50代で貯金が700万円あれば老後は安泰?「老後破産」を防ぐには?

配信日: 2023.07.28

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50代で貯金が700万円あれば老後は安泰?「老後破産」を防ぐには?
若いうちから50代までかけてコツコツとためた700万円の貯金。これだけあれば老後は安泰といえるのでしょうか。また、老後破産を防ぐためにはどのようなことに気を付けておくべきなのでしょうか。
 
老後に不安を抱える50代の方や、「1000万円は難しいけど700万円くらいならなんとかなりそう」と老後に備えてお金をためておこうと考える方に向けて、解説していきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

50代で貯金700万円では不安が残る

50代で700万円の貯金があったとしても、それだけで老後は安泰とはいいきれないでしょう。総務省の家計調査によれば、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の平均的な支出は、月額26万8508円です。
 
それに対して平均的な社会保障給付(年金など)は22万418円です。つまり、年金収入だけでは毎月5万円程度、年間60万円程度不足することになります。
 
図表1

図表1

出典:総務省 家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要
 
仮に、老後は年金と貯金だけで生活していこうと思っても、700万円という金額では、12年と持たずに貯金が底を尽きてしまいます。
 
また、高齢の単身者においては、月々の支出が15万5495円となっています。対して年金などの社会保障給付は12万1496円となっており、毎月3万4000円程度不足しています。年間では、41万円ほど不足することになります。
 
図表2
図表2

出典:総務省 家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要
 
現在は人生100年時代といわれることもあり、90歳近くまで生きることも珍しくはありません。厚生労働省の「令和3年簡易生命表の概況」の数値をもとに65歳から90歳まで、平均より少々長く生きると仮定し、老後安泰といえるだけの貯金額を用意するなら、1000万円から1500万円は必要でしょう。
 
実際には個別の事情によって、700万円の貯金でも安泰といえる方もいるかもしれません。しかし、統計をもとに確認する限り、一般的には700万円の貯金で安泰とはいえないことが分かります。
 

老後破産を防ぐためには?

老後破産は、支出を年金収入に見合ったものとすること、そして十分な老後資金の形成、という2点で防ぐことができます。老後は年金収入だけで生活するとなると、基本的に収入は現在より落ちることになります。
 
そのため、老後は今よりも支出を抑えた生活にする必要があります。先の統計を参考にするのであれば、夫婦で毎月27万円以内、単身者なら16万円以内に月の支出を抑えることが必要でしょう。
 
加えて、老後は家のリフォームや医療費の増加など、若いころにはなかったような支出が生じることもあります。また、年金収入では不足する生活費を補てんするための貯金も必要です。
 
それを踏まえ、老後破産を防ぐためには、現役時代からの十分な貯蓄などの資産形成、そして老後はできるだけ支出を抑えた生活を送ることが必要になってくるでしょう。
 

50代の今からできることは?

50代の方が老後破産をしないために今から将来に向けて特にやっておきたいことは、老後資金をより多く準備しておくことです。例えば、年金生活に突入したとき、老後資金として貯金が1000万円や1500万円あれば、貯金が700万円しかない状況よりも安定した状態で老後を迎えることができます。
 
そのためには今から収支を見直し、老後に向けて無駄な支出はできる限り削減していくべきです。そうすることで、老後までにより大きな額の老後資金を用意できます。加えて、老後に収入が下がったとしても、それに応じた生活にスムーズに移行しやすくなります。
 
また、健康の維持・増進に努めて、老後もできるだけ長く働けるようにしておくことも大切でしょう。老後に時給1000円で1日4時間、週3日働くだけでも毎月5万円近くの収入を得ることができます。
 

少しでも老後を安泰させたいのであれば、少なくとも老後までに1000万円から1500万円の貯金を

50代で貯金が700万円あったとしても、統計上の一般的な生活を想定すると、安泰とはいえません。安泰といえるだけの貯金額を確保したいのであれば、老後を迎えるまでに1000万円から1500万円程度の貯金を目標にしておきたいところです。
 
しかし、貯金さえあれば老後破算が防げるというものでもありません。老後に向けて貯金をしつつ、老後の生活についてイメージしながら、できる備えを少しずつ進めていってください。そうすることで、老後破産を防ぎ、安定した老後を迎えることができるでしょう。
 

出典

総務省 家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要
厚生労働省 令和3年簡易生命表の概況
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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