「定年後は“嘱託社員”で週4日勤務」という条件を提示されたのですが、社会保険の加入はそのまま続くと言われました。保険料負担を考えると、週3日に抑えたほうが得なのでしょうか?

配信日: 2026.03.16
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「定年後は“嘱託社員”で週4日勤務」という条件を提示されたのですが、社会保険の加入はそのまま続くと言われました。保険料負担を考えると、週3日に抑えたほうが得なのでしょうか?
定年後の働き方を考えるときは、社会保険の適用を受ける働き方をするのか、適用を受けないように働くのかが大きな問題となります。その境となる要素の一つに、1週間の勤務日数があります。
 
今回は、1週間の勤務日数に焦点を当てて、定年後の働き方について解説します。
辻章嗣

ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士

元航空自衛隊の戦闘機パイロット。在職中にCFP(R)、社会保険労務士の資格を取得。退官後は、保険会社で防衛省向けライフプラン・セミナー、社会保険労務士法人で介護離職防止セミナー等の講師を担当。現在は、独立系FP事務所「ウィングFP相談室」を開業し、「あなたの夢を実現し不安を軽減するための資金計画や家計の見直しをお手伝いする家計のホームドクター(R)」をモットーに個別相談やセミナー講師を務めている。
https://www.wing-fp.com/

社会保険の適用を受ける働き方とは

厚生年金に加入している事業所に常時従事する70歳未満の方は、正社員として社会保険の適用を受けます。また、正社員に比べて勤務日数や勤務時間が短い短時間労働者も以下のような働き方をすると、社会保険の適用を受けます(※1)。
 

1. 週間の所定労働時間および1ヶ月の所定労働日数が、正社員の4分の3以上である方
2. 正社員の4分の3未満であっても、企業規模が51人(注)以上などの一定の要件を満たす会社で以下の要件を満たす働き方をする方
(1)週の所定労働時間が20時間以上であること
(2)所定内賃金が月額8万8000円以上であること(注)
(3)学生でないこと
(注)将来、適用となる企業規模と所定内賃金の規定は撤廃され、週の所定労働時間が20時間以上であることと、学生でないことが要件となります。

 
正社員の所定労働日数が週5日の場合、週4日働けば所定労働日数が正社員の4分の3以上となり、社会保険の適用を受けることになります。
 
一方、週3日の場合は、正社員の所定労働日数に比して4分の3未満となり、社会保険の適用を受けません。ただし、企業規模が51人以上の企業で1日7時間、週3日働くと週の所定労働時間が20時間を超えるため、社会保険の適用を受けることになります。
 

社会保険の適用を受けないことのデメリット

社会保険の適用を受けない働き方を選択した場合、社会保険料の徴収を免れることができますが、以下のようなデメリットがあります。
 

1. 国民健康保険などに加入しなければならない

配偶者などの健康保険の被扶養者になれない場合は、原則として国民健康保険に加入することになり、被保険者全員分の保険料を支払わなければなりません。
 
また、退職後2年間に限り、退職前に加入していて健康保険組合の任意継続被保険者となることができますが、在職中は事業主と折半で支払っていた保険料は、事業主分がなくなり全額自己負担となります。
 

2. 国民年金保険料を支払うことになる場合がある

20歳以上60歳未満の配偶者が第3号被保険者に該当していた場合、社会保険の適用を受けない働き方になると、配偶者は第1号被保険者となり、国民年金保険料の負担が生じる場合があります。
 

社会保険の適用を受けるメリット

社会保険の適用を受けると、厚生年金と健康保険の保険料が徴収されますので、手取り額は減ります。しかし、支払う社会保険料は、本人と事業主が折半で支払うことになり、以下のようなメリットがあります。
 

1. 厚生年金の被保険者となることのメリット

(1)将来受給する老齢厚生年金の額を増やすことができます。
(2)60歳未満の被扶養配偶者がある場合、第3号被保険者となることができます。
 

2. 健康保険の被保険者となるメリット

(1)配偶者など要件を満たす場合、被扶養者とすることができます。
(2)在職中の健康保険では、国民健康保険にはない傷病手当金(※2)など、充実した保障を受けることができます。
 

まとめ

退職後の働き方として、週4日勤務して社会保険の適用を受けて働くより、週3日勤務にとどめて社会保険の適用を受けないで働いたほうが、手取り額が多いのではないかと考える方も少なくありません。
 
しかし、社会保険の適用を受ける場合、社会保険料は事業主と折半して支払っており、充実した保障を受けるメリットがあります。
 
た、社会保険の適用を受けない場合、20歳以上60歳未満の配偶者に国民年金保険料の負担が生じるなどのデメリットもありますので、無理のない範囲で社会保険の適用を受ける働き方を選択することをお勧めします。
 

出典

(※1)日本年金機構 適用事業所と被保険者
(※2)全国健康保険協会 病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)
 
執筆者 : 辻章嗣
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士

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