老後は仕事したくない… 独身なら貯金ゼロでも年金15万円で「最低限の生活」は可能ですか?
「老後」とは何歳からなのかという明確な定義はないですが、年金受給者とのことなので、仮に65歳と想定しましょう。また、「最低限の生活レベル」といった明確な定義もなく、たとえ収入がいくらであっても、人それぞれの主観や満足度によって、その許容範囲で推し量られるものでしょう。
本記事では、年金収入15万円の生活について考えていきます。
ファイナンシャル・プランナー
住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。
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年金収入15万円に対する所得税
年金収入が月15万円とすると、年間収入は180万円になります。年金を受け取ると、その金額は一般的に「雑所得」として扱われます。課税対象となるのは、年金の総額から「公的年金等控除」という一定の控除額を差し引いた金額です。
仮に、65歳で年金収入が180万円の場合(110万円超330万円未満)、収入金額から110万円(公的年金等控除額)を引いた額が雑所得となり、70万円となります。
原則、一定額以上の年金受給者の場合には、所得税等が源泉徴収され、これに対する年末調整は行わないため、確定申告により精算することになります。
その一方で、令和7年度税制改正が令和7年12月1日より施行され、所得税の基礎控除が引き上げられたことを受け、令和7年12月に支払われる年金では、改正後の控除額を反映した年間の税額が計算されます。その結果、これまでに源泉徴収した税額との差額について年末調整が行われます。
この改正による基礎控除の引き上げによって、公的年金の源泉徴収の対象とならない年金額が65歳以上で205万円未満、65歳未満で155万円未満となったため、今回の質問者の場合には源泉徴収の対象とならなくなり、令和7年12月の支払時には所得税の還付対応が実施されている場合もあり得ます。
なお、住民税や森林環境税(地方税)の対象となるのは、65歳以上で、老齢年金または退職を理由とする年金を年間18万円以上受給している方です。
参考として、年齢や支払い時期ごとの源泉徴収額の計算方法は図表1のとおりです。
図表1
| 受給者の年齢 | 令和7年の各月の年金支払時 | 令和7年12月の精算時 |
|---|---|---|
| 65歳以上 | 公的年金等の月額割×25%+6万5000円 (13万5000円未満となる場合は、13万5000円) |
公的年金等の月額割×25%+10万円 (16万5000円未満となる場合は、16万5000円) |
| 65歳未満 | 公的年金等の月額割×25%+6万5000円 (9万円未満となる場合は、9万円) |
公的年金等の月額割×25%+10万円 (12万5000円未満となる場合は、12万5000円) |
日本年金機構「令和7年度税制改正に伴う公的年金等に係る対応」より
年金収入15万円に対する社会保険料
社会保険料についても、一定額以上の収入がある場合には負担が生じます。
(1)国民健康保険料
年間18万円以上の年金を受け取っている方を対象者として、特別徴収されます。つまり、あらかじめ天引きされた金額が年金として支給されます。所得割額と均等割額で構成され、市区町村によって計算方法が異なる場合があります。
(2)介護保険料
65歳以上で、老齢・退職・障害・死亡を理由とする年金を年間18万円以上受給している方が対象となります。
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最低限の生活レベルの構成要素
人が生活していくうえで必要最低限となる要素は、「衣・食・住」ということになるでしょう。
「衣」については、極力新しい物を購入せず、節約に徹することは可能かもしれません。「食」については、究極は自給自足となりますが、現実としてはある程度の支出が必要となるでしょう。過度に節約しすぎて栄養バランスを崩すと、健康を害して医療費がかさむことにもなりかねません。
「住」については、持ち家の場合と賃貸や住宅ローンの返済中等によって、負担に差が生じます。それぞれの状況に応じて、負担を感じることでしょう。
また、別の要素として、親から近い将来、現預金や不動産などの財産を相続する予定がある場合や生活保護の申請を進めている場合など、それぞれの個別事情でも生活維持のプランは異なってくると思われます。
まとめ
今回の質問者には少し厳しいようですが、「独身で貯金0円、年金15万円のみで最低限の生活をしたいが、働きたくない」などと考えているよりは、働けるうちは働いて、より良い生活環境を構築し、時にぜいたくな体験もすべきではないかと感じます。この記事のように、年金収入にも税金や社会保険料がかかる場合があります。
日本人の男性の平均寿命は81歳程度とされており、現在65歳の方がまだ16年ぐらいは生きることになります。できるかぎり最期まで前向きに、自分自身が「満足だった」と言える終わり方を考えることも重要となるのではないでしょうか。
出典
国税庁 高齢者と税(年金と税)
日本年金機構 令和7年度税制改正に伴う公的年金等に係る対応
執筆者 : 高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー


