勤務先に「退職金」がないので、老後資金が不安です…90歳までの生活費は「年金月14万円+貯金500万円」で足りますか? 総務省の資料をもとに“収支”を確認

配信日: 2025.09.24 更新日: 2025.10.21
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勤務先に「退職金」がないので、老後資金が不安です…90歳までの生活費は「年金月14万円+貯金500万円」で足りますか? 総務省の資料をもとに“収支”を確認
近年、物価の上昇が続いていることもあり、退職後の生活について不安を抱えている人が多いのではないでしょうか。中には、勤務先に退職金制度がなく、定年退職時にまとまったお金が入ってこないことが非常に心配という人もいるかもしれません。
 
そこで本記事では、退職金がない人が500万円の貯蓄と老齢年金で老後の生活を不自由なく送れるのかを検証していきます。
小川ひろ

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年金はいくら受け取れる?

老齢年金は原則として65歳から受給可能です。厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金保険(第1号)受給権者の平均年金(老齢年金)月額は14万7360円となっています。
 
ちなみに、年金額は物価や賃金の動向に応じて毎年見直しが行われていますが、2025年4月分からは以下の通りとなっています。

●国民年金(老齢基礎年金・満額):6万9308円/月
●厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額):23万2784円/月※

※平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円で40年間就業した場合の年金の給付水準

 

1ヶ月の生活費はどの程度かかる?

年金額を確認したところで、定年後の1ヶ月の生活費はどの程度かかるのか、総務省「家計調査(2024年)」から確認してみましょう。

●夫65歳以上、妻60歳以上で構成する夫婦一組の世帯(無職世帯):25万8621円
●60歳以上の単身世帯(無職世帯):15万1010円

これらの金額には社会保険料、税金は含まれておりません。
 

老後の生活が不安! 本当に必要な金額を知ろう

家計調査の結果について紹介しましたが、誰もがその金額で不安がない生活を送れているとは限りません。生命保険文化センターの「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」によると、老後の生活に「不安感あり」と回答した人は82.2%もいました。
 
また同調査によると、夫婦2人で必要と考える最低日常生活費の平均額は月23万2000円という結果になっています。さらに、ゆとりある生活を送るためは23万2000円にプラスして月平均14万8000円は必要という回答結果もありました。
 
趣味などを楽しむ老後を送りたいのであれば、夫婦2人で毎月約38万円の生活費が必要だということです。
 

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500万円の貯蓄と年金だけで老後の生活は大丈夫?

家計調査や生活保障に関する調査の結果を見るかぎり、最低限の生活を送るのであれば、年金だけでも足りるのでは? と思うかもしれません。しかし、老齢年金は原則65歳にならないと受け取れないことを忘れてはいけません。60歳~64歳までの生活費は別に準備しておく必要があります。
 
例えば、夫婦2人で毎月23万円の生活費がかかる家庭であれば、1104万円(23万円×48ヶ月)は必要です。この間、全く収入がないのであれば、500万円の貯蓄だけでは非常に厳しいといえます。
 
また、1人で月14万円の年金を65歳~90歳まで受け取った場合、総額4200万円(14万円×300ヶ月)になります。一見すると非常に多いように感じますが、生活費以外に「病気の治療費」「冠婚葬祭費」「施設の入居費」などの費用をこの金額から出すと考えると、足りなくなる可能性が高いといえるでしょう。
 

足りない老後資金をどうやって準備する?

貯蓄と年金だけで老後資金が足りない場合の資金の作り方について紹介します。主な特徴と共に確認していきましょう。
 
・固定費を削る
「家賃の安い家に引っ越す」「電気会社を見直して光熱費を下げる」「スマホ料金の見直し」などで固定費を削ると生活費を多少抑えられます。
 
・継続雇用制度
現在の勤務先に定年後も継続雇用してもらうという方法です。ただし、現役時よりも給与が下がるケースや勤務条件が変わるケースもあるため、制度の詳細を確認してください。
 
・再就職
勤務先に継続雇用制度がない場合は、再就職も検討しましょう。今のうちに得意なことや資格などスキルの棚卸しをしておくことをおすすめします。
 
・資産運用
株式や投資信託などでの資産運用も検討しましょう。市場の動き次第にはなりますが、預貯金よりも効率よく資産を増やすことも可能です。ただし、元本割れする場合もあることに注意してください。
 

退職金がない人は今のうちから資産作りを考えよう

老後の生活には夫婦で月23万円ほどは必要です。年金だけでも足りそうな金額ではありますが、年金をもらうまでの期間の生活費やいざという時のお金は準備しておく必要があります。もし、退職金がないのであれば、定年後も働く、資産運用などの方法で資産を作っておきましょう。
 

出典

厚生労働省 令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
日本年金機構 令和7年4月分からの年金額等について
総務省 家計調査 家計収支編 二人以上の世帯 2024年
総務省 家計調査 家計収支編 単身世帯 2024年
公益財団法人生命保険文化センター 2022(令和4)年度 生活保障に関する調査
 
執筆者 : 小川ひろ
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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