仕事と介護の両立で大変……。国から補助金が出るって聞いたのですが、ホントですか?
配信日: 2019.12.20
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
介護休業・介護休暇
介護をしているとどうしても時間が必要となる場面が増えてきます。そんなとき、一日あるいは半日単位で休暇を取れる制度として介護休業と介護休暇の二つの制度があります。
介護休業・介護休暇は多少似ている部分もありますが、両者をまとめると次の表にあるとおり大きく異なります。
介護休業は給付金が申請できるが、介護休暇は給付金の申請ができません。介護休業は2週間前までに書面などで申し出なければなりませんが、介護休暇は当日に口頭で申し出ることが可能です。
介護休業は要介護状態の家族の介護のためという要件が必要ですが、介護休暇は通院の付き添いなど介護以外のその他の世話も認められています。なお、介護休業は最大93日までですが、介護休暇は家族一人につき年間5日、二人以上なら年間10日までという違いがあります。
介護休業と介護休暇、どちらも取得のための申請先は勤務先となります。
介護休業給付金
介護休業給付金とは、介護休業の開始前2年間の間に雇用保険の被保険者であった期間が1年以上ある人が、親など一定範囲にある人の介護を理由として仕事を休んだ場合、1回の介護休業につき最大で3ヶ月間、給付金を受けられるという制度です。
有期雇用労働者は、上記の要件に加え、細かい要件があります。支給される給付金の額は休業開始前の給料の日給換算額×支給日数×67%になります。
ただし、介護休業の開始時点で離職することが予定されている場合は支給対象とならないなど注意点もあります。介護休業給付金を受けるにはハローワークにて申請することが必要です。詳細については最寄りのハローワークへお問い合わせください。
所定外労働の制限
所定外労働時間とは、就業規則に定められた労働時間を越えて働いたぶんのことです。1回の請求につき1ヶ月以上一年以内の期間で所定外労働をしなくてもよいよう勤務先に請求することができます。
請求の回数に制限はなく、介護が終了するまで何度でも申請が可能です。ただし、いわゆる日雇いの場合など一定の場合には対象外とされることに注意してください。
法定外時間外労働の制限
法定外時間外労働とは、労働基準法で定められた時間を越えて働いた分のことです。1回の請求につき1ヶ月以上1年以内の期間で、月に24 時間、年に150時間を超える時間外労働(1日8時間、週40時間を超える部分)をしなくてもよいよう勤務先へ請求することができます。
この請求は何度でもすることが可能です。この制度の利用にあたっては開始の日と終了の日を明らかにしたうえで、開始予定日の一ヶ月前までに請求しなければなりません。
所定労働時間の短縮等の措置
事業主は要介護状態にある家族を介護している従業員に対し、介護する家族一人につき連続して3年以上の期間、所定労働時間の短縮など一定の措置を講じなければならないとされています。その措置は2回以上利用できるものとしなければなりません。
具体的な措置の内容としては次のいずれかになります。
1、短時間勤務制度
2、フレックスタイム制度
3、時差出勤制度
4、介護サービスの費用助成、その他これに準ずる制度
実際にどれが利用できるのかなどの詳細は勤務先によって異なります。詳細については勤務先に確認するようにしてください。
介護と仕事の両立は支援制度の利用がカギ
家族の介護を理由とする離職が少しでも減少するよう、行政や企業はさまざまな支援策を用意しています。今回紹介した制度以外にも高額介護サービス費や高額医療・高額介護合算療養費制度などさまざまな制度が用意されています。
介護と仕事の両立についての相談はお住まいの自治体に設置されている担当窓口や介護問題に詳しいFPなどに相談するとよいでしょう。
執筆者:柘植輝
行政書士