父は「退職金2000万円」を全て銀行に預けたそうです。以前よりも「金利が高いから」と言うのですが、正直もったいない気がします…投資にまわした場合10年で資産はどれくらい増えますか?
本記事では、退職金2000万円を銀行に預けた場合と、投資した場合の資産増加の違いについてシミュレーションを交えながら解説します。安全性と資産形成、どちらを重視すべきかを考える際の参考になれば幸いです。
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銀行預金で得られる安心と、期待できる利息の現実
元本が保証され、日々の生活資金にもすぐに使えるという安心感が、預金の大きな魅力といえるでしょう。近年は長く続いたマイナス金利政策の解除により、預金金利もやや上昇しています。
例えば、2025年11月時点でメガバンクの普通預金金利はおおむね年0.2%です。この金利で2000万円を10年間預けた場合の利息は40万円です(税引き前)。
金利が上昇傾向にあるとはいえ、0.2%という水準では、その効果は限定的といえます。物価が上昇すれば、実質的には資産価値が目減りしてしまう可能性もあります。
もちろん、元本が減るリスクがないという意味では、預金は非常に堅実な手段です。ただし、「安全だから」という理由だけで資金の全てを預けると、資産の成長を抑えてしまう可能性がある点にも注意が必要です。
投資にまわした場合、10年で資産はどれくらい増える?
では、退職金2000万円を投資にまわした場合、10年後に資産はどれくらい増えるのでしょうか。ここでは、2000万円を年利ごとに異なる条件で10年間運用した場合の資産額をシミュレーションしてみます。数字は複利で計算しています。
まず、年3%の保守的な運用を行った場合、10年後の予想資産額は約2688万円になります。増加分は約688万円です。これはバランス型の投資信託などを活用した際の想定水準といえるでしょう。
次に、年5%の利回りで運用した場合、10年後の予想資産額は約3258万円まで増加します。増加額は約1258万円で、預金との差は大きくなります。
仮に年8%の高い利回りが実現した場合、10年後の予想資産額は約4318万円となり、元本からの増加額は約2318万円に達します。ただし、年8%の利回りはリスク資産での運用が前提となるケースが多いため、価格変動リスクも伴います。
このように、同じ金額を預けた場合でも、預金と投資では利回りによって10年後に大きな差が生じる可能性があります。
まとめ:預金か投資か、大切なのは目的に合わせた判断
退職金を全て預金に預けるという選択は、安全性を重視する意味では合理的です。資産を減らしたくない、元本を確実に守りたいという意向が強ければ、預金は非常に安心できる手段です。
ただし、インフレが進行する環境では、預金だけでは資産の実質的価値が目減りする可能性があります。一定のリスクを許容することで、将来の資産形成に向けた選択肢を広げることができます。
例えば、資産の一部は預金で保全し、残りを分散投資にまわす方法もあります。投資信託や債券、あるいはNISAなどの税制優遇制度を活用することで、リスクを抑えつつ運用を始めることも可能です。
大切なのは、「安全性」と「資産の成長」のバランスをどう取るかという視点です。退職後の資産は、生活を支える重要な資源です。今後のライフプランに応じて、どのように資産を生かすかをじっくりと考えることが大切です。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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