都内の老人ホームは入居一時金だけで「2000万円」かかる場合があるって本当!? 70歳で貯金500万円ほどしかありません…子どもに頼るしかないでしょうか?
本記事では、東京都の老人ホーム費用相場などについての調査データをもとに、資金が限られていても現実的な選択肢があるのかを整理します。
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目次
東京都の有料老人ホーム費用相場――高級老人ホームは“入居一時金2000万円以上”のケースも
株式会社LIFULL seniorの調査によれば、東京都の有料老人ホームの費用には極めて大きな幅があります。入居一時金1000万円以上の料金プランを持つ「高級老人ホーム」では、入居一時金の費用相場が2449万5000円、月額料金が33万6690円とされ、確かに「2000万円超え」の施設が存在することが分かります。
一方、入居一時金500万円以下で月額20万円以下の料金プランを持つ低価格帯の有料老人ホームでは、入居一時金の費用相場は49万5000円、月額料金は17万640円に抑えられています。
また、民間施設に加えて、公的な「特別養護老人ホーム(特養)」は入居一時金が不要で、月額費用の負担も抑えられる点が特徴です。特養は要介護3以上が原則で入居要件が厳しいものの、費用負担を大幅に抑えられる選択肢として知っておく価値があります。
このように、同じ都内でも施設の種類によって負担額は大きく変わるため、「入居一時金2000万円必要」という情報だけで判断してしまうのは適切ではありません。
入居一時金の実態――「なし」「100万円台以下」が多数派
東京都に絞ったデータではありませんが、同じく株式会社LIFULL seniorの「【お金編】介護施設入居実態調査2025」によると、入居した施設の入居一時金で最も多かったのは「なし」で25.4%を占めています。
次いで「50万円未満」が17.2%、「50万~100万円台」が17.0%と続き、入居一時金が100万円台より低い層が過半数を占める結果となっています。
実際の入居者の多くは、初期費用をほとんどかけずに入居しており、「数百万円~数千万円の入居一時金が当たり前」というわけではありません。
誰が初期費用を負担しているか――「本人と子ども」で負担するケースは“約3割”
同調査では、入居一時金の費用負担者の内訳として「入居者と子ども」が28.9%で最も多く、次に「入居者本人のみ」が26.9%と続いています。本人単独で負担できるケースは全体の3割弱であり、本人と子どもで負担するケースも同程度の割合を占めています。
この数字からは、老人ホーム費用が「本人だけで完結するケースばかりではない」という現実が読み取れます。家庭事情も踏まえ、どこまで家族が協力するのかを早めに相談しておく重要性が示されています。
70歳・貯金500万円で生活できる? 老後の収支と照らした現実的な判断
総務省統計局の「家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、65歳以上の単身無職世帯の月間実収入は13万4116円(うち年金含む社会保障給付12万1629円)、消費支出は14万9286円、非消費支出は1万2647円となっており、1ヶ月でおよそ2万8000円の赤字です。
この赤字はおもに貯蓄で補う必要があり、年間では約33万6000円、10年で約336万円の取り崩しとなります。
貯金500万円は決して少ない金額ではありませんが、老人ホーム入居後は月額費用が別途発生するため、資金の減り方はさらに早まります。前述したような高級老人ホーム(月額33万円前後)を選ぶことは現実的ではなく、低価格帯の老人ホーム(月額17万円前後の有料老人ホームや特養)であっても、長期的な余裕は大きくありません。
まとめ
東京都内には、入居一時金が2000万円を超える高級老人ホームも存在するようですが、全体の入居実態を見ると、入居一時金が「なし」「100万円台より低い」というケースが多数を占めています。さらに、公的な特別養護老人ホームは入居一時金が不要で、費用を抑えられる重要な選択肢です。
貯金500万円の場合、高級老人ホームへの入居は厳しいものの、低価格帯の民間施設や特養を選べば、自力で乗り切る現実的な道があります。家族への負担を最小限にするためにも、早めに施設の種類や費用帯を比較し、自分の介護度や生活スタイルに合った老人ホームを検討することが大切です。
出典
株式会社LIFULL senior 1都3県の有料老人ホームの費用相場を調査。高級老人ホーム・低価格老人ホームが多い地域ランキングも発表
株式会社LIFULL senior 【お金編】LIFULL 介護が 「介護施設入居実態調査 2025」を発表
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 図2 65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の家計収支-2024年- (18ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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