独身ですが、定年後は週に1回は映画やコンサートなど趣味を楽しみたいと考えています。「月25万円」の年金と「500万円」の貯金があれば十分でしょうか?
今回のケースでは、相談者の年金収入は月25万円が見込まれています。また500万円の貯蓄があり、不足分を多少なりとも補えるようです。
このケースで、コンサートや映画を楽しみつつ、老後資金を十分捻出できるかどうかシミュレーションしてみました。
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毎週映画かコンサートに行くといくらくらいかかる?
初めに、映画やコンサートを毎月楽しむと、どれくらいの出費になるかを解説します。映画を1ヶ月に3回、コンサートを1ヶ月に1回のペースと仮定して見ていきましょう。
映画は、全国に映画館を持つ「TOHOシネマズ」(新宿)のシニア割引を適用したと仮定します。また、コンサートは「新日本フィルハーモニー交響楽団」の定期演奏会の一つである「すみだクラシックへの扉」で、シニア(65歳以上)の1回券を購入するものとします。
図表1
| 趣味 | 費用(1回) | 1ヶ月あたりの費用 |
|---|---|---|
| 映画鑑賞 | 1300円 | 3900円(3回) |
| コンサート | 4000円 | 4000円(1回) |
| 合計 | 5300円 | 7900円 |
※筆者作成
鑑賞する内容や日付によって料金は変動するため、図表1はあくまで一例に過ぎませんが、合計で月に7900円の出費が見込まれます。回数や演目、座席によっては、1万円を超えることも考えられます。
年金生活で趣味に費やす余裕はある?
続いて、高齢単身世帯(無職)における1ヶ月あたりの平均的な収支バランス、および収支バランスから見る生活費の余裕について解説します。
平均的な収支バランスはマイナスになる
総務省統計局の「家計調査報告(家計収支編)2024年」によると、同世帯における収支バランスは以下の通りです。
・実収入:13万4116円
・非消費支出:1万2647円
・消費支出:14万9286円
・総消費支出(非消費支出+消費支出)の合計:16万1933円
・実収入と総消費支出のバランス:マイナス2万7817円
実収入に対して総消費支出が上回り、マイナス2万7817円となりました。
年金25万円では趣味に費やす余裕がある
今回のケースでは、年金を月25万円受給できます。上記の総消費支出16万1933円と差し引くと、8万8067円の黒字です。
図表1で見たように、映画やコンサートに毎月かかる費用は7900円であるため、趣味に回す資金は十分にあるといえるでしょう。映画鑑賞やコンサート鑑賞の回数を増やしても、まだ余裕があるようです。
しかも今回のケースでは貯蓄が500万円あるため、多少の趣味の出費があっても、生活費の問題はないと考えられます。
急な出費に備える必要はある
とはいえ、ここまでの論理はあくまで平均的な支出にとどまる場合の話に過ぎません。もし毎月の生活費が平均を大きく上回るのであれば、収支バランスがマイナスに転じる可能性があります。
また、不測の事態で急な出費が必要になる場合にも注意が必要です。仮に65歳で定年を迎えて95歳まで生きられる場合、30年の間にさまざまなイベントが発生するでしょう。
さらに、事故や病気によって治療費が継続的にかかるおそれがあります。住宅の修理や車の買い替えといった、思わぬ支出もあり得ます。家族の結婚や出産などをサポートする必要があるかもしれません。
そのため、計画的にお金の使い方を意識する必要があります。
年金25万円+貯金500万円だと趣味を楽しむ余裕がある
年金を月に25万円受給できる場合、平均的な支出パターンであれば、収支バランスは黒字になる見込みです。映画やコンサートを楽しむ資金的余裕は十分あるでしょう。もちろん、趣味を楽しむ頻度や内容によってはその限りではありません。
いずれにしても、急な出費を要するイベントが老後に発生するおそれがあります。そのため収支バランスを黒字にキープし、可能な範囲で貯金を増やす努力をすると、より安心感があるかもしれません。
出典
TOHOシネマズ株式会社 TOHOシネマズ 新宿 料金・割引サービス表
新日本フィルハーモニー交響楽団 すみだクラシックへの扉 #34(金)
総務省統計局 家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
