老後は働かず、夫婦で趣味の「旅行」を楽しみたいと考えています。貯金1000万円に、月20万円ほどの年金がもらえれば大丈夫でしょうか?
生活費の実態や旅行にかかる支出水準を踏まえなければ、具体的な見通しは立てにくいといえます。本記事では、公的統計をもとに、老後30年前後を想定した収支の目安を整理します。
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
【PR】うちの価格いくら?「今」が自宅の売り時かも
【PR】イエウール
65歳以上夫婦無職世帯の家計実態
総務省統計局「家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯における家計収支は、月の実収入が25万2818円、消費支出が25万6521円、非消費支出が3万356円で、月約3万4000円の赤字となっています。
質問のケースでは、年金月20万円と仮定していますが、これは平均的な高齢夫婦無職世帯の実収入より約5万円少ない水準です。同じ支出水準で生活すると仮定すると、毎月8万円程度の不足が生じる計算になります。年間では約96万円の赤字です。
単純計算で、貯金1000万円をこの不足分の補てんに充てるとすれば、約10年で取り崩すことになります。もちろん、実際の支出は家庭ごとに異なりますが、統計上の平均値を前提にすると、年金月20万円のみでは生活費を十分に賄えるとは限りません。
旅行費用をどの程度見込むか
旅行を楽しみたい場合、追加支出も考慮する必要があります。観光庁「旅行・観光消費動向調査 2024年 年間値(確報)」によれば、日本人の国内旅行1人1回当たり旅行支出(旅行単価)は4万6585円です。
これには、参加費や交通費、宿泊費、飲食費のほか、買い物代、娯楽等サービス費などが含まれています。
夫婦2人で年2回国内旅行する場合、4万6585円×2人×2回=約18万6000円が年間の目安になります。年4回であれば約37万円です。海外旅行の場合は、行き先によってさらに費用がかさむケースもあるでしょう。
一方、前述の家計調査によると、65歳以上夫婦無職世帯の教養娯楽費は月平均2万5377円です。年間では約30万円となります。この中に旅行費も含まれるため、旅行回数を増やす場合や海外旅行に行く場合は、平均的な教養娯楽費を上回る支出になる可能性があります。
【PR】我が家は今いくら?最新の相場を無料で簡単チェック!
【PR】イエウール
「ゆとりある老後」との比較
公益財団法人生命保険文化センター「2025(令和7)年度生活保障に関する調査(速報版)」では、夫婦2人の老後の最低日常生活費は平均で月約24万円、ゆとりある老後生活費は月約39万円台とされています。
ゆとりある生活費との差額は月15万円程度で、この上乗せ分の使途として「旅行やレジャー」が59.5%と最も多く挙げられています。つまり、多くの人が旅行を「ゆとり部分」に位置付けていることが分かります。
今回のケースの年金月20万円は、最低日常生活費の水準にも届かない可能性があります。旅行を積極的に楽しむ生活を想定する場合、生活費に加えて追加資金が必要となる構造です。
老後30年想定での試算
仮に65歳から95歳までの30年間を想定すると、年金月20万円は年間240万円、30年で7200万円です。
平均的な支出水準(月約28万円)を前提にすると、年間支出は約336万円、30年で約1億80万円となります。差額は約2880万円です。ここに旅行費用の上乗せ分が加わります。
貯金1000万円があっても、統計平均どおりの支出を前提にすれば不足分を完全に補うには足りない計算になります。ただし、実際には支出を抑える、住居費が低い、医療費が平均以下で済むなどの条件があれば、必要額は変わります。
まとめ
公的統計を前提にすると、年金月20万円は平均的な高齢夫婦無職世帯の支出水準を下回る可能性があり、毎月の赤字を貯蓄で補う構造になりやすいと考えられます。旅行を楽しむ生活は、多くの人が「ゆとり部分」として位置付けており、追加資金が必要になるケースが一般的です。
貯金1000万円と月20万円の年金だけで十分かどうかは、生活水準や旅行頻度、医療費、住居費などによって左右されます。統計上の平均値を目安にしつつ、自身の支出構造を具体的に試算することが、現実的な判断につながるといえるでしょう。
出典
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支<参考4>65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 表2 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)及び65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の家計収支 -2024年-(19ページ)
観光庁 旅行・観光消費動向調査 2024年 年間値(確報)【図表4】 日本人国内旅行1人1回当たり旅行支出(旅行単価)(確報)(2ページ)
公益財団法人生命保険文化センター 2025(令和7)年度生活保障に関する調査≪速報版≫ 第III章 老後保障 2.老後生活に対する意識(53~56ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
