70歳で夫婦二人暮らしになりました。子どもたちから「ぜいたくすれば?」と言われますが、お金の使い道がありません。貯金する以外にいい使い道はあるでしょうか?
この記事では、後半の人生をより豊かにするための、上手なお金の使い方を探っていきます。
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65歳以上の夫婦二人の平均生活費は月約25万7000円
総務省統計局の「家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要」では、夫婦のみの世帯(二人とも65歳以上・無職)における1ヶ月の可処分所得は約22万2000円、消費支出は約25万7000円で、月に約3万4000円の不足というデータが示されています。
一方、2025年度(令和7年度)の年金額は前年度比1.9%のプラス改定が厚生労働省の資料で公表されています。つまり、年金増額で不足幅はやや縮むものの、平均では「年金だけで全支出を賄う」のは難しいと考えられるため、計画的な貯蓄の取り崩しや費目の見直しが重要です。
満足度を上げるお金の使い方と優先順位
老後の支出では、食費や光熱費に加え、将来の生活に備えることも重要です。持ち家の場合は小規模な修繕や断熱、バリアフリー化への先行投資も有効です。これらは将来の突発的な出費や転倒リスクなどの軽減につながり、長期的な安心をもたらす使い道といえます。
また、交際費や教養・娯楽費は生活満足度に大きく関わる分野です。例えば、子どもや友人との外食や旅行、文化体験、趣味の道具の買い替えなどは、人生の充実度を高めやすく、夫婦それぞれの心身の活力維持にもつながります。
ただし、多くのお金を使うことが必ずしも大きな楽しみにつながるとは限りません。ゲートボールや家庭菜園など、それほど費用をかけなくても十分に楽しめることもあります。ぜいたくよりも、「楽しい」「やりがいがある」と感じられることなど、自分なりの「生きがい」を見つけることのほうが大切でしょう。
老後の支出は目的別設計でバランスをとる
平均では月3万円前後の不足が見込まれますが、貯金額に余裕がある場合は年金に月数万円の計画的取り崩しを重ねると、心理的負担を抑えつつ支出の自由度が上がります。
医療・介護費用は年齢とともに上がる可能性があるので、交際費や旅行に上限を設けたうえで、医療費・介護備えのための「目的別口座」を作り、年金改定で増えた分の一部を充当するなどの設計をするとよいでしょう。
また、娯楽や交際費は「削る」ではなく「選ぶ」(近場旅・平日割・サブスク見直しなど)で満足度を維持したままコスト効率を上げるアプローチが有効です。
まとめ
平均データ上の夫婦二人暮らし世帯では、2024年実績で月約3万円の不足が見込まれ、2025年度の年金+1.9%引き上げでも全体の収支改善は限定的と考えられます。
だからこそ、「年金+計画的取り崩し」を前提に、交際費・教養娯楽・小規模住居改善など、満足度と将来の安心を高める使い道がおすすめです。
最新の年金改定を踏まえつつ、年1回の家計点検で配分を調整することで、二人の時間を大切にしながらお金を「使って良かった」と実感できる計画に近づけられるでしょう。
出典
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支<参考4>65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 図1 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支 -2024年-(18ページ)
厚生労働省 令和7年度の年金額改定についてお知らせします~年金額は前年度から 1.9%の引上げです~(1ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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