更新日: 2021.02.18 ローン

クルマではおなじみだけど、こんなものまで対象になるの? 「残価設定ローン」の仕組みや特徴とは

執筆者 : 上野慎一

クルマではおなじみだけど、こんなものまで対象になるの? 「残価設定ローン」の仕組みや特徴とは
2020年の国内自動車新車販売総数は459万台あまりで、前年比11.5%減少、4年ぶりに500万台割れと低迷しました(※1)。こちらでもコロナ禍の影響が大きかったようです。
 
とはいえ、月次ベースでは12月まで3ヶ月連続で前年実績を上回り、回復基調もうかがえます。この時期には新聞の折り込みチラシなどでも、クルマの広告が増えたような気がいたします。
 
上野慎一

執筆者:

執筆者:上野慎一(うえのしんいち)

AFP認定者,宅地建物取引士

不動産コンサルティングマスター,再開発プランナー
横浜市出身。1981年早稲田大学政治経済学部卒業後、大手不動産会社に勤務。2015年早期退職。自身の経験をベースにしながら、資産運用・リタイアメント・セカンドライフなどのテーマに取り組んでいます。「人生は片道きっぷの旅のようなもの」をモットーに、折々に出掛けるお城巡りや居酒屋巡りの旅が楽しみです。

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クルマの「残価設定ローン(クレジット)」とは

そんな広告チラシの片すみでよく見かけるのが、「残価設定ローン(クレジット)」。例えば、車両価格200万円(税抜き)のクルマで[140万円分は59回の分割払い。60万円分(残価)をどうするかは、複数の選択肢の中から60回目に決める]といった形で案内されています。
 
この場合、消費税、登録諸費用、分割払手数料などは別途負担が必要ですが、最初の資金負担をかなり抑えて新車が手に入ります。
 
また、車両価格の全額をローンにした場合に比べると残価部分だけ借入額が少なくなり、月々の返済額(元本と金利)を抑えることができます。
 
そして、上記の例で残価60万円分を5年後にどうするのかの選択肢は、次の4つです。

(1)新車に乗り換える
(2)返却する
(3)残価を一括払いして、そのまま乗り続ける
(4)残価分を改めて分割払いにして、そのまま乗り続ける(分割払手数料を改めて負担する必要あり)

上記の(1)と(2)のためには、このクルマのコンディションが最初に決めておいた基準内であることが必要です。走行距離や損傷状況などによって残価の評価が60万円以下になってしまうと、差額を別に負担しなければなりません。
 
このような残価設定ローン(クレジット)は、いろいろなメーカー・販売店で一般的に取り扱っています。クルマという消費財が、価格レンジ、商品サイクルやその中での保有・乗り換えサイクル、中古市場の整備状況などの面でこうした金融商品となじみやすいからこそ、普及している側面もあるのでしょう。
 

対象が「住宅」になったら、どうなる?

では、こうしたローンの対象商品が「クルマ」ではなく「住宅」だったらどうでしょうか。資産のジャンルが「動産」から「不動産」になり、価格レンジも大きく変わります。商品のサイクルやその中での買い換えサイクル、すぐに売買できるかどうかの「流動性」の面などでもかなり違う感じです。
 
住宅は、所有している人の資産であると同時に社会全体のストックという側面もあります。こうした住宅ストックが長期にわたって良質に維持管理され、そのことを評価してより流通しやすくする仕組みづくりの1つとして、残価設定ローンを住宅に導入する検討が進行中です。
 
国(国土交通省)は、このような金融商品を開発し普及させる取り組みを支援するため、ここのところ毎年予算を確保しています。新聞報道によれば、2021年度にはモデル事業が具体的に始まる運びのようです。
 
こうした動きを先取りして、新生銀行が2019年11月に発売開始した商品化事例もあります。特定メーカーの住宅商品が対象で適用エリアも限定されていますが、試算例として借入額6500万円のうち1400万円を35年後の残価として設定することにより、月々の返済額が約2.6万円軽減されると示されています(※2)。
 
どうして35年も先の残価が決められるのか。それは、建築するメーカーがグループで長期買い取り保証をするからです。もちろん、メーカーが指定する定期点検や長期修繕計画をキチンと継続することが前提でしょうから、住宅所有者のほうも長期のメンテナンスにおカネや手間を通常以上にかける必要があります。
 
35年後の出口の選択肢はクルマの場合に似ていますが、リバースモーゲージへの借り換えもできる点などは、住宅(不動産)ならではといえるでしょう。
 

まとめ

住宅は、クルマよりもはるかにライフサイクルが長く、しかも個別性の強い資産です。国の支援で残価設定ローンの事業化を検討している団体機関の中には、ローン取扱期間を10年間と短く想定する事例もありました。
 
数字だけはずいぶん前から決めて買い取り保証をするのに、残価部分の価値や取り扱いが実際にどう決まるのかが長期の将来まで先延ばしされる。その点は、利用者だけではなく金融機関や買い取り保証をする建設・不動産業者にとっても、不安要素なのでしょう。
 
クルマと同じように手軽な感覚で残価設定ローンが住宅にも普及・定着していくかどうかは、まだまだ不透明。今後の動向も気になるところです。
 
[出典]
(※1)一般社団法人日本自動車販売協会連合会「年別統計データ」~「新車・年別販売台数(登録車+軽自動車)」
(※2)新生銀行「NEWS RELEASE」~「支払額軽減住宅ローン『新生パワーセレクト』の取扱開始について」(2019年11月7日)
 
執筆者:上野慎一
AFP認定者,宅地建物取引士
 

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