更新日: 2020.01.13 その他老後
おひとりさまの老後、いくら必要?いまから準備しておきたいこととは
おひとりさまの老後に必要なお金、いまから準備しておきたいことを紹介します。
執筆者:伊達寿和(だて ひさかず)
CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、相続アドバイザー協議会認定会員
会社員時代に、充実した人生を生きるには個人がお金に関する知識を持つことが重要と思いFP資格を取得。FPとして独立後はライフプランの作成と実行サポートを中心にサービスを提供。
親身なアドバイスと分かりやすい説明を心掛けて、地域に根ざしたFPとして活動中。日本FP協会2017年「くらしとお金のFP相談室」相談員、2018年「FP広報センター」スタッフ。
https://mitaka-fp.jp
単身世帯の老後の家計はどうなっている?
平成27年の「国勢調査」によると、「単独世帯」(世帯人数が1人の世帯)は1841万7922世帯で、一般世帯の34.6%を占めています。さらに平成22年と比べて9.7%増加しており、65歳以上の単独世帯については23.7%の増加となっています。
統計からは、単身世帯、特に65歳以上の単身世帯が大幅に増えていることが分かります。それでは単身世帯の家計はどうなっているのでしょうか。家計調査報告の平成30年結果の概要によると、60歳以上の単身無職世帯の家計は次のようになっています。
月当たりの実収入が12万3325円、そのうち年金などの社会保障給付が11万5059円です。支出については、消費支出が14万9603円、税金などの非消費支出が1万2392円、合計16万1995円です。不足分が3万8670円となっています。
家計の状況はそれぞれの世帯で異なりますが、家計調査のデータからは月4万円ほどの不足を貯蓄などから補っている状況が考えられます。
老後に向けていまから準備しておきたいこと
それでは、老後に向けてどのような準備をすればよいのでしょうか。3つのステップで考えてみましょう。
ステップ1:老後の収入について確認しましょう。
老後の収入として公的年金があります。公的年金には老齢基礎年金と老齢厚生年金があり、老齢厚生年金については会社員・公務員として働いていた方が対象です。
まず、公的年金をいくら受け取れるかについて確認しましょう。50歳以上の方は「ねんきん定期便」で確認することができ、50歳未満の方は「ねんきんネット」で試算することができます。
会社員や公務員の方は、勤務先に退職金制度や企業年金制度があるかを確認しましょう。また、受け取りの年齢やおおよその金額についても確認しましょう。
そのほか、個人年金保険に加入している場合は、その受給金額と受給期間についても保険証券などで確認しましょう。
ステップ2:老後の支出を考えましょう。
老後の支出がいくらになるかについては各家庭で異なりますが、現在の生活費をベースに老後の生活費を考えてみましょう。現在の生活費が分からない場合は、これを機に家計簿をつけるとよいですね。
家計調査のデータはひとつの目安になります。ただし、調査対象の持ち家の比率が高いため、消費支出のうち住居費が1万8268円となっています。賃貸住まいを考えている場合は、老後の住まいや家賃についても考慮する必要があります。
ステップ3:老後資金の準備を始めましょう。
老後の収入と支出の大まかな金額が分かると必要な老後資金が計算できます。例えば、老後資金として月4万円が不足する場合、65歳から95歳までの30年間では合計1440万円となります。
現在の貯蓄や退職金で不足する分はこれから準備していかなければなりません。金額が大きい場合はお金を準備するのに時間がかかります。老後資金の準備は早く始めるのがポイントです。
老後資金の準備は貯蓄だけでなく投資を活用する方法もあります。公的年金の上乗せとしての個人型確定拠出年金(iDeCo)や、NISAやつみたてNISAといった税制優遇のある制度があります。これらを活用するのもよいでしょう。
老後に向けて健康や人とのつながりも大切に
おひとりさまの老後を考えるときにはお金以外の部分も考えておきましょう。年を取ると病気やケガをする可能性が高くなります。老後を生き生きと過ごすためには健康にも気を配りましょう。
また、人とのつながりも重要です。地域の人たちとのつながり、趣味を通した人とのつながりがあると、何かあったときの助けになるかもしれません。
勤務先以外のつきあいが少ない場合は、地域や趣味でのネットワークづくりも始めるとよいでしょう。お金、健康、人とのつながり、いろいろな面から老後に備えたいですね。
【出典】
総務省統計局「平成27年国勢調査」世帯構造等基本集計結果
総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2018年(平成30年)平均結果の概要」総世帯及び単身世帯の家計収支
執筆者:伊達寿和
CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、相続アドバイザー協議会認定会員