リタイア後にも働くなら「嘱託社員」と「バイトアプリ」どっちがお得? “51万円以上”稼ぐと「年金が減る」可能性もあるって本当!?
本記事では、嘱託社員とバイトアプリの概要や51万円の壁について解説します。
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定年後も働く場合は「嘱託社員」としての雇用が主流
企業ごとの定年を超えて働く場合、一度退職した後「嘱託社員(嘱託職員)」として再雇用されるケースも少なくありません。嘱託社員は非正規雇用で、契約社員に近い雇用形態となっています。
5年程度の有期契約が一区切りとなっており、給料は定年前の50~70%程度が一般的といわれています。常勤と非常勤に分けられ、常勤では正社員と同じか近い業務内容・労働時間で働くケースもあります。
嘱託社員はパート・アルバイト・契約社員などと同様、無期転換ルールの対象です。無期転換ルールとは、同一企業との間で有期労働契約が5年を超えて更新された場合、契約社員やアルバイトなどからの申込みによって無期労働契約に転換されるルールを指します。
ただし、都道府県労働局長の認定を受けた事業主には再雇用者の無期転換ルールが適用されない特例も存在するため注意が必要です。
老齢年金を受給しながら働く際は「51万円の壁」に注意
老齢厚生年金を受給しながら嘱託社員として働く場合、65歳以降も厚生年金に加入し続ければ、在職定時改定・退職改定により将来的に年金額が増えます。
ただし、受給中の老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額に応じて、働きながらもらえる年金額が減額される場合があるため注意しましょう。年間賞与額も月割に換算し、総報酬月額相当額に含まれます。年金月額と総報酬月額相当額との合計が51万円を超える場合に受け取れる年金額の計算式は以下の通りです。
・在職老齢年金による調整後の年金支給月額=基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-51万円)÷2
年金と合わせて月51万円を超えそうな方は、契約時間の調整を雇用主に打診・検討したほうがよいかもしれません。
なお、高齢者の活躍促進の観点から、2026年4月より51万円の壁から62万円の壁に引き上げ(上限緩和)が予定されています。
自由なワークライフバランスを求めるなら「バイトアプリ」も一考
定年後に非正規雇用で働く手段の一つとして、「タイミー」「バイトル」などのバイトアプリがあります。バイトアプリとは、特定の企業と雇用契約を結ぶのではなく、登録したアプリを通じて募集企業とその都度契約を結んで働くものです。
登録型の人材派遣会社とは異なり、禁止されている日雇い派遣には該当しません。職種や時間など、自分のペースや適性に応じて働きたいときに働ける点や、社会保険に加入しないことから上述の「壁」を意識しなくていい点がメリットです。
一方、求人が流動的で早い者勝ちというデメリットがあります。また、バイトアプリの中には法定労働時間を超過しないための運営上の配慮として「1日1件」ルールが設けられているものもあるため、嘱託社員ほど安定した収入は期待できないでしょう。
多くの場合、勤務時間が加入要件を満たさないため社会保険に加入しないので、在職定時改定・退職改定による年金の増額も見込めません。再雇用の業務内容や賃金に納得できない場合や余暇を充実させたい場合などに、ワークライフバランスを保ちながら働く手段として考えるとよいでしょう。
まとめ
嘱託社員は契約社員に近い雇用形態で、定年前よりも給与は下がるものの老齢年金を受給しながら働けます。
一方、バイトアプリを利用して働く場合は、自分のペースや適性に応じて働きたいときに働ける点がメリットです。どちらにもメリット・デメリットがあるため、自分に適した選択をしましょう。
出典
厚生労働省 岡山労働局 有期雇用特別措置法について
厚生労働省 有期契約労働者の無期転換ポータルサイト
厚生労働省 在職老齢年金制度の見直しについて
日本年金機構 在職老齢年金の計算方法
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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