公開日:2019.10.03 老後

「老後資金」 若い世代ほど計画的に準備している?

「年金だけでは暮らせない! 2000万円は貯蓄を」との金融庁が諮問した報告書に対して、さまざまな意見や反応が出ました。またその後公表された政府の「年金財政検証」でも、20年後には年金の大幅減少が公表されています。ただ若い世代ほど「年金以外の老後資金は必要」と感じている人が多いと思われます。
 
黒木達也

執筆者:

執筆者:黒木達也(くろき たつや)

経済ジャーナリスト

大手新聞社出版局勤務を経て現職。

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黒木達也

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執筆者:黒木達也(くろき たつや)

経済ジャーナリスト

大手新聞社出版局勤務を経て現職。

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年金への過大な期待は無理

すでに年金を受給している世代は、受給額の減額が不安材料になっています。
 
年金で生活全てがまかなえるとは思っていなくても「2000万円の貯蓄が必要!」との報告書で、「やっぱり」と不安を覚えた人は多かったはずです。特に65歳を過ぎて受給を始めた人は「マクロ経済スライド方式」など、将来の年金減額への不安があります。
 
これから受給を始める50歳台後半の人は、受給開始の年齢が引き上げられることへの不安があり、無関心ではいられません。
 
受給額がわかる「ねんきん定期便」は知っていても、正直「いまさら貯蓄しろと言われても」という心境の人が多いはずです。政府の「年金財政検証」の数字より、さらに悪化することも十分に考えられます。
 
年金を最近受給し始めた世代に比べ、現在75歳以上の人は年金受給に関して恵まれていました。特に会社員や公務員だった人は、55歳、60歳の退職の時点で、かなりの金額の退職金を得るか、退職金を年金化して10~20年間受け取ることができました。公的年金にプラスして受給できる老後資金があったわけです。
 
しかし、終身雇用の見直し、企業年金制度の変化などにより、老後資金を巡る環境が変わり、退職後に準備可能な資金が少なくなっています。
 

若い世代ほど2000万円問題に冷静

若い世代は年金に過大な期待をかけていないこともあり、2000万円問題へもクールな対応が目立ちます。準備できるかは別問題として、自分なりに努力して資産運用をすることを意識しています。
 
もちろん受給を間近に迫っている世代に比べ、資産運用などによっては、今後資産を増やせる可能性があるため、多少余裕をもって考えることができるのかもしれません。
 
各種アンケート調査などを見ても、老後に備え「貯蓄をすることは当然」と考えており、年金以外の老後資金が2000万円で十分と考える人は少数派で、むしろ「3000万円程度は必要」と考える人が多くなっています。
 
年金だけを支えに老後を暮らせると考えている人は、かなり少ないと思われます。できるかぎり計画的に貯蓄しようとする意欲は、読み取ることができます。
 
現在80歳以上の人たちは、銀行の定期預金や郵便局の定額貯金をすれば、10年以上で倍額となり資産形成ができました。金融機関に長期に預けることが、資産形成に寄与したのです。しかし超低金利時代が長く続き、資産形成を目的として銀行や郵便局にただ預けていればよい、と考える人はほとんどいなくなりました。
 

資金づくりのための具体策

どのような資産運用を考えているのでしょうか? 会社員などが利用しているものに利息や配当に対する「税の優遇制度」があります。利息など運用益に税金がかからない方法です。その代表例が通称NISA(少額投資非課税制度)と、イデコ=iDeCo(個人型確定拠出年金)の利用です。
 
どちらも運用で得た利益が非課税になるため、長期の投資により資産を増やすことができます。2017年からは、イデコの利用が個人単位でも可能になり、広範囲の人に適用され利用者が急増しています。
 
NISAは、年額120万円の範囲で購入した株式や投資信託の配当などが、5年間分が非課税となる制度で、株価の上昇や配当で得た資金が無税になります。ただし下落した株式を売却しても、損失となるだけで配当などと相殺はできせんので注意が必要です。
 
非課税口座には限度額が定められているため、限度額(120万円)以上は、非課税対象にはなりません。
 
しかし銀行預金に魅力がないため、定期預金に回す人は激減しています。NISAの限度額を超え、売買益や配当が課税対象となっても、株式や投資信託を購入し資産形成に努力している人が増えています。それだけ株式投資が一般的になりつつあります。
 
高齢になっても株式を持ち続ければ、配当が老後の生活資金にもなり、また株主優待で好きな商品などを受け取ることができれば、これもプラスになるからです。
 
イデコ=iDeCoは、これまで多くの企業年金が、企業が運用し支払額を保障する確定給付型の年金だったものが、個人の責任で運用する確定拠出型に変更されたものです。企業は原資を拠出しますが、運用は個人です。個人の判断で購入した投資信託などの配当が課税されずに、個人の年金資産に組み入れられていく仕組みです。
 
そのため運用次第で、年金の積立額に大きく影響されてきます。リスクをとって高額配当をめざすか、利息は少ないが安全運用にするのか、個人の運用能力が問われます。
 

誰もが利用できる優遇制度

自営業者、フリーター、非正規の社員などが加入できる優遇制度もあります。これらの人の多くは厚生年金などに加入できないため、将来受け取る年金も基礎年金だけに限られ、老後の生活には十分な金額ではありません。
 
その代表例が国民年金基金と個人型のイデコです。国民年金基金は通常支払う国民年金の保険料に上乗せして積み立てることにより、将来の年金受取額を増やすことができます。
 
個人型のイデコは、個人レベルで拠出・運用し運用益が非課税となる制度で、会社員が加入しているイデコと同じ仕組みになります。また個人事業主を対象に、「小規模企業共済」があり、積立により廃業または退職時に、一括して資金を受け取ることができます。
 
いずれにしても「これだけ準備すれば安心」という基準はありませんが、準備をしているかどうかで、老後の生活に大きく影響してきます。とくに若い世代の人は、年金に期待できないからこそ、それに代わる備えが必要になります。
 
執筆者:黒木達也
経済ジャーナリスト

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