定年退職したら息子の扶養に入りたいです。私にも息子にもメリットがあるようですが、どうやって息子を説得したらいいですか?

配信日: 2026.04.03
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定年退職したら息子の扶養に入りたいです。私にも息子にもメリットがあるようですが、どうやって息子を説得したらいいですか?
定年退職後、「息子の扶養に入れないか」と考える人は少なくありません。税制上の扶養や社会保険の扶養に入ることができれば、親子双方にとって家計面のメリットが生まれる場合があります。
 
ただし、扶養には収入条件などの要件があり、必ずしもすべての人が対象になるわけではありません。また、家族の心理的な配慮も大切です。
 
本記事では、定年後に子どもの扶養に入る仕組みとメリット、そして息子を納得させるための考え方を整理します。
柴沼直美

CFP(R)認定者

大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
http://www.caripri.com

「息子の扶養に入る」とはどういうことを意味するか

「扶養」とひと言で言っても、大きく分けて「税制上の扶養」と「社会保険上の扶養」の2種類があるということを確認しましょう。
 
税制上の扶養とは、所得税や住民税の計算において、扶養している家族がいる場合に所得控除を受けられる制度です。親を扶養している場合、子どもは扶養控除を受けることができます。例えば、70歳以上の親を扶養している場合、同居老親等は58万円、それ以外の老人扶養親族は48万円の所得控除が適用されます。
 
なお、この制度適用にあたっては、親の所得が48万円以下(給与収入のみなら103万円以下など)であることなどが条件になっています。
 
一方、社会保険の扶養とは、子どもの勤務先の健康保険に親が加入することです。扶養に入ると、親は自分で健康保険料を払う必要がなくなります。
 
これらの制度はそれぞれ条件が異なるため、「税金の扶養には入れるが健康保険は入れない」というケースもあります。
 

扶養に入ると親子双方にメリットがある

条件を満たせば、親子双方に経済的メリットが生まれる可能性があります。
 
まず子ども側のメリットは、税金の軽減です。
 
例えば、70歳以上の親を扶養している場合、所得控除は最大58万円です。仮に所得税率20%の人なら、「58万円 × 20% = 約11万6000円」の所得税が軽減されます。住民税の控除もあるため、実際の節税額はさらに増える可能性があります。
 
また、社会保険の扶養に入れる場合、親は健康保険料を払う必要がなくなります。定年退職後、会社員の健康保険を抜けると、国民健康保険や任意継続などに加入しなければなりません。保険料が年間数十万円になることもありますが、子どもの健康保険の扶養に入れれば、家計の負担を抑えやすくなります。
 
ただし、社会保険の扶養に入るには、年収130万円未満(60歳以上または障害者は180万円未満)などの条件があります。
 

息子を説得する前に確認しておくべき条件

前述のとおり、扶養に入ると、親子ともにメリットを享受することができる可能性がありますが、「希望すれば必ず入れる」制度ではなく、条件をクリアしているか確認しなければなりません。
 
まず、親の収入条件です。例えば、年金収入の場合、「税制上の扶養:所得58万円以下」「社会保険の扶養:年収130万円未満(60歳以上は180万円未満)」などの条件があります。
 
健康保険制度では、「子どもが親の生活を主として支えていること」や「同居または仕送りなどの実態」が求められる場合があります。
 
さらに、会社の健康保険組合によっては、協会けんぽより厳しい基準を設けているケースもあります。そのため、「自分の年金収入」「子どもの健康保険の扶養条件」「同居か別居か」を事前に確認しておくことが重要です。
 

息子を説得するポイントは「家計全体のメリット」

息子を説得する場合、単に「扶養に入れてほしい」と頼むよりも、家計全体のメリットを説明することが重要です。例えば、次のように伝えると理解されやすくなります。
 

・扶養控除があるので息子の税金が軽くなる
・親の保険料負担が減り、将来の生活が安定する
・家族全体の家計に余裕ができる

 
「親のため」だけではなく、家族全体の家計運営にとって合理的な選択だと説明しましょう。その際、「条件に合わなければ無理をしない」「会社の規定を確認してほしい」といった配慮も忘れないように伝えましょう。扶養は制度だけでなく、家族全体に関わる問題なので、お願いというより相談として話すことが望ましいです。
 

扶養にこだわりすぎないことも大切

ただし、注意したいのは、「扶養に入ることだけが最善とはかぎらない」という点です。例えば、「年金収入が一定以上ある」「健康保険の扶養条件を満たさない」「子どもの勤務先会社の制度が厳しい」などといった場合は、無理に扶養に入ろうとするとトラブルになる可能性があります。
 
また、将来的には、高齢者の医療保険制度、年金制度や税制などが改正される可能性も考えられます。扶養はあくまで選択肢の一つととらえ、国民健康保険や任意継続制度などを含めて総合的に判断しましょう。
 

まとめ

定年後に息子の扶養に入ることができれば、税金や保険料の点でメリットになる可能性があります。ただし、収入要件や健康保険の条件などを満たす必要があり、必ずしもすべてのケースで実現できるわけではありません。
 
大切なのは、制度を正しく理解したうえで、家計全体としてメリットになるかを客観的に説明し、家族で納得して決めることが大切です。感情だけで説得しようとするのではなく、制度の条件や家計への影響を整理したうえで、家族が納得できる形を一緒に考えていきましょう。
 

出典

国税庁 No.1180 扶養控除
全国健康保険協会(協会けんぽ) 被扶養者とは?
 
執筆者 : 柴沼直美
CFP(R)認定者

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