もうすぐ60歳の夫は「貯金500万円」しかありません…60代の「平均・中央値」と比べて少ないですか? 老後資金は“最低1000万円”ないと厳しいでしょうか? 統計をもとに解説

配信日: 2025.12.05
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もうすぐ60歳の夫は「貯金500万円」しかありません…60代の「平均・中央値」と比べて少ないですか? 老後資金は“最低1000万円”ないと厳しいでしょうか? 統計をもとに解説
定年退職が間近に迫ると、現在の貯金額で老後を乗り切れるか不安に感じるものではないでしょうか。手元の資金が500万円の場合、世間一般と比べて少ないのか、生活水準を落とす必要があるのか気になるところでしょう。
 
本記事では、60代の貯蓄の平均値と中央値を比較し、その実態を解説します。また、リスクを取らずに家計を見直し、老後資金を上積みする方法についてもあわせて紹介します。
山口克雄

2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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60代の貯蓄額は平均値と中央値で大きな差がある

自身の貯蓄額が世間一般と比べてどの位置にあるのかを知るには、統計データを確認するのが確実です。ただし、このとき「平均値」だけを見て一喜一憂してはいけません。一部の富裕層が平均を押し上げている可能性があるからです。より実態に近い「中央値」もあわせて確認する必要があります。
 
J-FLEC(金融経済教育推進機構)の「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」によると、60歳代の二人以上世帯の平均貯蓄額は2033万円、中央値は650万円です。貯蓄500万円は平均より少ないものの、中央値と比較すれば極端な差はありません。
 
同調査では、金融資産を保有していない世帯も2割ほど存在します。500万円は中央値の650万円には届きませんが、貯蓄ゼロの世帯も含めて全体で見れば、中間層に近い水準といえます。
 
とはいえ、定年後の生活は年金収入が柱となり、現役世代よりも収入が減るケースがほとんどです。住宅ローンの残債や、病気、介護、自宅の修繕など突発的な出費への蓄えを考えると、500万円だけではこころもとないのも事実でしょう。
 

安心できる老後のために目指すべき目安は1000万円

老後資金として「2000万円が必要」といわれた時期もありましたが、これはすべての家庭に当てはまるわけではありません。必要な金額は、定年後のライフスタイルや持ち家の有無、健康状態によって大きく異なります。
 
ただし、貯蓄が500万円だけの状態で老後を迎えるのは心配です。そこで、1つの目標として「1000万円」を目指すのが現実的でしょう。
 
貯蓄が1000万円あれば、ある程度の不測の事態に対応しやすくなります。例えば、車の買い換えや家電の故障、自身や配偶者の入院費用など、まとまったお金が必要なときに貯金を切り崩しても底をつく可能性は低くなります。
 
また、住宅ローンが残っている場合、退職金の一部を繰り上げ返済に充てるケースも多いでしょう。その場合は手元の現金が減ってしまうため、やはりベースとなる貯蓄を殖やしておく必要があります。
 
年金だけで毎月の生活費をまかなえる家庭であれば、貯蓄を取り崩す必要はありません。しかし、総務省の家計調査によると、高齢夫婦無職世帯の家計収支は毎月数万円の赤字になる傾向があります。
 
仮に月3万円の不足が25年続けば、それだけで900万円が必要です。現在の500万円に加えて、あと500万円を上乗せして合計1000万円を用意できれば、毎月の赤字補てんと予備費の両方をカバーできる計算になります。
 

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固定費の見直しと長く働くことで資産寿命を延ばす

投資や副業になじみがない場合、リスクを取って資産を増やすよりも、確実な方法で手元のお金を残すほうが安心です。効果的なのは、固定費の削減と働く時間の延長です。
 
まず、長年加入している保険や通信費を見直しましょう。保障内容の適正化や格安SIMへの変更だけで、年間10万円以上の節約効果が出るケースも少なくありません。浮いたお金は確実に貯蓄へ回せます。
 
次に考えたいのが、定年後も働き続ける選択です。再雇用制度などを利用して働き続ければ、資産の取り崩しを先送りできます。現役世代より給与が下がっても、生活費をまかなえれば貯金は減りません。さらに、長く働くことで厚生年金の加入期間も延び、将来受け取る年金額を増やす効果も期待できます。
 
無理に生活を切り詰める必要はありませんが、漫然とお金を使っている部分がないか確認しましょう。健康であれば少しでも長く働くことで、経済的な安心感は大きく高まります。
 

生活費の無駄を省き長く働くことが老後資金確保の近道

60代の貯蓄について、平均値は約2000万円ですが、中央値は650万円ほどです。貯金500万円は決して悲観する金額ではありませんが、より安心できる老後を迎えるためには、1000万円を目指すのが理想的です。
 
投資などのリスクを取らなくても、固定費の見直しや定年後の継続就労によって資産寿命を延ばせます。まずは家計の現状を把握し、できることから改善を始めてみてはいかがでしょうか。
 

出典

J-FLEC(金融経済教育推進機構)家計の金融行動に関する世論調査 2024年
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要
 
執筆者 : 山口克雄
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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