更新日: 2019.10.04 セカンドライフ
2021年以降、老後の働き方はどう変わる? 30代~50代は「骨太方針2019」を要確認
政府としては、70歳までの雇用延長、または定年廃止など、ひと昔前までの「60歳定年」からは大きく延長されています。時代の過渡期に、現在の30代~50代の人たちは、しっかりとマネーリテラシーを磨いて、移り変わる制度と背景を認識しておきましょう
執筆者:寺門美和子(てらかど みわこ)
ファイナンシャルプランナー、相続診断士
公的保険アドバイザー/確定拠出年金相談ねっと認定FP
岡野あつこ師事®上級プロ夫婦問題カウンセラー
大手流通業界系のファッションビジネスを12年経験。ビジネスの面白さを体感するが、結婚を機に退職。その後夫の仕事(整体)で、主にマネージメント・経営等、裏方を担当。マスコミでも話題となり、忙しい日々過ごす。しかし、20年後に離婚。長い間従事した「からだ系ビジネス」では資格を有しておらず『資格の大切さ』を実感し『人生のやり直し』を決意。自らの経験を活かした夫婦問題カウンセラーの資格を目指す中「離婚後の女性が自立する難しさ」を目のあたりにする。また自らの財産分与の運用の未熟さの反省もあり研究する中に、FPの仕事と出会う。『からだと心とお金』の幸せは三つ巴。からだと心の癒しや健康法は巷に情報が充実し身近なのに、なぜお金や資産の事はこんなに解りづらいのだろう?特に女性には敷居が高い現実。「もっとやさしく、わかりやすくお金や資産の提案がしたい」という想いから、FPの資格を取得。第二の成人式、40歳を迎えたことを機に女性が資産運用について学び直す提案業務を行っている。
※確定拠出年金相談ねっと https://wiselife.biz/fp/mterakado/
女性のための電話相談『ボイスマルシェ』 https://www.voicemarche.jp/advisers/781
年金開始に個人差があるのはなぜ?
時代が大きく変わり、日本は超高齢化社会になりました。昭和と令和の時代では、年金においても、掛金・支払期間・受給開始時期・受給金額等、大きく変貌しています。またこの公的年金には2種類、国民年金と厚生年金があり、それぞれ支給部分が異なる人がいます。
また厚生年金加入者は、自らは分からないかもしれませんが、国民年金部分の基礎年金に加入をしています。現在の年金の支払時期は、年代別の調整期間であり、段階的に受け取れる年齢が変わっています。
しかし、男性では昭和36年4月2日以降、女性は5年遅れで、昭和41年4月2日以降に生まれた人たちの基準は、現在65歳です。これは近い将来、年齢が繰下げになる可能性がありますので、アンテナを張っておいてください。
また、現在は65歳が支給の基準ですが、最短60歳まで繰上げ、最長65歳まで繰下げることができます。この繰下げ・繰上げで受給金額も変化します。
65歳以前に受給することを「繰上げ」(早くに、繰上げて受給する)
66歳以降に受給することを「繰下げ」(ゆっくり、繰下げて受給する)
1ヶ月刻みで、早く受給する場合は0.5%減ります。受給を遅らせる場合は、0.7%増えます。現状70歳の支給ですので、最大で42%増となり、例えば年間100万円を受給する方は142万に、200万円なら284万円になります。このように、繰上げ、繰下げのシステムを使って、支給開始の時期をずらしている場合もあります。
制度の過渡期により、受給時期が異なります。若い方はその点注意をして、今後制度が変わるでしょうから、自分が年金を受け取れる年齢を把握、変化に対応してください。
現行65歳以上働いた場合の年金はどうなるの?
2019年8月の時点で65歳の人は、1954年生まれです。昭和29年生まれですから、報酬部分の老齢厚生年金は61歳から、女性は60歳から受給している方もいるでしょう。
「年金」と「給与等」のW収入がある方は、働いて得た収入が多い場合には、年金が減らされる制度があります。それを『在職老齢年金』といいます。この制度、働いている年金受給者からの評判はよくありません。「なんで年金を減らされないといけないのか」という声も耳にします。
過去に年金を受給していた高齢者と比べると、矛盾を感じるかもしれませんが、かつての方々は、第二次世界大戦の苦労を背負われた方々です。“慰労金”と考えてもよいのではないでしょうか。この働く高齢者の年金額調整制度『在職高齢年金』のルールを見てみましょう。
在職老齢年金のルールは、「65歳未満」と「65歳以上」の2つの物差しで考えます。
<65歳未満:年金減額基準>
毎月の年金額+毎月の報酬額 = 28万円を超える場合
<65歳以上:年金減額基準>
毎月の年金額+毎月の報酬額 = 47万円を超える場合
老後、夫婦2人で生活をする場合、モデルケースとして生活費は28万円、比較的豊かな生活をする場合は32万円が必要と言われています。
今の法律では、65歳未満で年金を受取ってしまい、なおかつ働いたら、28万円の壁があることを意識しないと超えてしまいます。「あれ?」と、計算ミスをして受取額を間違え、生活費に響く場合もありますので注意が必要です。しかしこの制度、働く意欲は失われてしまいますね。
2021年以降に変わる予定の老後の働き方
働いても年金が減額されると、意欲がなくなってしまうこのシステム。政府はこの『在職老齢年金システム』の廃止を検討しています。早ければ、2021年開始。そして、高齢者が働きやすくなる改革案7つを示しています。
1:定年廃止
2:70歳までの定年延長
3:継続雇用制度導入(子会社・関連会社での継続雇用を含む)
4:他の企業(子会社・関連会社以外の企業)への再就職の実現
5:個人とのフリーランス契約への資金提供
6:個人の起業支援
7:個人の社会貢献活動参加への資金影響
高齢者の雇用確保には、今まで以上に高齢者の特性に応じた配慮が必要になるでしょう。例えば、肉体的にキツイ業務は、休憩時間や勤務日への配慮も必要です。一緒に働く若い世代の理解も必要です。
その一方で、経験を生かした業種、接客・マネージメント・コンサルタントなどの業種は、高齢化が進むかもしれません。さらに、高齢者に職業をあっせんする業種や、ホスピタリーの教育、社会制度導入のための職種は求められるでしょう。
オリンピック終了後の日本は、かつてない時代の変化が訪れそうです。アンテナを高くして、さまざまな可能性へ夢を膨らましていきたいですね。時代に置いて行かれないように。
執筆者:寺門美和子
ファイナンシャルプランナー、相続診断士