更新日: 2022.10.30 定年・退職
定年退職で失業保険は受け取れる? 待期期間はどれくらいかかる?
失業保険を受け取るには要件や待期期間があります。本記事では、定年退職をしたときの失業保険の受給要件や待期期間について解説します。なお、本記事では、定年退職の年齢を60歳として記載しております。
執筆者:中村将士(なかむら まさし)
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー
私がFP相談を行うとき、一番優先していることは「あなたが前向きになれるかどうか」です。セミナーを行うときに、大事にしていることは「楽しいかどうか」です。
ファイナンシャル・プランニングは、数字遊びであってはなりません。そこに「幸せ」や「前向きな気持ち」があって初めて価値があるものです。私は、そういった気持ちを何よりも大切に思っています。
受給要件は2つ
一般に、失業保険は雇用保険のことをいいます。定年退職で失業保険を受け取れるかどうかは、雇用保険(基本手当)の受給要件を満たしているかどうかで判断します。
雇用保険(基本手当)の受給要件は、以下のとおりです。要件は全て満たす必要があります。
●ハローワークに来所し、求職の申込みを行い、就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、本人やハローワークの努力によっても、職業に就くことができない「失業の状態」にあること
●離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12ヶ月以上あること
出典:ハローワーク インターネットサービス 「基本手当について」
注意しなければならないのは、定年退職をした後、すぐに働こうとは思っていない場合(しばらく休養しようと思っている場合)には、基本手当を受け取ることができないということです。
待期期間は7日間
雇用保険(基本手当)は、すぐに受け取ることができません。雇用保険法第21条に「失業している日が通算して7日に満たない場合は、支給しない」旨の規定があります。いわゆる待期期間です。
退職には、待期期間の他、給付制限(期間)があります。給付制限は、雇用保険法第32条から第34条にかけて規定があります。給付制限は、ある条件に該当した場合、一定期間基本手当を支給しないというものです。例えば、「自己都合で退職した場合は待期期間の後、2ヶ月間は基本手当を支給しない」ことになります。
定年退職の場合、給付制限の規定は適用されません。待期期間である7日間を経過したら、失業保険を受け取ることができます。
定年退職の場合、所定給付日数(基本手当が支給される日数)は、以下のとおりです。
●被保険者であった期間が10年未満:90日
●被保険者であった期間が10年以上20年未満:120日
●被保険者であった期間が20年以上:150日
所定給付日数については、「自己都合による退職」と同じ扱いになります。
まとめ
定年退職をした場合、雇用保険(基本手当)を受け取れる可能性はあります。問題は、以下の要件を満たせるかどうかです。
●「失業の状態」にあること
●離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12ヶ月以上あること
定年退職後に引退や休養をする場合、失業保険を受け取ることはできません。
これらの受給要件を満たした場合、受け取れるまでの期間は、7日間です。所定給付日数は、最大で150日分(被保険者期間20年以上)となります。
また、本記事では触れませんでしたが、定年退職後、再就職した場合には、雇用継続給付(高年齢再就職給付金)を受け取れる可能性があります。基本手当と雇用継続給付は、併せて覚えていただくといいのではないかと思います。
出典
ハローワーク インターネットサービス 「雇用保険制度の概要」
ハローワーク インターネットサービス 「基本手当について」
人事院 「雇用保険の基本手当の所定給付日数」
ハローワーク インターネットサービス 「よくあるご質問(雇用保険について)」
e-Gov法令検索 「雇用保険法」
厚生労働省 「失業等給付を受給される皆さまへ」
執筆者:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー