更新日: 2022.06.30 老後

【中小企業経営者必見!】経営者退職金に必要な「役員退職金規程」を解説

執筆者 : 古田靖昭

【中小企業経営者必見!】経営者退職金に必要な「役員退職金規程」を解説
経営者が勇退時や死亡時に退職金を受け取るには、役員退職金規程を定めておく必要があります。特に退職金の算出基準として「功績倍率」が適正でなければ税務署から指摘されることがあるため注意が必要です。
 
本記事では、役員退職金規程の必要性や退職金の計算方法について解説します。
 
古田靖昭

執筆者:古田靖昭()

二級ファイナンシャルプランニング技能士

役員退職金規程はなぜ必要なのか

役員退職金規程は、適正な金額と計算方法を明らかにするために必要となります。例えば、取締役が2人いる場合に、退職金の算出基準が不明瞭で退職金の額に差が出てしまいますと、退職金が少ない方の取締役は不公平と感じてしまいます。
 
また退職金は、税務上損金として扱うことになるため、極端に高額な退職金を支給した場合、税務署から損金を否認され、損金として計上できなかった部分が利益扱いとなり、追徴課税されてしまうことがあります。
 
役員退職金は、会社法において定款または株主総会の決議によって定めることが明記されており、役員退職金規程の作成が必須というわけではありません。しかし、適正な金額と計算方法を明らかにすることで、会社内や税務署などとのトラブルを避けることができます。
 

役員退職金の計算方法

役員退職金の計算方法には、「功績倍率法」と「1年当たり平均法」があります。
 

功績倍率法による計算方法

功績倍率法は、役員の功績倍率を定めて計算する方法です。

役員退職金額=最終報酬月額×勤続年数×功績倍率

また一般的な功績倍率は、図表1のとおりです。一般的な目安となっており、数値に根拠があるわけではありません。ただし、一般的な功績倍率よりも過大にすると税務署から指摘される可能性が出てくるため注意が必要です。
 
【図表1】功績倍率

図表1

 
出典:裁判所 法人税更正処分取消請求事件 東京地方裁判所 昭和55年5月26日(昭和52(行ウ)287)より筆者作成
 
代表取締役を例に計算してみます。
 
最終報酬月額70万円×勤続年数30年×功績倍率3.0=6300万円
 
6300万円が役員退職金額となります。
 

1年当たり平均法による計算方法

1年当たり平均法は、類似業種で同規模法人の役員退職金の平均支給額を算出して、1年当たりの退職金の平均額を用いて計算する方法です。

役員退職金額=1年当たり平均退職金額×勤続年数

1年当たり平均退職金額を算出するにあたって、A社が280万円、B社が250万円としますと、265万円です。
 
1年当たり平均退職金額265万円×勤続年数30年=7950万円
 
7950万円が役員退職金額となります。
 
1年当たり平均法は、功績倍率法を補完する役割があり、功績倍率法が1年当たり平均法よりも高額になる場合、税務署から極端に高額な退職金とみなされる可能性が出てくるため注意が必要です。
 

役員退職金の支給手続き

役員退職金を支給するには、定款または株主総会による決議といった手続きが必要です。もし手続きを怠る場合、退職金として認められず損金算入が認められなかったり、支給額の返還義務が生じたりします。
 
役員退職金の手続きにあたって、定款の場合、役員退職金の支給について定め、支給の計算方法などの細則は、役員退職金規程に定めるとよいでしょう。株主総会による決議の場合、支給方法や退職金の額などを議案として株主に示して、株主の半数を超える表決によって決めることになります。実際には、取締役会に一任する決議で行われることが多いです。
 

出典

e-Gov法令検索 会社法
国税庁 第7款 退職給与 (業績連動給与に該当しない退職給与)
裁判所 法人税更正処分取消請求事件 東京地方裁判所 昭和55年5月26日(昭和52(行ウ)287)
 
執筆者:古田靖昭
二級ファイナンシャルプランニング技能士

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