勤続37年で「退職金3000万円」もらえる予定です。税金が引かれると“手取り額”はいくらになりますか?「定年まであと5年」ですが、暮らしていけるでしょうか?
退職した場合、年金受給までの期間は十分な生活ができるのか、という不安を抱える人は多いのではないでしょうか。本記事では退職金の手取り額を計算し、退職に向けて考えるべきポイントを解説します。
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
目次
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退職金にはどんな税金がかかるのか
退職金には、給与や賞与とは異なる「退職所得」としての税制優遇が設けられています。これは、長年の勤続に対する配慮として、税負担が大きく軽減される控除の仕組みです。
退職金にかかる税金は以下の2つですが、いずれも「退職所得控除」を差し引いた後の金額をもとに計算されます。
・所得税
・住民税
勤続37年の場合の「退職所得控除」はいくらか?
退職所得控除は、勤続年数(A年)によって次のように計算されます。
(1)勤続20年以下:40万円×A年
(2)勤続20年超:800万円+70万円× (A年-20年)
今回は勤続37年で3000万円の退職金が支給されるケースのため、(2)の計算式を用います。
800万円+70万円×(37年-20年)=800万円+1190万円=1990万円
つまり、退職金3000万円のうち、1990万円までは非課税となり、差し引いた1010万円を用いて課税対象額を計算します。
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課税対象になる退職所得はいくら?
退職所得は、退職金から退職所得控除を差し引いた金額を、さらに1/2にした額です。計算式は次のとおりです。
(退職金-退職所得控除)×1/2
今回の数値を当てはめると、以下の計算式になります。
(3000万円-1990万円)×1/2=1010万円×1/2=505万円
この505万円が、実際に税金計算の対象となる「退職所得」となります。
所得税・住民税はいくら引かれる?
退職金3000万円から算出された退職所得505万円をもとに、課税される税金を計算します。
所得税
退職所得505万円は、退職所得の源泉徴収税額の速算表の税率20%に該当します。なお、現在の所得税には復興特別所得税が加算されています。所得税額の計算式は以下のとおりです。
(505万円×20%-42万7500円)×102.1%=59万4732円
住民税
退職金は住民税も課税対象となっています。退職所得の計算式は所得税の計算式と同じです。住民税は以下の計算式で税額を求めます。
市民税額=退職所得の金額×税率(6%) (100円未満切捨)
県民税額=退職所得の金額×税率(4%) (100円未満切捨)
上記の計算式に当てはめると、住民税額は以下のとおりです。
市民税額=505万円×6%=30万3000円
県民税額=505万円×4%=20万2000円
30万3000円+20万2000円=50万5000円
退職金3000万円の手取り額は?
ここまでの計算を整理すると、
・退職金額:3000万円
・所得税額:59万4732円
・住民税:50万5000円
合計税額:109万9732円
つまり、手取り金額にすると約2890万円 となります。
「3000万円もらっても、半分以上が税金で引かれるのでは?」と心配する人もいますが、退職金には大きな税額控除が設けられており、長期勤続の場合、退職者の税負担はかなり少なく抑えられていることが分かりました。
退職金だけで年金開始まで生活できる?
定年まであと5年の今を60歳とします。公的年金受給開始は原則65歳です。今後の5年間をどう乗り切るかは、「今退職をするべきか」を判断するうえで重要なポイントになります。仮に月25万円の生活費が必要だとすると、5年間の総額は以下のとおりです。
25万円×12ヶ月×5年=1500万円
退職金の手取り約2890万円から見れば、生活費を賄える可能性は十分あります。ただし、医療費や住宅ローンの残債、再就職収入の有無によって状況は変わります。
「今辞める」か「定年まで働く」かの判断ポイント
退職金の手取り額だけで判断するのは危険です。次の点も合わせて考える必要があります。
・定年まで現職の会社で働いた場合の退職金増額分
・厚生年金の加入期間が延びるメリット
・再就職の可能性と収入
・健康状態と働き続けられるか
特に年金額は、5年間分の加入があるかどうかで、将来にわたって差が出るため、退職前にシミュレーションを必ず行い、検討材料にしましょう。
退職金の金額だけで決めないために
退職金3000万円の手取りは約2890万円となり、税制面で非常に優遇されています。ただし、退職後の生活は、後戻りのできない選択となります。退職金の額だけで悩むのではなく、年金・再就職・生活費を含めたライフプラン全体で考え、後悔しない判断をしましょう。
出典
国税庁 No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)
名古屋市 退職所得の分離課税
総務省 平成25年1月1日以降の退職所得に対する住民税の特別徴収について
執筆者 : 上嶋勝也
2級ファイナンシャル・プランニング技能士


