あなたの親は大丈夫?高齢者を狙った怪しい勧誘
配信日: 2020.02.02 更新日: 2024.09.05
そんなときに便利なのは、宅配してくれる生協(生活協同組合)での買い物です。生協とひとくちに言っても、地域によっては組合が複数ありますが、どこも同じと誤解してしまう高齢者もいるでしょう。
高齢者でなくても、複数ある組合をそれぞれ調査するには手間と時間がかかりますが、生協の勧誘員は自らの組合のセールスポイントしか語らない場合もあります。そこで、注意しなければならないポイントを押さえて、あなたの親が勧誘員の言葉をうのみにしないように助けてあげたいものです。
執筆者:岩永真理(いわなが まり)
一級ファイナンシャル・プランニング技能士
CFP®
ロングステイ・アドバイザー、住宅ローンアドバイザー、一般財団法人女性労働協会 認定講師。IFPコンフォート代表
横浜市出身、早稲田大学卒業。大手金融機関に入行後、ルクセンブルグ赴任等を含め10年超勤務。結婚後は夫の転勤に伴い、ロンドン・上海・ニューヨーク・シンガポールに通算15年以上在住。ロンドンでは、現地の小学生に日本文化を伝えるボランティア活動を展開。
CFP®として独立後は、個別相談・セミナー講師・執筆などを行う。
幅広い世代のライフプランに基づく資産運用、リタイアメントプラン、国際結婚のカップルの相談など多数。グローバルな視点からの柔軟な提案を心掛けている。
3キン(金融・年金・税金)の知識の有無が人生の岐路を左右すると考え、学校教育でこれらの知識が身につく社会になることを提唱している。
ホームページ:http://www.iwanaga-mari-fp.jp/
配達には手数料がかかるのか?
組合や地域により、配達に対して手数料がかかるかどうか、かかる場合はその金額も変わってきます。一般には、子育て世代はどこの生協もなんらかの優遇があるのと同様に、高齢者世帯にも手数料の優遇がある場合もあります。
まず、高齢者世帯にも配達などの手数料の優遇があるのかどうかを確かめてほしいのです。65歳以上、70歳以上など、優遇条件はさまざまですし、割引率も組合によって異なります。また、該当するからといってすぐに適応できるわけではなく、住民票などの確認書類を送るなどの事務的な手続きが必要な場合もあります。
また、高齢者世帯の消費量はそれほど多くないでしょうから、注文のニーズは毎週ではなく隔週でもよいかもしれません。しかし、高齢者世帯はスマホやアプリを使わない場合が多いため、カタログ注文を選択すると、注文がなくてもカタログや注文書の配達料として手数料がかかる場合が多いことにも注意が必要です。
勧誘員は、限られた時間に契約を取るのが仕事ですので、残念ながらこのような消費者には重要な説明をしてくれないことがあります。
結果的に月4回の注文となると、ひと月あたりの手数料も消費額に比べて高くつく可能性もあります。ネットスーパーやカタログ販売などで必要なときに頼むほうが、手数料的には割安な可能性もあります。
支払方法は選べるのか?
生協の支払いは、一般的には口座振替が最も多いようですが、クレジットカードで決済ができる組合もあります。キャッシュレスで5%還元が認定されている組合であれば、2020年6月までの期間限定にはなりますが、クレジットカードで支払うとお得なこともあります。
気をつけたいポイントは、金融機関などでの口座振替の手続きに手間と時間がかかるため、安易にコンビニ払いを提案する勧誘員もいることです。この方法は、本来口座振替に申し込む際に、初回引落日に間に合わなかった場合に、応急措置的にコンビニなどで振り込めるように振込用紙を届けるための制度です。
コンビニ振込には支払金額に加えて100円などの手数料が別途かかることがあります。口座振替の手続きが面倒だからと、いつまでもコンビニ払いを続けると、100円の振込手数料が毎月かかることになります。この低金利時代には、高い手数料といえるでしょう。
「夕食宅配」もできるか?
高齢者世帯にとっては、食材が届いても調理をするだけの体力や気力がなくなることもあるかもしれません。そんなときに「夕食宅配」という制度を持ち合わせている組み合わせであれば、いざというときに安心です。夫婦のうちのどちらかが入院してしまう、あるいは一人高齢者世帯になるなど、世帯人数に変化が起こることもあるでしょう。
病気などの理由から自分で調理するのが少し難しくなってきたとしても、介護保険を利用してヘルパーさんに作ってもらうには、自宅に出入りしてもらうわずらわしさもあり、「夕食宅配」を利用するほうが気軽かもしれません。
今ではインターネットで何でも調べられる時代ですが、全ての高齢者がインターネットを使いこなして生協組合の比較検討をできるとは限りません。上記ポイントに焦点をあてて、親の地域にはどんな生協があり、どの組合がよさそうなのか、複数ある場合は子どもがあらかじめ絞り込んでおいてあげると、勧誘員が来ても来なくても、親が利用したいと思ったときに迷わず申し込むことができてよいでしょう。
執筆者:岩永真理
一級ファイナンシャル・プランニング技能士