50歳で“セミリタイア”した独身の友人。「貯蓄が5000万円あるから大丈夫」と言いますが、老後まで生活費は足りるのでしょうか?

配信日: 2025.02.17

この記事は約 4 分で読めます。
50歳で“セミリタイア”した独身の友人。「貯蓄が5000万円あるから大丈夫」と言いますが、老後まで生活費は足りるのでしょうか?
会社を早期退職し、必要最低限の収入で生活することを「セミリタイア」といいます。あなたの身近にも、セミリタイアをした人がいるかもしれません。もしくは、ご自身でセミリタイアを検討している、という人もいらっしゃるでしょう。
 
セミリタイアを検討する際に気になるポイントといえば、生活費です。仕事を辞めても生活費を捻出できるのか、疑問を抱いている人もいるでしょう。
 
今回は「50歳・独身・貯蓄5000万円」でセミリタイアをした場合、その後の生活費を賄えるかについて解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

貯蓄5000万円でセミリタイアできる?

厚生労働省「令和5年簡易生命表」によると、令和5年時点で50歳男性の平均余命は、32.60歳です。そこで今回は、余命を33年と設定し、50歳でセミリタイアした後の家計収支を計算します。
 
総務省統計局の2023年「家計調査/家計収支編」によると、単身・勤労者以外の世帯における消費支出月額は、平均15万4665円とのことです。33年分に換算すると、以下の金額になります。
 
・15万4665円/月×12ヶ月/年×33年=6124万7340円
 
一方、65歳以降になると年金を受給できます。厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金保険(第1号)受給者の平均年金月額は、併給する老齢基礎年金の額も含めて、14万7360円でした。65歳から83歳になるまでの18年間受給した場合の総額は、次の通りです。
 
・14万7360円/月×12ヶ月/年×18年=3182万9760円
 
この値(3182万9760円)を前述の消費支出額6124万7340円から引くと、2941万7580円となります。よって、貯蓄5000万円で賄える計算になります。アルバイトなどの収入も足すと、さらに負担は減るでしょう。
 
ただし今回の計算については、以下の点に注意が必要です。
 

・平均年金月額の計算対象には、定年まで勤めた場合も含まれる
・消費支出月額には、税金や国民健康保険料などの非消費支出額が含まれない
・病気やけがなどにより、支出額が増加する場合もある

 
消費支出額や年金受給額は、一人ひとり異なります。人によっては、貯蓄が5000万円あっても不足する可能性があるため、ご注意ください。
 

セミリタイアのメリットとデメリット

セミリタイアを検討する際は、メリットとデメリットを把握してから判断することが大切です。この章では、セミリタイアの3つのメリットと、2つのデメリットを解説します。
 

メリット

・自由な時間が増える

労働時間が減ることで、自由に使える時間が増えるでしょう。家族と過ごす時間や、趣味の時間を優先できるようになるため、プライベートが充実すると考えられます。
 

・住む場所の制限が少なくなる

「会社の通勤圏内に住まなければならない」といった制限が減ります。実家の近くや、穏やかな地方など、好きな場所に住みやすくなるでしょう。貯蓄額が不安な場合は、物価の低い地域に引っ越し、生活費をおさえる選択肢もあります。
 

・社会とのつながりが途切れない

完全なリタイアではないため、社会との接点を適度に保てます。仕事に割く時間も調整しやすくなるでしょう。自分にあった職場環境が見つかれば、仕事の時間を増やすことも可能です。
 

デメリット

・社会的な信用が低下しやすい

仕事で得る収入が減るため、社会的な信用が低下するおそれがあります。クレジットカードの発行や、銀行でのローン契約の際に不自由を感じるかもしれません。
 

・再就職が難しい傾向にある

一定の年齢を超えると、セミリタイア後の再就職が難しくなるようです。正社員に復帰しようとしても、就職先が見つからないかもしれません。
 

50歳・独身・貯蓄5000万円でのセミリタイアなら、消費支出総額を賄える可能性がある

独身者が50歳でセミリタイアし、83歳になるまで生きた場合、平均的なデータを参考にすると、消費支出総額は6124万7340円と想定されます。5000万円の貯蓄に、厚生年金保険やアルバイトの収入を合わせると補えるでしょう。
 
ただし、年金の支給額は、加入期間や収入によって異なります。また、病気やけがなどで急な出費が発生するかもしれません。人によっては貯蓄5000万円では補えない場合もあるため、注意が必要です。
 

出典

厚生労働省 令和5年簡易生命表の概況 令和5年簡易生命表(男)(2ページ)
厚生労働省年金局 令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況 II.厚生年金保険 (2)給付状況 表6 厚生年金保険(第1号)受給者平均年金月額の推移(8ページ)
政府統計の総合窓口(e-Stat) 総務省統計局 家計調査/家計収支編 単身世帯 詳細結果表 第1表 <用途分類>1世帯当たり1か月間の収入と支出 単身世帯・勤労者世帯・勤労者世帯以外の世帯・無職世帯
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

  • line
  • hatebu
【PR】
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集