「70代で現役」はめずらしくない?今年70歳の祖父が「年金だけじゃ足りない」と「月30万円」ほど稼ぎ、今も働き続けています。高齢者の就労率と平均収入はどのくらい?
本記事では、70代の就業率や平均収入のデータをもとに、高齢者の働き方について解説します。
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目次
70代でも働いている人は多い? 高齢者の就業率を確認
総務省の「労働力調査(2024年)」によれば、70~74歳の就業率は35.1%に達しており、約3人に1人が仕事をしていることになります。さらに、75歳以上でも12.0%の人が働いているとされています。
こうしたデータから、高齢者が70歳を超えても「現役」で働くことは、決してめずらしいことではないといえます。特に、再雇用制度やシルバー人材センターの活用、柔軟な労働形態の普及によって、高齢者が働き続けやすい環境が整いつつあります。
また、健康面でも、70代前半の多くが自立した生活を送り、就労可能な体力を維持していることも、就業率の高さにつながっています。
70代の平均収入はどのくらい? 月30万円は多いのか
高齢者の平均収入は、働き方や地域によって差がありますが、国税庁「令和5年分 民間給与実態統計調査」によると、70歳以上の平均給与は293万円とされています。これを月額に換算すると、約24万円の収入となります。また、男女別にみると、男性が368万円(月額約31万円)、女性は197万円(月額約16万円)とされています。
つまり、「月30万円」の収入は、男性の中では平均的な水準に近く、女性にとっては高めの収入といえます。ただし、働き方によって収入には大きな差があります。パートや短時間勤務では月10万円未満にとどまることもあり、地域差も影響します。
そのため、月30万円の収入は一部の人にとっては現実的ですが、すべての高齢就労者に当てはまる水準ではありません。
年金だけでは足りない? 働き続ける理由と現実
高齢者が働き続ける主な理由には、「年金だけでは生活費をまかなえない」という現実的な事情があります。
2025年現在、国民年金の満額支給額は月6万9308円です。また、厚生労働省「令和5年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金の平均年金月額は14万7360円とされています。
夫婦世帯でも、年金のみではゆとりある生活を送るには不十分と感じる人も少なくありません。
さらに、医療費や介護費の負担、住宅ローンの残債、物価上昇への対応なども、高齢者の家計に重くのしかかっています。このため、就労によって毎月の収入を補い、安定した生活を維持しようとする人が増えているのです。
一方で、「社会とのつながりを保ちたい」「自分の経験を活かしたい」といった心理的な要因も見逃せません。働くことそのものが生活のハリとなり、心身の健康維持にも良い影響を与えているとの指摘もあります。
まとめ:70代で働くのは当たり前の選択肢に
「70代でも現役」は、いまや特別なことではなくなっています。就業率は70~74歳で35%を超え、75歳以上でも12%が働いているというデータがそれを裏付けています。
平均収入は月24万円程度ですが、働き方によっては月30万円以上を得るケースもあります。
年金だけでは生活が難しいと感じる人が多く、収入の補填や生きがいを求めて働き続ける高齢者が増えているのが現状です。
今後ますます進む高齢社会では、「自分に合った働き方で、必要な分だけ働く」ことが自然な選択肢になっていくでしょう。健康や生活スタイルに合わせて、無理のない範囲で働く環境を整えることが、これからの高齢期の新しいスタンダードとなりつつあります。
出典
総務省統計局 労働力調査(基本集計)2024年(令和6年)平均結果の概要
国税庁長官官房企画課 令和5年分 民間給与実態統計調査 調査結果報告
日本年金機構 令和7年4月分からの年金額等について
厚生労働省年金局 令和5年度厚生年金保険・国民年金事業の概況
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
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