定年後、毎月のように「旅行」に行く両親。年金暮らしでも“余裕がある”のでしょうか? 夫婦2人の平均収支とは
本記事では、65歳以上の夫婦の年金受給額と支出や旅行代が年金で収まるのかについて解説します。
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
目次
平均的な年金受給額と平均支出|65歳以上の夫婦2人世帯
図表1は、現役時代に厚生年金に加入していた65歳以上の夫婦2人分の平均的な年金受給額と消費支出をまとめたものです。
図表1
| 年金受給額 | 平均消費支出 | 差額 | |
|---|---|---|---|
| 月額 | 約28万963円 | 約25万6521円 | 約2万4442円 |
| 年間 | 約337万1556円 | 約307万8252円 | 約29万3304円 |
参考資料より筆者作成
月の年金受給額と平均消費支出を見比べると、月に2万4000円程度の黒字です。極端にぜいたくをしなければ、年金収入のみでも基本的な生活ができることが分かります。
ただし、平均消費支出に含まれる住居費は、持ち家世帯も含まれており金額が低めに出ている点に注意が必要です。賃貸住宅の場合は、支出に家賃分が上乗せされて黒字幅が小さくなる、あるいは赤字になる可能性もあります。さらに、消費支出以外に非消費支出もあることを考えると、年金だけではゆとりのある生活を送るのは難しいケースも見られます。
夫婦2人で東京から箱根へ2泊3日の旅行へ行く費用相場|年金から出しても余裕?
図表2は、夫婦2人で2泊3日の箱根旅行に行った場合の費用をまとめました。交通費は、新宿駅から箱根湯本までのものを記載しています。
図表2
| 宿泊代(朝・夕食付) | 交通費(特急利用) | 合計 |
|---|---|---|
| 約4万5000円~10万円 | 9880円 | 約5万5000円~11万円 |
参考資料より筆者作成
宿泊代は、シーズンや宿のグレードによって幅がありますが、価格帯の安いものであれば4万円台で納めることも可能です。また、交通費は、特急を利用せず在来線だけで行く場合、往復5080円に抑えられます。
年金収入だけで毎月旅行に行くのは難しいですが、3ヶ月に1度くらいのペースであれば十分可能です。例えば、四季ごとに1回ずつのペースであれば、年金暮らしでも旅行を楽しむことができるでしょう。
年金暮らしでも旅行に行く3つのポイント
年金暮らしの夫婦が定期的に旅行に行くためのポイントは、次の3つです。どのような工夫をすれば、旅行を楽しめるのか確認していきましょう。
1. 価格が控えめの平日に宿泊
定年後は、平日の安い価格帯を狙って旅行に行きやすいため、宿泊費を抑えられます。同じグレードの部屋でも、平日の宿泊料金は、金曜・土曜・祝日と比較して数千円以上安くなることも多く、お得に利用できます。また、平日の移動は混雑も少なく、ゆったりとした旅を楽しめるのもメリットです。
2. シニア向けプランを活用
旅行会社や宿泊サイトでは、60歳以上限定の「シニア割プラン」が提供されていることがあります。宿泊費やツアー代金が割引されたり、同価格のほかのプランよりも特典数が多かったりするため、通常よりもお得に旅行できます。
シニア割引を賢く利用することで、年金暮らしでも無理なく旅費を確保できます。
3. 定年前の貯蓄から旅行費用を捻出
年金だけで生活しているように見えても、実際には、定年前に貯めた資金を旅行費用に充てているという人も多くいます。例えば、定年後は夫婦で旅行に行くことを決めていた場合、退職金や現役時代の給与を「旅行専用口座」に分けて貯金していた可能性があります。
この場合、年金収入を生活費に、貯蓄をレジャー費に使い分けているので、お金の心配をせず旅行を楽しめます。
年金暮らしでも工夫次第で旅行に行ける
年金暮らしでも、工夫次第では数ヶ月に1度程度の旅行に行くことは可能です。例えば、宿は平日割引を利用して在来線で往復すると、1人あたり5000円以上もお得に利用できるケースもあります。
定年後に旅行を無理のない範囲で楽しめば、充実したセカンドライフをかなえられるでしょう。
出典
厚生労働省 令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
総務省統計局 家計調査報告(家計収支編) 2024年(令和6年)平均結果の概要
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー