最終更新日:2019.01.10 公開日:2018.08.23
老後

増える高齢者と介護保険料…保険料滞納で差し押さえ処分を受けた高齢者の数が過去最多に! 滞納するとどうなる?

厚生労働省の調査によると、介護保険料を滞納し、市区町村から資産の差し押さえ処分を受けた65歳以上の高齢者が543自治体で1万6161人(2016年度)となり、過去最多だったことがわかりました。
 
大阪市の872人が最多。千葉県習志野市、広島市、長崎市、横浜市と続いています。この背景には、高齢者の増加と介護保険料の上昇が考えられます。介護保険料を滞納するとどうなるのか解説します。
 

65歳以上の介護保険料の決まり方

介護保険の総費用は半分を公費(国、都道府県、市区町村)、半分を保険料で賄っています。保険料は、40~64歳の方(第2号被保険者)が支払う保険料と65歳以上の方(第1号被保険者)が支払う保険料からなっています。保険料は3年に一度見直されます。
 
第1号被保険者と第2号被保険者の保険料負担割合は、その人口比率に応じて全国一律に設定されています。
 
平成27~29年度は第1号被保険者22%、第2号被保険者28%でした。平成30~32年度においては、高齢者の増加に伴い、第1号被保険者23%、第2号被保険者27%となりました。
 
各市区町村では、必要となる介護保険サービスの見込み総額を算出し、この金額に65歳以上の人の負担分23%を掛けて、これを市区町村の65歳以上の金額で割り、65歳以上の保険料の「基準額」が決まります。
 
いままでの介護保険料(月額・全国加重平均)の推移を見てみると、平成12~14年度は2,911円、平成15~17年度は3,293円、平成18~20年度は4,090円、平成21~23年度は4,160円、平成24~26年度は4,972円、平成27年~29年度は5,514円、そして、平成30~32年度は5,869円となっています。このように3年ごとに保険料が上昇しています。
 
さらに、細かく市区町村別に見てみると、平成30~32年度、最も保険料が低いのが北海道音威子府村の3,000円、最も高いのは福島県葛尾村の9,800円と、約3.3倍の差があります。
 
また、保険料は地域差だけではなく、所得に応じた差もあります。
 
地域ごとの「基準額」に所得段階(標準9段階)に応じた乗率を掛けてそれぞれの人の保険料が決まります。同じ市区町村内の人でも所得が低ければ保険料の負担は少なくて済みます。逆に所得が大きいと保険料の負担が大きくなります。
 
例えば、ある市区町村では所得段階が15段階に分かれており、基準額は6,470円で、最も保険料が安い第1段階では2,590円、最も保険料が高い15段階では22,650円となっています。
 

介護保険料はどうやって納めるの?

40歳~64歳の会社員や公務員の保険料は月給と賞与に医療保険者ごとの保険料率を掛けた額を、原則、勤務先と折半して負担し、給与や賞与から天引きされます。被扶養者(会社員・公務員の妻など)の保険料は、原則、別途納付する必要はありません。国民健康保険の加入者は、国民健康保険料(税)に上乗せして納付します。
 
65歳以上の保険料は公的年金が年間18万円以上の人は年金から天引きされます(特別徴収)。年金が年額18万円未満の人は市区町村からの納入通知書や口座振替により個別に納付します(普通徴収)。
 
介護保険料滞納や滞納により差し押さえを受けた人は直接納付の人がほとんどとみられます。
 

介護保険料を滞納するとどうなる?

滞納していた期間に応じてペナルティーの内容が異なります。
 
1年以上滞納すると、利用したサービス費用は全額自己負担となります。その後、申請により保険給付費(本来の自己負担を除く費用)が返還されます。
 
1年6か月以上滞納すると、利用したサービス費用は全額自己負担となります。保険給付費(本来の自己負担を除く費用)についても、一部または全部が一時的に差し止めとなります。
 
2年以上滞納すると介護保険料を滞納している期間に応じて、利用したサービス費用の自己負担割合が、一定期間3割または4割(自己負担割合が3割の場合)に引き上げられます。
 
また、高額介護サービス費などの支給が受けられなくなります。
 

介護保険料の支払いが困難になったら

滞納する前に早めに、市区町村の介護課などに相談してください。保険料の軽減措置を受けられる場合があります。
 
Text:新美 昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。

新美昌也

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/



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