あと5年で定年退職する予定ですが、老後資金として「70万円」ほどしかありません。定年時に貯蓄がない人はどのくらいいるのでしょうか?
配信日: 2024.12.06
この記事では、60代の平均貯蓄額や、老後に必要となる生活費の目安をまとめました。老後資金を増やす方法もご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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60代の平均貯蓄額はどのくらい?
60代の貯蓄額について、金融広報中央委員会 知るぽるとが実施した「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)」および「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」には、表1の数値が掲載されていました。
表1
金融資産保有額(単身世帯) | 金融資産保有額(二人以上世帯) | |
---|---|---|
平均値 | 1468万円 | 2026万円 |
中央値 | 210万円 | 700万円 |
※筆者作成
仮に老後資金として70万円ほどしかない場合、単身世帯、二人以上世帯のどちらであっても平均値・中央値ともに下回る結果であることが分かります。そのため、老後に必要な貯蓄としては、少ない額であると考えられるでしょう。
また、同調査では金融資産の有無についても割合が掲載されています。60代で金融資産を保有していない人の割合は単身世帯で33.3%、二人以上世帯で21.0%です。このことから、貯蓄がない人の方が少ないことも覚えておくとよいでしょう。
老後に必要となる生活費の目安
老後に必要となる1ヶ月の生活費の目安について、総務省統計局「家計調査報告 [家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要」では、以下の消費支出額が掲載されています。
●65歳以上の単身無職世帯:14万5430円
●65歳以上の夫婦のみの無職世帯:25万959円
仮に、70万円の貯蓄のみで生活すると仮定した場合、単身世帯だと約5ヶ月、夫婦のみの世帯だと約3ヶ月で資金が尽きてしまう可能性が高いです。実際には、年金を受け取れると考えられますが、70万円の資金では心もとないと考えられるでしょう。
定年までの5年間で老後資金を増やす方法
定年までの5年間で老後資金を増やす方法として、以下の2つがあげられます。
●資産運用をする
●年金の繰下げ受給を検討する
上記の内容について、詳しく見ていきましょう。
資産運用をする
定年までの5年間で、効率よく老後資金を増やすのであれば、資産運用を検討してみましょう。NISAなど投資初心者でも始めやすい制度もあるため、現在の資金を運用することで老後資金を増やせるかもしれません。
資産運用を始める際、不明点などがある場合は銀行や専門家などに相談してみるとよいでしょう。
ただし、投資などにおいては、資金が減るリスクもともないます。資産運用すること自体は選択肢に入れても問題ありませんが、無理のない範囲で取り組むことをおすすめします。
年金の繰下げ受給を検討する
年金がすぐに受け取れなくても問題ないのであれば、繰下げ受給を検討するのも選択肢となります。日本年金機構によれば、66歳以後75歳まで繰り下げた場合、増額率は最大84.0%となっており、仮に70歳まで5年後ろ倒しにするだけであっても、受け取れる年金額の増額率は42.0%です。
ただし、加給年金額や振替加算額は増額の対象になりません。繰下げ待機期間中は、加給年金額や振替加算も受け取れないといった注意点もあるため、自身にとって無理のない選択かを慎重に判断しましょう。
なお、繰下げ受給によって、年金が受け取れない期間が生まれることで困る場合もあるでしょう。このときは再雇用や再就職などで、受給されない期間をカバーするとよいかもしれません。
60代で貯蓄がない人の割合は単身世帯で33.3%、二人以上世帯で21.0%
60代で貯蓄がない人の割合を調べてみると、単身世帯で33.3%、二人以上世帯で21.0%であると分かりました。そのため、貯蓄がない人の方が割合としては少ない結果となります。
また、老後資金が70万円しかない場合、60代の貯蓄額の平均値や中央値と比較しても下回っていることを覚えておきましょう。状況によっては、生活が苦しくなることも想定されるため、定年までの間に老後資金を増やすような工夫が重要と考えられます。
出典
金融広報中央委員会 知るぽると 家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](平成19年以降) 各種分類別データ(令和5年) 統計表の番号4 金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)
金融広報中央委員会 知るぽると 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年以降) 各種分類別データ(令和5年) 統計表の番号4 金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 表2 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)及び65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の家計収支 -2023年-(19ページ)
日本年金機構 年金の繰下げ受給
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