現在58歳ですが、「転職」を3回繰り返しています。転職の回数が多いと「退職金」の金額は減ってしまうのでしょうか。

配信日: 2025.11.30
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現在58歳ですが、「転職」を3回繰り返しています。転職の回数が多いと「退職金」の金額は減ってしまうのでしょうか。
勤めていた企業を退職する際に、その企業に退職金制度がある場合は、退職金を受け取ることができます。しかし退職金は一律ではありません。企業によって金額は異なるほか、同じ企業でも就労状況によって金額が変わります。
 
今回のケースでは、転職を複数回繰り返している人が、もらえる退職金について心配しているようです。本記事では、転職の多さと退職金の関連について解説します。
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退職金制度の概要

退職金制度にはさまざまな種類があります。支払われ方で大きく分けると、以下の2種類に大別できます。
 

・退職一時金制度:一括で退職金を受け取る制度
・退職年金制度:分割で退職金を受け取る制度

 
厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査の概況」によると、退職一時金制度のみを採用している企業の割合は69.0%、退職年金制度を採用している企業は9.6%、両方の制度を採用している企業は21.4%でした。
 
この結果から、現時点では退職一時金制度での受け取りがより一般的なようです。
 

転職すると退職金は減る?

何回も転職していると、その分退職金の額が目減りしてしまうのではないかと不安に思う人がいるかもしれません。
 
結論から言うと、転職によって退職金が減る可能性はあります。本章では、その理由について解説します。
 

勤続年数が退職金の額に影響する

厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査 退職給付(一時金・年金)制度」によると、退職一時金の受け取りに必要な「最低勤続年数」別に企業の割合を見ると、図表1の通りでした。
 
図表1

最低勤続年数 企業の割合
(会社都合)
企業の割合
(自己都合)
1年未満 12.4% 4.5%
1年以上2年未満 18.3% 12.7%
2年以上3年未満 8.0% 9.3%
3年以上4年未満 45.9% 57.0%
4年以上5年未満 2.5% 2.8%
5年以上 9.9% 12.0%
平均 30.7ヶ月 35.8ヶ月

出典:厚生労働省「令和5年就労条件総合調査 退職給付(一時金・年金)制度」を基に筆者作成
 
必要な最低勤続年数は会社都合での退職の場合、平均で30.7ヶ月でした(約2年半)。自己都合ではさらに長く、35.8ヶ月です(約3年)。
 
企業にもよりますが、早いサイクルで転職を繰り返す場合、最低勤続年数に届かず、そもそも退職金を受け取れないおそれもあります。
 
また最低勤続年数を仮にクリアしていたとしても、勤続年数が短いと退職金が目減りするケースが珍しくありません。一般的に、勤続年数が長ければ長いほど退職金の額は増えます。勤続年数をベースに退職金を算出する企業が多いからです。
 
実際、前述の「令和5年就労条件総合調査」によると、勤続年数によって数百万円もの差が出ています。勤続20年以上の定年退職者(45歳以上)を例にした、平均退職金額を図表2にまとめました(管理・事務・技術職)。
 
図表2

勤続年数 退職金
(大学・大学院卒業)
退職金
(高校卒業)
20~24年 1021万円 557万円
25~29年 1559万円 618万円
30~34年 1891万円 1094万円
35年以上 2037万円 1909万円

出典:厚生労働省「令和5年就労条件総合調査の概況」を基に筆者作成
 
大学・大学院卒業の場合、勤続年数20~24年と35年以上とでは、2倍近い差が出ました。高校卒業では、3倍以上の差になっています。
 
転職を繰り返すということは、勤続年数が短くなるということです。そのため、同じ企業で勤務し続けるよりも退職金額が少なくなる可能性があります。
 

自己都合による退職は企業都合よりも退職金が安い

退職が自己都合なのか会社都合なのかによっても差が出ます。同調査では、両者に以下のような差が見られます。金額は、勤続20年以上の定年退職者(45歳以上、管理・事務・技術職、大学・大学院卒業)のものです。
 

・会社都合:1738万円
・自己都合:1441万円

 
会社都合と自己都合では、約300万円もの差が出ました。転職は自己都合であると考えられるため、この面でも退職金が目減りすることが想定されます。
 

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転職回数が多いと退職金が目減りするおそれがある

厚生労働省のデータを見ると、勤続年数や退職理由などにより、退職金の額が少なくなる可能性が見受けられます。今回のケースでは転職を3回も繰り返しているため、各企業での勤続年数はそれほど長くなく、退職理由も自己都合になると考えられます。
 
ただし企業によって退職金制度の運用方法は異なるため、具体的にどれくらいの影響があるかは断言できません。また退職金が少なくなっても、転職による給与アップで生涯賃金が上がる可能性も否定できないため、一概に転職回数を問題視する必要はないでしょう。
 

出典

厚生労働省 令和5年就労条件総合調査の概況
厚生労働省 令和5年就労条件総合調査 退職給付(一時金・年金)制度 第32表
厚生労働省 令和5年就労条件総合調査の概況
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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