71歳の父は治療費を「3割負担」で支払っていました。普通は「2割負担」だと思うのですが、それほど収入があるということでしょうか?
しかし、今回の事例のように、70歳以上の父親が治療費を3割負担で払っているのを見れば、「そんなに収入があるのか」と疑問に思うかもしれません。70歳から74歳までの人の自己負担割合は、所得に応じて異なります。
そこで今回は、70歳から74歳までの医療費負担の仕組みと、3割負担の基準を解説します。
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目次
70歳から74歳までの自己負担割合について
70歳から74歳までの人は、医療機関での自己負担割合が現役世代と異なります。
日本の医療保険は、義務教育就学前は2割負担、6歳(義務教育就学後)から69歳までの現役世代は3割負担ですが、70歳から74歳までの人は原則2割負担、75歳以上は原則1割負担と、70歳以上の高齢者になると年齢が上がるほどに自己負担割合が減る仕組みです。
しかし、70歳以上でも一定以上の所得がある人は現役並み所得者とされ、3割負担となる可能性があります。70歳以上でも、すべての人が現役時代と比べて医療保険の負担割合が軽くなるわけではないのです。
現役並み所得者とは? 3割負担の基準
3割負担が適用されるかどうかは、住民税課税所得や年間収入などの基準により判断されます。70歳から74歳で3割負担となるのは、住民税課税所得が145万円以上かつ、単身世帯の場合年間収入額が383万円以上、2人以上の世帯の場合世帯合計の年間収入が520万円以上の場合です。
この基準を超えると、現役並み所得者とみなされ、医療費が3割負担になります。負担割合が2割から3割に増える影響は、通院などが多くなりがちなシニア層にとって決して小さくありません。
例えば10万円の医療費がかかった場合に、2割負担なら2万円で済むところ、3割負担では3万円となります。年間では負担額に数万円から数十万円の差が生じる可能性もあります。
年金に加えて給与収入や不動産収入などがある人は、基準を超えやすく3割負担になるケースが多いと考えられます。自分や家族の医療費負担がどう変わるのか理解しておくと、老後の家計を考えるうえで役立つでしょう。
今回のケースではどれくらいの収入が想定されるのか?
今回のように、71歳の父親の医療費が3割負担の場合、「現役並み所得者」に該当している可能性が高いでしょう。
前項でみたように、単身であれば年収383万円以上が目安です。この場合の年収とは実際に受け取る総額(公的年金・給与・その他収入の合計)を基準として判断されます。仮に手取り額を年収の80%とすると306万4000円となり、1ヶ月あたり約25万5333円以上を受け取っていると推測できます。
同様に、2人以上世帯の場合では年収520万円以上が基準であるため、実際の年間の手取り額は416万円以上が目安です。1ヶ月に換算すると世帯合計で約34万6667円以上の年金・給与・不動産収入などを受け取っていると考えられます。
単身世帯なら約25万5333円以上、2人以上世帯なら世帯合計で約34万6667円以上を毎月受け取っている可能性がある
70歳から74歳までの医療費負担は一律ではなく、所得によって割合が異なります。
基本的には2割負担、現役並み所得者と認定された場合は3割負担です。現役並み所得者に該当するかどうかは、年金・給与・不動産収入などの収入に応じた基準が設けられています。その基準は、単身世帯で年収383万円以上、2人以上世帯で合計年収520万円以上です。
今回のケースのように、71歳の父親の自己負担割合が3割の場合、月収に換算すると、単身世帯なら約25万5333円以上、2人以上世帯なら約34万6667円以上を受け取っている可能性があります。
医療費負担の仕組みを理解しておくと、将来の生活設計や老後資金の見通しを立てやすくなるでしょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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