国家公務員と地方公務員、定年退職時の「退職金」に違いはある? 民間企業の退職金とも比較!
本記事では、国家公務員と地方公務員の退職金制度の仕組みから平均支給額、民間との比較を解説します。
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目次
国家公務員・地方公務員の退職金は同じ仕組み? 基本式と支給率の違いを整理
地方公務員の退職手当は、国家公務員の制度等に準じた仕組みによって計算されます。人事院によれば、国家公務員の退職手当の計算式は、基本的に「退職日の俸給月額×退職理由別・勤続期間別支給割合」で基本額を出し、そこに調整額を加える構造です。
自己都合、定年・勧奨などの退職理由で支給割合が変わり、勤続年数が長いほど支給割合は高くなります。国家公務員と地方公務員は枠組みがほぼ共通で、細部は自治体条例などで微調整されます。
定年退職時の退職金の公務員平均はいくら? 国家公務員・地方公務員の比較
内閣官房内閣人事局によれば、令和5年度における国家公務員の定年退職時の退職手当平均支給額は、おおよそ2150万円です。地方公務員の退職金は国家公務員の制度に準じているため、金額に大きな違いはありません。
ただし、自治体や職種により前後します。表1は、令和5年における地方公務員の退職手当の支給状況について、いくつかの自治体の60歳定年退職者平均支給額を抜粋したものです。
表1
| 全職種 | 一般職員 | 教育公務員 | |
|---|---|---|---|
| 札幌市 | 約2146万円 | 約2097万円 | 約2210万円 |
| 横浜市 | 約1992万円 | 約1963万円 | 約2065万円 |
| 大阪市 | 約1971万円 | 約1926万円 | 約2091万円 |
| 福岡市 | 約2175万円 | 約2184万円 | 約2167万円 |
出典:総務省「令和5年 給与・定員等の調査結果等 5)退職手当の支給状況」を基に筆者作成
全退職者の平均支給額は、60歳の定年退職者に比べて700万~1000万円ほど少なくなっています。
民間企業の退職金は大企業ほど高水準! 中小企業は制度なしも一定割合
民間企業の退職金は、公務員のように一律の支給率が定められているわけではなく、会社ごとの制度設計や企業規模などによって水準が大きく異なります。退職一時金、企業年金(確定給付・確定拠出)、併用型、制度なしのいずれに該当するかが、将来受け取る金額に直結します。
大企業の目安として、大卒で定年退職した人の平均支給額は約2100万円、高卒では約2000万円です。中小企業では、大卒・高卒ともに1000万円前後となっています。
民間企業では、同業種・同規模であっても会社ごとに制度の有無や算定方法が異なるため、平均相場だけで退職金を見積もると誤差が生じやすい点に注意が必要です。
まとめ
国家公務員と地方公務員の退職金制度はほぼ同じ仕組みで、支給額も大きな差はありません。自治体によってわずかな調整があるものの、平均はおおむね2000万円前後です。
一方、民間企業では制度の有無や企業規模などによって差が大きく、大企業では公務員並み、中小企業では半額程度になるケースもあります。
退職金を見積もる際は、勤務先の制度内容を確認し、老後資金計画の一部として早めに把握しておくことが重要です。
出典
人事院 給与・生涯設計 第3章 定年後の収入と支出 1 退職手当制度の概要
内閣官房内閣人事局 退職手当の支給状況(1ページ)
総務省 令和5年 給与・定員等の調査結果等 <給与等の比較> 各団体区分別の給与状況 5)退職手当の支給状況 政令指定都市
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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