定年後は憧れの「ハーレー」を購入してツーリングをしたいという夫。貯金と退職金あわせて2000万円ほどしかありませんが、バイクを購入しても今後生活できるでしょうか?
本記事では、統計データをもとにシミュレーションしてみます。
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目次
老後家計の平均は毎月約3万4000円の赤字、2000万円で何年もつ?
老後の生活設計では、平均的な家計収支を把握することが出発点になります。老後の生活において、公的年金中心の家計では、必要額と受取額のギャップが生じるケースがあります。
総務省統計局の「家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦高齢者無職世帯では、支出が収入(主に年金など)を上回り、月に約3万4000円の赤字です。毎月3万4000円の赤字となると、年間約40万8000円の取り崩しです。手元資産2000万円なら単純計算で約49年分耐えられます。
しかし、実際は医療・介護費の増大、耐久消費財の買い替え、インフレ、年金課税や社会保険料などで取り崩しペースは上振れする可能性があります。したがって、バイク購入は「初期費用+維持費」を年次キャッシュフローに織り込み、赤字幅の拡大が許容範囲かで判断するのが合理的です。
「ハーレー」のツーリングモデルの価格は約377万円~580万円
ハーレーダビッドソンのバイク価格は、公式ページで確認できます。ツーリングモデルの場合、価格帯は約377万円~580万円です。仮に本体税込み380万円、諸費用・オプションでプラス20万円~30万円を見込むと、初年度総額は400万円前後になります。
現金一括では資産2000万円が一気に1600万円ほどへ目減りし、運用収益機会の喪失も生じるかもしれません。一方、ローンなら頭金と金利負担で年次キャッシュフローが増えますが、手元流動性の維持が可能です。どちらにせよ、「初期費用400万円規模」を組み入れたライフプランの再試算が不可欠です。
維持費は保険・税金・整備で年数十万円規模の可能性
維持費は固定費と変動費に分けて考えます。固定費は自賠責保険、任意保険、駐車場などです。
任意保険は年齢条件・等級・免許歴で幅がありますが、ツーリング頻度が高く車両価格が高額な場合は保険料も相応に上振れます。さらに、法定点検・消耗品(タイヤ、ブレーキ、オイル、バッテリーなど)、ガソリン代、高速料金、装備・ウエアなどの費用も加わります。
これらを総合すると、年間の維持費はおおむね15万円~25万円程度になる可能性があります。
まとめ
家計の赤字幅に「初期費用約400万円」と「年間15万円~25万円程度の維持費」を重ねても、取り崩しペースが老後の許容範囲に収まるかが判断の核心です。家計調査の実収入・実支出の推移と、老後の想定支出の見直しを年次で回すことで、趣味支出の上限が明確になります。
もし初期費用が重い場合は、価格帯の低いモデルや良質な中古、装備の段階導入などで満足度を落とさず負担を平準化できるかもしれません。人生の楽しみを先送りしすぎないことも大切です。信頼できるデータで家計の持続可能性を確かめつつ、無理なく続けられる形で憧れをかなえていきましょう。
出典
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 図1 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支 -2024年-(18ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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