住宅ローン“4000万円”借入! 銀行に「変動金利0.6%・固定金利3%」と言われたけど、夫は「固定金利にする」とのこと…2.4%も高いのにナゼ? 転換期を迎える“日本の金利情勢”を解説
銀行の窓口で「変動金利0.6%、固定金利3%」と提示されれば「月々の支払いが安い変動金利で決まり」と考える人もいるでしょう。この2.4%の金利の差は、月々の返済額に直すと約4万8000円もの支払いの差となるからです。
それでも、なぜあえて高い「固定金利」を選ぶ人がいるのでしょうか。それは、日本の金利情勢が大きな転換期を迎えていることが一因だと考えられます。
本記事では、変動金利の仕組みとリスクを解説し「何年目に金利が何%になったら総支払額が逆転するのか」を具体的にシミュレーションします。夫婦で納得のいく選択をするための判断材料にしてください。
FP2級、日商簿記2級、宅地建物取引士、証券外務員1種
銀行にて12年勤務し、法人および富裕層向けのコンサルティング営業に従事。特に相続対策や遊休地の有効活用に関する提案を多数手がけ、資産管理・税務・不動産戦略に精通。銀行で培った知識と経験を活かし、収益最大化やリスク管理を考慮した土地活用のアドバイスを得意とする。
現在は、2社の経理を担当しながら、これまでの経験をもとに複数の金融メディアでお金に関する情報を発信。実践的かつ分かりやすい情報提供を心がけている。
変動金利のリスクとは
変動金利は固定金利に比べて低く設定されていますが、その名の通り「変動する」リスクを借り手が負う金利です。金利が上昇すると利息の支払いが増え、毎月の返済額が増加します。収入が変わらない中で返済負担だけが重くなれば、家計を直撃するでしょう。
そうならないために、銀行や契約条件によっては急に返済額が増えないようにする保護ルールがあります。例えば、金利が急騰しても5年間は返済額を据え置く「5年ルール」や、返済額の上げ幅を前回の1.25倍までに抑える「125%ルール」などです。
ただし、これらはあくまで支払いを一時的に先送りにする仕組みです。上昇した分の金利は支払わなくてはならず、最終的に「未払利息」として一括請求されるリスクもゼロではありません。
変動金利の仕組みを理解しないまま、固定金利より安いからという理由だけで選ぶと、将来想定以上に金利が上がったときに後悔する可能性があります。
変動金利0.6%、固定金利3%で総支払額の差はいくら?
変動金利、固定金利それぞれで35年間の総支払額を比較してみましょう。
・変動金利0.6%:月々約10万6000円/総返済額約4436万円
・固定金利3.0%:月々約15万4000円/総返済額約6465万円
その差は約2030万円です。数字だけを見れば、変動金利のほうが圧倒的に有利に映ります。しかしこれは、35年間ずっと金利が変わらなかった場合の試算です。
変動金利は文字通り「変動する」ものであり、将来の金利上昇次第でこの差は大きく縮まる、あるいは逆転する可能性もあります。
支払い総額が逆転するのはどんな場合?
例えば5年目に変動金利が3.8%へ上昇し、以後その水準が続くケースで試算しましょう。この場合、35年間の総支払額は約6470万円となり、固定金利3%の約6465万円を上回って逆転が起きます。
借り始めから間もない時期に急激な上昇が起きるほど、固定金利が有利です。逆に言えば、返済が進むほど逆転に必要な金利の水準は上がっていきます。これくらいは上がるかもしれないと感じるラインがどこにあるかが、変動金利か固定金利かを選ぶ判断の分岐点といえそうです。
まとめ
日本では長く続いた低金利環境が転換期を迎えつつあり、金利が上昇し始めています。変動金利を選ぶ場合、これからは金利が上がらない前提ではなく、金利が上がりうる前提で考える必要があります。
変動金利と固定金利、どちらが安くなるのかは完済するまで分かりません。しかし、住宅ローンは「どっちが得か」ではなく「最後まで確実に返し続けられるか」という家計管理の問題として捉えるべきです。
固定金利を望む判断は、家族の生活を金利の変動という不確かなものにさらしたくないという、堅実な視点に基づいた選択なのかもしれません。
執筆者 : 竹下ひとみ
FP2級、日商簿記2級、宅地建物取引士、証券外務員1種