更新日: 2024.07.17 定年・退職
貯金2000万円がある50代のサラリーマンです。定年前最後の贅沢で「メルセデス・ベンツ」を買いたいのですが、老後資金を考えたら我慢するべきでしょうか…。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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メルセデス・ベンツの購入費用
メルセデス・ベンツの価格はモデルや仕様によりますが、一般的には表1のような価格帯となっています。
表1
Gクラス | 約1294万円 |
Cクラス セダン | 約599万円~867万円 |
GLBクラス | 約638万円~815万円 |
Aクラス | 約484万円~568万円 |
GLEクラス | 約1268万円~1510万円 |
GLCクラス | 約839万円~998万円 |
GLAクラス | 約588万円~806万円 |
Sクラス | 約1518万円~2289万円 |
表は価格コム「メルセデス・ベンツの新車情報」を基に筆者作成
最低でも約500万円、希望車種によっては1000万円を超えるものもあります。さらに、車検・税金・保険料・ガソリン代など、年間数十万円の維持費がかかることも留意しなければなりません。
総務省「家計調査報告 〔 家計収支編 〕 2023年(令和5年)平均結果」によれば、二人以上の世帯における自動車等関係費の月平均額は2万5316円でした。年間で換算すると約30万192円になります。
実際の維持費は車種によって異なりますが、メルセデス・ベンツの場合、国産車と比べて修理費などの維持費が高くなる可能性があるでしょう。
老後の生活費
総務省の家計調査報告によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯における月の収入は24万4580円で、支出は25万959円でした。
老後の生活には夫婦二人の場合、1月あたり25万円ほど必要であることがわかります。25万円の収入で年間約30万円が車の維持費で消えると考えると、家計状況によっては厳しい可能性があります。
公的年金の受給額
令和6年度の年金額については、以下の通りです。
●国民年金:6万8000円
●厚生年金:23万483円
国民年金は令和5年度の月額6万6250円から2.7%引き上げられ、令和6年度の月額は6万8000円となります。ただし、昭和31年4月1日以前に生まれた方の場合、月額は6万7808円です。
厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)は、平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43万9000円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準が、令和5年度の月額22万4482円から2.7%引き上げられたため、令和6年度の月額は23万483円となります。
老後が国民年金のみの収入の場合、高級車であるメルセデス・ベンツを維持していくことは大変です。
老後資金が不足する場合の打開策
メルセデス・ベンツを購入すると老後資金が不足する場合は、以下の対策を検討する必要があります。
●中古車を購入する
●カーリースを利用する
●老後資金を増やすために、節約や副業を行う
新車を購入する代わりに、中古のメルセデス・ベンツを購入することで、初期費用を抑えることが可能です。また、カーリースを利用する方法もあります。カーリースは、一定期間車を利用するための契約で、契約期間が終了したら車を返却します。あくまでもリースであるため、車が自分のものになるわけではありません。
しかし、車の所有に伴う維持費や税金を抑えられる点は大きなメリットといえるでしょう。ほかに、生活費を見直して節約することや、副業を始めて収入を増やすことも有効な対策です。ただし、副業を始める際は、現在の職場の規定を確認することが重要です。
後悔のない選択をするために、十分な情報収集と検討が必要
メルセデス・ベンツの購入は大きな買い物といえます。国民年金のみの収入である場合、高級車であるメルセデス・ベンツを維持することは大変です。車の維持費には、ガソリン代・保険料・車検費用・修理費用などが含まれ、これらは年間で数十万円にも上ることがあります。
また、老後の生活費や医療費なども考慮に入れなければなりません。これらの費用をカバーするためには、年金収入だけでは不足する可能性があります。そのため、高級車を購入する場合は慎重に考えるべきです。
自身の価値観や生活スタイルを十分に考慮したうえで最終的な決定を下しましょう。メルセデス・ベンツを所有することが充実した老後の生活に欠かせないと判断するのであれば、価値のある買い物になるでしょう。2000万の貯金も、高級車を買えば大幅に減少するのは避けられません。
メルセデス・ベンツの購入を考える際には、老後の生活費と自身の貯金額を比較し、将来的な生活設計をしっかりと立てることが大切です。
出典
総務省 家計調査報告 〔 家計収支編 〕 2023年(令和5年)平均結果
日本年金機構 令和6年4月分からの年金額等について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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