「定年後は一緒に暮らして面倒をみる」と言う娘夫婦。娘夫婦が年金を管理することが条件ですが、そのような家庭は多いですか?
本記事では、年金を子どもに管理してもらう方法である「成年後見制度」について、制度の概要を解説するとともに、制度を利用している人の割合や申し立て方法もご紹介します。
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年金の管理を子どもに任せることは可能?
年金は原則として受給者本人の名義口座に振り込まれ、本人以外が引き出すことはできません。
また、認知症になり、金融機関が「本人の意思確認ができない」と判断した場合、口座が凍結されるおそれがあります。一度凍結されると、本人であってもお金を引き出すことはできません。
そのような心配をなくす方法の一つとして「成年後見制度」を利用し、子どもに年金の管理を任せるという選択肢があります。
成年後見制度とは、認知症などにより判断能力が不十分と考えられる人の権利を守るために、本人の代わりに成年後見人が法律的に支援する制度のことです。成年後見人に選任された人は、本人の財産を管理することも可能となります。今回の事例のように、娘を成年後見人に選任することで、年金を管理してもらうこともできるようになるでしょう。
成年後見制度を利用している人の割合
成年後見制度には、成年後見人をあらかじめ定めておく「任意後見制度」と、本人の判断能力が不十分になってから家庭裁判所により成年後見人が選任される「法定後見制度」の2種類があります。
厚生労働省によると、令和6年12月末日における任意後見制度の利用者数は2795人、法定後見制度の利用者は25万1146人、合計すると25万3941人です。法定後見制度に比べると任意後見制度の利用者数は全体の約1.1%と少ないものの、年々増加傾向にあることが分かります。
ただし、このデータは、今回の事例のような年金の管理に成年後見制度を利用した場合だけを集計したものではありません。
年金の管理以外に何をしてもらえる?
成年後見人は、認知症や精神障害などにより自分で判断することが難しい人を法的に保護し、本人の意思を尊重した支援を行うことが主な役割です。年金や預貯金・不動産などの財産を管理するほか、遺産分割協議などの相続手続きや、介護・福祉サービスの利用契約の締結などを代わりに行ってもらえます。
例えば、悪徳業者にだまされて商品やサービスを契約してしまった場合も、成年後見人による契約の取り消しが可能です。
そのほかにも、成年後見人にしてもらえるサポートには、以下のようなものがあります。
・もの忘れが多く、お金を使いすぎてしまうことが増えたときに、お金の出し入れについて一緒に考えたり、保険料や税金の支払いを手伝ったりしてもらえる
・いらないものを買わされそうになったときに、買うか買わないか一緒に考えてもらえる
・けがや病気で入院が必要になったときに、手術や入院の手続きを一緒にしてもらえる
具体的にどのようなサポートを希望するかをよく考え、成年後見制度を利用するかどうか検討してみるとよいでしょう。
年金管理を親族に任せる前に「成年後見制度」を確認しよう
年金が振り込まれた口座から本人以外が引き出すことはできないため、年金の管理を親族などに依頼するにあたって「成年後見制度」を利用する人もいるでしょう。
成年後見制度の利用者は、令和6年12月時点で25万人以上いることが分かっています。そのうち、成年後見人をあらかじめ定めておく「任意後見制度」の利用者の割合は約1.1%ですが、年々増加傾向にあるようです。
成年後見制度を利用すると年金の管理だけでなく介護・福祉サービスの利用契約の締結なども代わりに行ってもらえるため、よく考えて決めるとよいでしょう。
出典
厚生労働省 成年後見制度の現状 2. 成年後見制度の利用状況等
厚生労働省 自分ひとりではよくわからない⁉ 成年後見制度
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
