 2331万5997円 |
※医・歯系は6年間で算出
出典:文部科学省「令和5年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について」より筆者作成
次に、独立行政法人日本学生支援機構の「令和4年度 学生生活調査結果」より、大学学部(昼間部、4年間)の場合で、自宅通学・自宅外通学(アパート等)の学生生活費について見てみます。
自宅の場合が173万1800円、自宅外通学(アパート等)だと240万3800円の費用がかかります。当然の結果ですが、自宅外通学は家賃がかかるため、67万2000円も割高となっています。
なお、ここでの学生生活費とは、学費と生活費(食費、住居・光熱費、保健衛生費、娯楽・し好費、通信費を含むその他の日常費)の合計額となります。
世帯年収と奨学金制度
1. 主な奨学金制度
日本学生支援機構(JASSO)が提供している奨学金制度には、主に図表2の制度があります。
図表2:奨学金の種類と世帯年収(目安)
| 奨学金の種類 | 世帯年収(目安※) | 概要 | |
|---|---|---|---|
| 給付奨学金 | 380万円 | 授業料・入学金の免除・減額を受けられ、 かつ返還を必要としない給付型奨学金の支給を受けられます。 |
|
| 貸与奨学金 | 第一種 | 600万円~700万円 | 無利子で奨学金を借りることができます。 |
| 第二種 | 1000万円~1100万円 | 利子付き(上限年利3%)で奨学金を借りられます。 | |
※目安であり、扶養している子の人数や年齢、勤労形態などによって異なる。
(出典:独立行政法人日本学生支援機構「奨学金制度の種類と概要」より筆者作成)
2. 奨学金を借りる目安算出のステップ
(1)お子さまの大学進学にかかる学費総額の把握
その際には、大学4年間にかかる学費の総額だけでなく、生活費も考慮して総額を算出します。
(2)自己資金の把握
世帯年収500万円、貯金150万円からお子さまの学費に充当できる金額を試算します。
(3)不足額の算出
(1)から(2)を引いた額が不足額になりますので、その額を奨学金で借りる目安となる金額となります。
まとめ
まずは、お子さまの進学先の学費を正確に把握し、家計から無理なく出せる金額を明確にしましょう。その上で、進学に必要な分を奨学金として借りるように計画を立てるようにしましょう。
なお、世帯年収500万円の場合、無利子で借りられる第一種奨学金制度の採用基準を満たす可能性があるため、まずは第一種奨学金の審査を受けてみることをおすすめします。
出典
文部科学省 令和5年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金等平均額(定員1人当たり)の調査結果について
独立行政法人日本学生支援機構 令和4年度 学生生活調査結果
独立行政法人日本学生支援機構 奨学金制度の種類と概要
執筆者 : 堀江佳久
ファイナンシャル・プランナー