退職金「2000万円」を使ってマイカーの買い替えをすると言う父…貯金も「1000万円」あるから大丈夫と言うのですが、夫婦2人安心して生活していけるでしょうか?

配信日: 2025.12.10
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退職金「2000万円」を使ってマイカーの買い替えをすると言う父…貯金も「1000万円」あるから大丈夫と言うのですが、夫婦2人安心して生活していけるでしょうか?
退職金などのまとまった金額をどう使うかは、老後の家計に大きく影響します。車の買い替えは必要な支出である一方、退職金の大半を消費してしまうことに不安を抱く家族も多いものです。
 
とくに、貯金1000万円だけで今後の長い老後生活を維持できるのかは慎重に検討したいポイントです。この記事では、家計収支の統計データや標準的な年金額を踏まえ、夫婦2人が安心して暮らせるかどうかを冷静に考えていきます。
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平均的な高齢夫婦世帯の家計収支は“月およそ3万4000円の赤字”という現実

総務省統計局「家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要」によれば、65歳以上の夫婦のみの無職世帯における1ヶ月の家計収支は、実収入25万2818円、そのうち年金を含む社会保障給付が22万5182円とされています。一方で、消費支出は25万6521円、非消費支出が3万356円となっており、1ヶ月の赤字はおよそ3万4000円です。
 
物価上昇が続く近年は、光熱費・食費・保健医療費などの増加傾向もあり、実態としては家計の厳しさが増しやすい環境にあります。つまり、夫婦2人の老後生活では「年金+貯蓄の取り崩し」が前提にならざるを得ず、まとまった貯金が老後の安心感を左右します。
 

標準的な年金額はいくらか――夫婦の年金だけで生活できるのか

日本年金機構によると、令和6年度のいわゆる「モデル世帯」の標準的な年金額(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な厚生年金額)は月23万円程度とされています。これは厚生年金加入期間が40年間ある平均的なケースで、実際には加入状況や収入などによって受給額は上下します。
 
前述の家計調査の実収入のうち「社会保障給付22万5182円」という数字も、ほぼモデル年金額に近い水準であるため、「標準的な年金額では生活費をすべて賄えない」という実態が読み取れます。赤字約3万4000円はあくまで“平均的な老後に必要な貯蓄の補てん額”であり、この赤字分を貯金から埋めていく構造になります。
 

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貯金1000万円で何年暮らせる? シミュレーションで見る持続可能性

夫婦の老後が月3万4000円程度の赤字で推移すると仮定すると、貯金1000万円は単純計算で約24~25年分の補てんに相当します。65歳時点で1000万円あれば、理論上はおおむね80代後半までは資金が持つ可能性があります。
 
しかし、実際の老後は医療費・介護費が増える時期であり、住まいの修繕費や車の維持費など、不定期で大きな支出が発生する傾向にあります。また物価上昇が続く環境では、赤字額が毎年増えていくリスクもあります。
 
仮に退職金2000万円をほぼ使い切り、残った貯金が1000万円だけという状況では、「標準的な老後支出に必要な資金」には届いているものの、“余裕が十分とは言い難い”のが実情です。
 
老後資金として一般的に必要とされる額は2000万円前後といわれますが、これは車の買い替えや医療費などを含まないケースも多く、1000万円のみで安心できるとは限りません。
 

車の買い替えは本当に今必要か?

車の買い替えは生活に欠かせない場合もありますが、退職金2000万円のうち大部分を消費する行為は、老後の資金計画に大きな影響を与えます。車の購入費用に加えて、自動車税、車検代、保険料、燃料費など維持費も継続して負担となるため、支出は購入時だけで完結しません。
 
これらを踏まえると、「本当に今買い替える必要があるか」「より安価な車で代替できないか」「カーシェアリングや公共交通機関の利用で対応できないか」など、生活全体を見据えた判断が求められます。
 

まとめ――退職金を大きく減らす前に、老後資金計画の見直しを

退職金2000万円を車の買い替えに充て、残りの貯金1000万円のみで老後を迎える場合、平均的な夫婦高齢者無職世帯の“月約3万4000円の赤字構造”や突発的な支出を踏まえると、資金が不足するリスクがあります。
 
標準的な年金額では生活費を賄いきれず、貯蓄の取り崩しが前提となる可能性が高いため、まとまった貯金は老後の安定に不可欠です。
 
車は生活の利便性を高める一方で大きな支出にもなるため、買い替えの必要性や価格帯を慎重に検討することが大切です。老後の資金計画に不安がある場合は、ファイナンシャルプランナーなど専門家に相談し、退職金の使い道を含めた長期計画を立てることが安心につながります。
 

出典

総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支<参考4>65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 図1 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支 -2024年-(18ページ)
日本年金機構 令和7年4月分からの年金額等について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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